
バイクの運転免許は16歳から(大型二輪は18歳から)取得でき、10代~20代で取得する方も多い。大枠では原付、普通二輪、大型二輪の3種類があり、それぞれに限定条件などが付くことでバイクの免許は全部で7種類になっている。そんな二輪免許について解説していきたい。
●文:ヤングマシン編集部
バイクの免許は全部で7種類
16歳または18歳から取得できるバイクの免許は、道路交通法に基づいて制定された3種類を基本としながら、各種限定条件で以下の7種類に分けられる。
- 原付(原動機付自転車)
- 小型限定普通二輪
- AT小型限定普通二輪
- 普通二輪
- AT限定普通二輪
- 大型二輪
- AT限定大型二輪
道路運送車両法では原付一種や原付二種、二輪の軽自動車、二輪の小型自動車という分け方になっており、車両の登録はこれに基づいて行われる。ちょっとややこしいが、運転免許はあくまでも道路交通法で定められたものなので、今回はそれについて解説していく。上記の7種類がそれぞれどんな免許なのか以下に紹介しよう。
【参考】道路交通法および道路運送車両法における車両区分
原付(原動機付自転車)免許
運転できるバイク | 総排気量50cc以下 |
2人乗り | 不可 |
高速道路走行 | 不可 |
取得可能な年齢 | 16歳 |
取得方法が最も簡単な原付免許は総排気量50cc以下のバイクに乗ることができる。50ccの原付は正式名の原動機付自転車にちなんで原チャリと呼ばれることもあり、通学や通勤に使われることが多く若者や主婦に人気なほか、新聞配達などの近距離配達でも利用される。今はベテランでも最初に取得したのは原付免許という人も少なくない。ギヤチェンジが必要なMT、オートマのAT問わず運転できるが、2人乗りや高速道路は不可。2段階右折や30km/hの速度制限なども原付特有のルールとなっている。
小型限定普通二輪免許
運転できるバイク | 総排気量50cc超~125cc以下 |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 不可 |
取得可能な年齢 | 16歳 |
普通二輪免許に総排気量125cc以下の条件が付いたもの。このクラスのバイクは道路運送車両法にちなんで原付二種と呼ばれることも多く、スクーターからスポーツタイプまでさまざまな機種がラインナップされる。高速道路や自動車専用道路は走行できないが、一般道ではクルマや大型二輪と同じ法定速度で走ることが可能。また、原付ではできない2人乗りも免許取得から1年が経過すれば可能になる。
AT小型限定普通二輪免許
運転できるバイク | 総排気量50cc超~125cc以下でクラッチ操作が不要なもの |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 不可 |
取得可能な年齢 | 16歳 |
小型限定普通二輪免許にオートマチックトランスミッション=AT限定が付くもの。基本的な条件は小型限定普通二輪免許に準ずるが、運転できるのはクラッチ操作が不要なバイクのみ。クラッチレバーを装備しているか否かが運転可能なバイクかどうかの目安になる。一般的なスクーターやホンダのスーパーカブ系などがこれに相当する。
普通二輪免許
運転できるバイク | 総排気量125cc超~400cc以下 |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 可 |
取得可能な年齢 | 16歳 |
125cc超~400ccのバイクが運転でき、高速道路も走れる。教習所で取得する人が最も多い免許で、この排気量帯にはさまざまなバイクがラインナップされる。1975年~1995年までは自動二輪免許に含まれる中型限定自動二輪という枠だったため、その名残りで若い世代を含め“中免”と呼ぶことも多い。
AT限定普通二輪免許
運転できるバイク | 総排気量125cc超~400cc以下でクラッチ操作が不要なもの |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 可 |
取得可能な年齢 | 16歳 |
普通二輪免許にAT限定が付いたもの。クラッチ操作不要なバイクが運転できる。このカテゴリーはビッグスクーターと呼ばれる150~400ccのスクーターが中心となっている。令和4年には、普通二輪免許取得者全体の2.38%がAT限定を選んでいる。
大型二輪免許
運転できるバイク | 総排気量400ccを超えるもの |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 可 |
取得可能な年齢 | 18歳 |
排気量無制限で運転できる免許であり、400cc超はもちろん1000ccを大きく超える大型バイクも運転可能。1996年より自動二輪免許(限定なし)から大型二輪免許への区分が変わり、教習所で免許取得が可能になった。このため、18歳以上であれば最初から大型二輪免許を取得するという方も多い。令和4年では普通二輪免許取得者23万5791人に対し、大型二輪免許取得者は9万7032人となっている。大きく重い大型バイクで試験が行われるため難度はそれなりに高くなっている。
AT限定大型二輪免許
運転できるバイク | 総排気量400ccを超え、クラッチ操作が不要なもの |
2人乗り | 免許取得から1年以上が経過すればOK |
高速道路走行 | 可 |
取得可能な年齢 | 18歳 |
大型二輪免許と同じく排気量は無制限だが、AT限定となっているもの。以前は650cc以下のATバイクに限られていたが、2019年12月1日から総排気量の上限がなくなった。大型スクーターのほか、ホンダのデュアルクラッチトランスミッション(DCT)搭載車などが運転できる。なお、令和4年にAT限定大型二輪免許を取得したのは、大型二輪免許取得者全体のうち0.18%となっている。
バイクの免許の受験資格は?
