
うわぁ、マフラーとか錆びてボロボロですね……。スリランカでCBR250RR(MC22)をフルレストアする動画が公開されています。どうやって海を渡り、30余年の時を経てきたんでしょうか……。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:Restoration of Everything
言われてみれば、MC22ももう旧車なんですね……
スリランカのYouTubeチャンネル「Restoration of Everything」は、登録者数108万人を誇る人気チャンネル。今回手に入れたのは、1986年のCBR250FOUR(MC14)から進化した果て、1990年に登場し4ストローク250cc4気筒の最高傑作と言われたホンダ「CBR250RR(MC22)」です。どこから発掘してきたのか、外装はなぜかCBR600RRのものが強引に取り付けられていました。
彼らは1年前にエンジンのオーバーホール動画を公開していますが、今回は同じ個体の車両全体をフルレストアしていくようです。
CBR600RRらしき外装を剥ぎ取り、機能部品を丁寧に分解していく。噛み込みがひどいものはハンマーなども使用。
バイクを入手した事情は明らかになっていませんが、正規輸出がされていたのかは不明。中古車が業者の手によって輸出され、さまざまなオーナーを経て流れ着いたものなのでしょうか。
それにしても、今見ても当時のCBR250RRは贅沢を極めたつくりですね。数年前に極上オーナー車を試乗させてもらったことがあるんですが、低中回転からトルクがあって高回転域もパワフル。ライトチューンのNSR250Rなら追いすがることも可能と言われたらしいですが、かなり真実味を感じたものでした。
動画は走行するMC22の姿から始まるオーソドックスなオープニング。キャブレターの同調が……とか野暮は申しません。マフラーが換えられているし、セッティングはこれからなのかも?
次に映し出されるのは、ショッキングなまでにボッコボコの燃料タンク。どうしてこんな姿に……という事情は動画の8分頃に明かされます。いや乱暴だなオイ……。
こ、これ再使用できるの……? という状態の燃料タンク。
サンドブラストによるアルマイトや塗装の剥離、エキパイの溶接盛り&穴埋めなどが手作業で進められていき、バフ掛けからのクリア塗装なども牧歌的な雰囲気からは想像できないクオリティに仕上がっていきます。
ホイールのアルマイト剥離も。モロモロモロ……という感じで落ちていく。
一部には「そこ、トルクレンチ使わんのかーい」と言いたくなるような突っ込みどころもありますが、かつて日本の街のバイク屋さんも『経験と勘』による作業で数多くの整備車両を公道に送り出していたものです。それはそれで味わい深い時代でした。
エンジンの組み上げは思いのほか(失礼!)ていねい。
そうこうしているうちにオーバーホール済みエンジンが搭載され、マフラーやラジエターが組み上げられていきます。キャリパーまわりの純正部品は新品で取り寄せ可能だったみたいですね。ブレーキパッドはデイトナの青いヤツを使用。
フレームとスイングアームはクリアとブラックに塗り分けられている。
グラフィックを構成する大部分がステッカーとはいえ、けっこうクオリティ高いのでは。写真はクリア塗装中。
最後にボディが塗装され、気付けば綺麗なCBR250RRの完成です。ダートロードを疾走しつつエンディングへ。
誰がどう見ても1994年式のMC22でしょ! ちなみに中身は何年式かわからないが、CBR250RがCBR250RRに進化したのは1990年。
動画には「いい仕事したね! 動画を観てハッピーな気分になったよ」「バイクに第2の人生を与えているね」「カンタンそうに見えるけど本当にグレート。こんなスキル学びたいなぁ」などのコメントが寄せられていました。
参考:Honda CBR250RR[1994 model]
水冷4ストロークの並列4気筒エンジンを搭載。DOHC4バルブはカムギアトレーン(カムシャフトを歯車で駆動する方式)を継承しつつ、1994年式で当時の自主規制により最高出力を40ps/14500rpm(前年までは45ps/15000rpm)としつつ低中速域のトルクを強化した。フロントダブルディスクブレーキやガルアーム形状のアルミ製スイングアームなど足まわりもコストがかかっていた。
【Honda CBR250RR[1994 model]】主要諸元■全長1975 全幅675 全高1080 軸距1345 シート高735(各mm) 車重158kg(乾燥重量は143kg)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 249cc 40ps/14500rpm 2.4kg-m/11500rpm 変速機6段 燃料タンク容量13L■タイヤサイズF=110/70R17 R=140/60R17 ●発売当時価格:62万円(消費税を含まず/当時の税率は3%) ●色:トリコロール、メタリックレッド ●発売日:1994年6月24日
参考:Honda CBR250RR[1994 model]メタリックレッド
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
PROLOGUE:エキゾーストノートという ひとつの芸術(丸山 浩) 1988年、ロードレースの国際A級に昇格し、レーシングライダーのひとりとして、そして駆け出しのモータージャーナリストとして活動し始[…]
