
プレミアムヘルメットを開発、生産するSHOEIは、“プレミアムツーリングフルフェイス”をコンセプトとする最新作『GT-Air 3(ジーティーエアスリー)』を、いよいよ国内でも発売する。発売予定は’24年4月だ。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:SHOEI
プレミアムツーリングフルフェイスが全面アップデートで安全性と快適性を向上
ツーリングに求められる安全性と快適性、そして利便性を徹底的に追求したフルフェイスヘルメットが、SHOEI『GT-Air』だ。昨年11月のミラノショーで公開された第3世代となる最新モデル『GT-Air 3』の国内発売時期が発表され、その詳細が公開されたので紹介していこう。
まずルックスと空力特性を特徴づける帽体は、エッジを生かしたシャープな印象のままに、エアロダイナミクスをさらに向上させた。走行時の安定性に貢献する頭頂部のデザインはそのままに、帽体とパーツの一体感を高めている。また、帽体両側には衝撃吸収性に寄与するだけでなく、空力特性を高めるサイドパーツを新装備している。
これにより100km/h走行時における空力特性は、従来モデルとの比較で浮き上がる力(リフト)を11.0%、前方から押しつけられる力(ドラッグ)を6.5%も軽減した。これらにより風切音と走行時に頚椎にかかる負担と疲労を軽減している。
シールドは、素早く、着実にロックを行えるセンターロック式に変更された。これによりシールド開閉時のたわみを抑制し、シールドと窓ゴム(ウィンドウビーディング)の左右密着バランスを適正に保つことができ、走行時の風切音を低減。シールド下部にリブを設けることでシールド全体の剛体を高めており、開閉操作もスムーズになった。
もちろん雨天や冷間時に効果抜群の防曇シールド『ピンロックシールド』を標準装備しており、急激な天候変化にも安心して走り続けることができる。
また、他製品でも採用されている『シールド微開ポジション』機能を装備。低速走行時に使用することで、ヘルメット内部の換気効率を大きく高めることができる。
ベンチレーション性能も大幅に向上した。アッパーエアインテークは、ベースパーツの先端形状やリブ、シャッターの形状を新設計して吸気効率をアップ。トップエアアウトレットは、走行時に帽体表面を流れる風の流速がもっとも高いポジションを追求した結果、従来モデルよりもアウトレットホールを前方へ配置することで、排気量をアップ。これらにより、従来モデルと比べて100km/h走行時の流入量(インテーク)は約1.2倍、排出量(アウトレット)は約1.8倍となった。
フェイスガード中央部に設けられたロアエアインテークには、虫やゴミなどの侵入を防ぐ着脱式デフロスターフェイルターを装備。また、同梱品のブレスガードKを装着すれば、呼吸によるシールド内側の曇りを防ぐことができる。さらに走行風の一部を口元に導くことで息苦しさを軽減する効果もある。
トンネル出口や朝夕の直射日光時に重宝するインナーサンバイザーは、欧州サングラス規格に匹敵する優れた光学性能を持つ『QSV-2サンバイザー』を採用。サンバイザーの開閉操作は、帽体左側面のレバーで行える。
ラチェット式チンストラップを採用。内装表面生地には吸湿速乾生地と起毛生地をハイブリッドで使用する。
チンストラップ(あご紐)は、従来モデルでも採用されていたマイクロラチェットシステムを継承しつつ、さらに軽量・コンパクト化した新型へ進化。厚手のグローブを装着したままでも扱いやすいのが特徴だ。コンパクトになった締結部はステンレス製で強度に優れ、2カ所のツメが常時かかって保持し、万が一の衝突時のヘルメット脱落を防ぐ。ストラップには高強力・高弾性の高機能繊維を編み込むことで、さらに強度を高めている。また、スリム化したことで身体とのフィット感も高まっている。
内装システムは、汗をかきやすい額や頬には吸湿速乾生地を、着脱時に肌とこすれる部分には起毛生地を配置することで、快適な被り心地を実現。真夏のライディングでも優れたベンチレーション機能と相まって、さらりとした装着感が持続する。また、同梱されるチンカーテンは従来品より面積が広くなっており、あご下からの走行風の侵入を防ぐ効果が高まっている。
コミュニケーションツール(インカム)を内蔵できる機能も『SHOEI COMLINK』へと進化し、ヘルメットとインカムとの一体感をさらに高めた。インカムの有無にかかわらず帽体のシルエットに大きな影響がないほどコンパクトで、高速走行時の風切音を大幅に低減できる。インカムはセナ製SRL3、サインハウス製B+COM SX1に対応している。
緊急時に第三者が容易にヘルメットを外せる『E.Q.R.S.』にも対応しており、リボンを引くことでチークパッドを抜き取ることができる。これにより装着者の頸部への負荷を抑えつつ、素早い救護活動を行うことが可能だ。