出力&トルク:数値の差は歴然と存在 シャシーダイナモで最高出力と最大トルクを計測した結果はグラフの通り。MC22は45psというカタログスペックに対して、41.6ps(後軸出力)を発揮。その差は少なく[…]
気筒数か、排気量か? 小さなSBKが開幕!! 時代が違うとはいえ、排気量が同じニーゴーなら、そりゃあ気筒数が多い方が有利でしょ。出来レースにもほどがある……という批判をかわすべく、次なる戦いとして用意[…]
再び来る!? ニーゴー4気筒時代 丸山──さて、JARIのテストコースを出て、街中、ワインディング、高速道路といった、いわゆる一般公道でもたっぷり試乗してみました。車両はホンダの2台ですが、どうでした[…]
4気筒 CBR250RR(MC22):カムギアトレインが生む超高回転域の信頼性 クラス唯一のカムギアトレインを採用し、正確なバルブ開閉と低フリクション化を実現した高回転ユニット。最高許容回転数1900[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
後方排気はYZR500の後ろバンク、ただ一般公道で前方吸気は容易くなかった! ヤマハは1980年、レーサーレプリカ時代の幕開けRZ250をリリース。排気ガス規制で2ストロークは終焉を迎える寸前だったの[…]
国内のカウル認可後に生まれた、1980年代半ばのネイキッドたち オンロードモデルの中で、定着して久しいネイキッド(英語のNAKED=裸という意味)というカテゴリー名。今では「カウルの付かないスタンダー[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
ホンダ CB400スーパーフォア(2018) 試乗レビュー この記事では、平成28年度排出ガス規制に法規対応するなどモデルチェンジを実施した2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エンジンオイルにとって過酷な時期 オイル交換のタイミングって、地味に悩みますよね。「走行距離3000km~5000kmで交換が目安」とか「半年ごとに交換を!」なんて、よく聞くけれど、あくまでそれは“目[…]
メッキのプロが開発したクロームメッキ専用品!! 鉄素材のさまざまな表面処理の中で光沢や質感、高級感のいずれにおいても秀でているのがクロームメッキだ。しかしながら近年では、メッキ工程で使用される六価クロ[…]
スマートフォン連携でバッテリー管理が劇的に進化! 名古屋市に本社を置く株式会社SECONDが、LEADMAX-JAPANとの販売代理店契約を締結。2025年7月1日より、日本初上陸となるモーターサイク[…]
収納しやすく持ち運びやすいカード型くもり止めスプレー これからの時期、急に雨に降られて走行する際にシールドが曇りやすくなる。雨の中でシールドが曇ると余計に視界がなくなり、安全運転を阻害する要因となりか[…]
論より証拠! 試して実感、その効果!! 1947年カリフォルニア州ロングビーチで創業し、これまでにカーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた「シュアラスター」。幅広いラインアッ[…]
人気記事ランキング(全体)
森脇護氏が考案した画期的なアルミフィン構造 画期的なアイデアマンとしても有名なモリワキエンジニアリングの創始者・森脇護氏。そんな氏が数多く考案した製品群の中でも代表作のひとつに挙げられるのが、1980[…]
MotoGP黎明期のレプリカマフラーだ このマフラーは4スト990ccが導入されて、世界GPがMotoGPに代わった翌年の2003年に、ホンダRC211VエンジンのモリワキMotoGPレーサー・MD2[…]
勝手に妄想、クーリーレプリカ! スズキの『8』プラットフォームに新顔の「GSX-8T」と「GSX-8TT」が登場した。まずは欧州や北米で発売され、順次日本にも導入の見込みだ。 この新型については以前ヤ[…]
1位:ワークマン「ペルチェベストPRO2」使用レビュー ワークマンの「ペルチェベストPRO2」を猛暑日で徹底検証。最新モデルはペルチェデバイスの数が昨年モデルの3個から合計5個に増加し、バッテリーもコ[…]
美しい孔雀の羽根の色味が変わる特殊ペイントで仕上げた新グラフィック 『エクシード-2』は、カブトがラインナップするオープンフェイスの上級モデルで、赤外線(IR)と紫外線(UV)を大幅にカットしつつ、空[…]
最新の投稿記事(全体)
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
エンジンオイルにとって過酷な時期 オイル交換のタイミングって、地味に悩みますよね。「走行距離3000km~5000kmで交換が目安」とか「半年ごとに交換を!」なんて、よく聞くけれど、あくまでそれは“目[…]
後方排気はYZR500の後ろバンク、ただ一般公道で前方吸気は容易くなかった! ヤマハは1980年、レーサーレプリカ時代の幕開けRZ250をリリース。排気ガス規制で2ストロークは終焉を迎える寸前だったの[…]
ケーヒン/ショーワ/ニッシン/日立を統合した“日立Astemo(アステモ)”が4月より“Astemo”へ 自動車業界で「100年に一度」と言われる変革期を迎えるなか、キャブレターや電子制御スロットル、[…]
電子制御スロットルにアナログなワイヤーを遣うベテラン勢 最近のMotoGPでちょっと話題になったのが、電子制御スロットルだ。電制スロットルは、もはやスイッチ。スロットルレバーの開け閉めを角度センサーが[…]