カラーラインナップは、まずソリッドカラー(単色)が用意される。ルミナスホワイト、パールブラック、マットブラック、マットブルーメタリック、マットディープグレー、ブリリアントイエローの全6色だ。サイズは2cm刻みでS(55cm)からXXL(63cm)まで5サイズがあるほか、センターパッドとチークパッドを交換することでサイズの微調整が可能だ。また、SHOEIテクニカルショップなどでは『P.F.S.(プロフェッショナル・フィッティング・サービス)』(新規購入時3000円)を実施しており、頭部の採寸をしたうえで内装を微調整し、最適にフィットするヘルメットにすることも可能だ。
毎日の通学や通勤、週末のショートツーリングから連休のロングツーリングまで、シチュエーションを問わず使える安心のフルフェイスは、大幅に進化した快適性と安全性、そして利便性を獲得した。とくに高速道路を長距離走行することが多いライダーにとっては、空力特性の進化の恩恵は大きく、大排気量モデルでロングツーリングするなら要チェックのニューモデルだ。
SHOEI GT-Air 3
●価格:6万8200円 ●サイズ:S(55cm)、M(57cm)、L(59cm)、XL(61cm)、XXL(63cm) ●色:白、黒、つや消し黒、青、灰、黄 ●規格:JIS ●構造:AIM+(Advanced Integrated Matrix Plus Multi-Fiber) ●付属品:布袋、ブレスガード、チンカーテン、シリコンオイル、防曇シート、SHOEIロゴステッカー、サービスツール、スペア防曇シート用ピン ●2024年4月発売予定
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SHOEI)
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
【受注期間限定】SHOEI「EX-ZERO」新色モスグリーン 「EX-ZERO」は、クラシカルな帽体デザインにインナーバイザーを装備し利便性に優れる一方で、着脱式内装システムや、万一の際にヘルメットを[…]
SHOEIは、2025年5月9日に東本昌平のイラストをSNSで公開。このとき「WYVERN(ワイバーン)」を被っているライダーが唐突に現れたことから、もしや復活ではとの噂が立ったが、2025年6月2日[…]
バイクファッションの幅を広げるミリタリーテイストなグリーンが登場 新たに加わるモスグリーンは、ミリタリーグリーンともいうべき、深い緑のマットカラーだ。そのためミリタリー系ウエアとの相性は抜群で、バイク[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
機能豊富なマルチパーパスフルフェイスのシールドを外した、さらに身軽なフォルム 『TOUR-CROSS V』は、アライヘルメットが’23年6月に発売したマルチパーパスヘルメットだ。高速走行時の空気抵抗を[…]
ライダーが抱く「ヘルメットの悩み」を解消するために誕生 デルタから発売される高機能ヘルメットスタンドは、多くのライダーから寄せられた「こんな製品があったらいいな」を形にした、実用性とデザイン性を兼ね備[…]
【受注期間限定】SHOEI「EX-ZERO」新色モスグリーン 「EX-ZERO」は、クラシカルな帽体デザインにインナーバイザーを装備し利便性に優れる一方で、着脱式内装システムや、万一の際にヘルメットを[…]
人気記事ランキング(全体)
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
新進気鋭のクルーザー専業ブランドから日本市場に刺客! 成長著しい中国ブランドから、またしても新顔が日本市場にお目見えしそうだ。輸入を手掛けることになるウイングフット(東京都足立区)が「導入ほぼ確定」と[…]
この外見でツーリングもOK 本気系が多様な進化を果たし、レプリカ系のフルカウルに身を包みながら街乗りからツーリングまでこなすモデルが誕生した。本気系にレッドゾーンは一歩譲るものの、後にFZR250やG[…]
エイトボール! 王道ネイキッド路線への参入予告か スズキがグローバルサイトでティーザーらしき予告画像を公開した。ビリヤードの8番玉の横には『SAVE THE DATE 4TH JULY』とあり、7月4[…]
最新の投稿記事(全体)
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
スズキが鈴鹿8時間耐久ロードレースの参戦体制を発表! スズキは2025年8月1日(金)から3日(日)に鈴鹿サーキットで開催される「2025 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8 時間耐久ロードレース」に「チ[…]
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス 白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、[…]
この外見でツーリングもOK 本気系が多様な進化を果たし、レプリカ系のフルカウルに身を包みながら街乗りからツーリングまでこなすモデルが誕生した。本気系にレッドゾーンは一歩譲るものの、後にFZR250やG[…]
- 1
- 2