取得可能になる年齢は原付免許および普通二輪免許(小型限定/AT限定含む)は16歳から、そして大型二輪免許は18歳から。このほかに視力(裸眼または矯正)が両眼で0.7以上といった、以下のような受験資格が必要になる。
- 両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上、又は一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること。ただし原付免許の場合は両眼で0.5以上の視力があればよい。
- 赤色、青色及び黄色の識別ができること。
- 二輪免許は聴力試験を必要としない(2012年4月1日の道交法改正で不要に)
バイクの免許ってどうやって取るの?
まず原付免許は、各都道府県にある運転免許センターにて視力検査/色彩識別検査といった適性試験を受け、学科試験に合格すれば、その後に基本操作などの原付講習を受けて免許交付へ。最短で合格すれば1日で免許が取得できる。
普通二輪免許および大型二輪免許は、以下の2通りの方法で取得できる。
- 指定の教習所で教習を受けて技能試験に合格し、試験場(免許センター)で学科試験に合格
- 試験場で技能試験と学科試験を受験して合格
前者の方法で取得する人が多いが、後者も『一発試験』や『ダイレクト受験』の名で根強い人気がある。
実際に試験が行われるコースで教官に指導してもらえるのが教習所の利点。一発試験の場合は全て自分次第だ。ただし、一発試験向けに練習できる教習所もある
教習所を利用する
教習所を利用する場合、全国にある師弟教習所に通って適性検査~学科教習~技能教習を経て卒業検定を受け、これに合格するとお住まいの都道府県の試験場で学科試験を受験することに。これに合格すると晴れて免許交付となる。教習所だけで免許が取得できるわけではないので注意が必要だ。
教習所に入校する方法には、「通所しながら取得」および「合宿免許で取得」の2通りがあり、通所であれば最短で約15日、合宿で約7日と言われる。試験場での学科試験合格後、講習を受ける必要はない。
一発試験で取得する
一発試験の場合には、教習所を利用する必要はなく、運転免許試験場で学科試験および技能試験に合格すればOK。学科試験は普通自動車免許を所有していれば免除となる。上記に合格した後、取得時講習を受講すれば免許が交付される。
ただし、一発試験では試験場コースでの練習ができないため、一定以上の運転スキルが必要。初めての免許取得ではおすすめしにくい方法といえる。普通二輪免許を持っていて大型二輪免許を取得するとか、過去に持っていて失効・取消になった人などに向いている。
バイクの免許取得にかかる費用は?
バイクの免許を取得するには、運転免許センターのみで取得できる原付を除けば教習所に通うという方が大半だろう。教習所に通う場合、普通自動車免許を持っていれば学科教習が免除となるため、その有無で費用が大きく変わる。取得したい二輪免許の種類によって変化するが、普通二輪免許の取得する場合で普通自動車免許を持っていればおおよそ10~12万円、持っていない場合はおおよそ15万円~20万円となる。地域によって教習所、試験場ともに費用は前後するのでご注意いただきたい。
指定教習所を利用する場合
免許の種類 | 教習所料金の相場 (A) 四輪免許あり (B) 四輪免許なし | 教習内容 |
原付免許 | ── | ── |
小型限定普通二輪免許 | (A) 9万円 (B) 16万円 | ・学科&技能教習 ・卒業試験(技能試験) |
AT小型限定普通二輪免許 | (A) 8万円 (B) 15万円 | ・学科&技能教習(クラッチ操作を除く) ・卒業試験(技能試験) |
普通二輪免許 | (A) 12万円 (B) 18万円 | ・学科&技能教習 ・卒業試験(技能試験) |
AT限定普通二輪免許 | (A) 10万円 (B) 17万円 | ・学科&技能教習(クラッチ操作を除く) ・卒業試験(技能試験) |
大型二輪免許 | (A) 28万円 (B) 20万円 | ・学科&技能教習 ・卒業試験(技能試験) |
AT限定大型二輪免許 | (A) 25万円 (B) 17万円 | ・学科&技能教習(クラッチ操作を除く) ・卒業試験(技能試験) |
上記はあくまでも目安だが、都市近郊の複数の教習所を参考とした。また、大型二輪免許を取得する場合に普通二輪免許を持っていると、四輪免許所有よりもさらに7~9万円程度安くなる。このあたりは教習所によってかなり異なるので、お近くの教習所で確認していただきたい。また、大型二輪免許については普通二輪免許、もしくは四輪免許取得者のみを対象としている場合もある。
また、費用の節約や期間の短縮を狙うなら、合宿免許を利用する手もある。
一発試験の場合
免許の種類 | 手数料(受験料/試験車使用料/交付料) | 講習受講料 |
原付免許 | 3550円(試験車使用料なし) | 4500円(原付講習) |
小型限定普通二輪免許 | 6100円 | 1万6200円(取得時講習) |
AT小型限定普通二輪免許 | 6100円 | 1万6200円(取得時講習) |
普通二輪免許 | 6100円 | 1万6200円(取得時講習) |
AT限定普通二輪免許 | 6100円 | 1万6200円(取得時講習) |
大型二輪免許 | 6100円 | 1万6650円(取得時講習) |
AT限定大型二輪免許 | 6100円 | 1万6650円(取得時講習) |
まとめ
バイクの免許を取得するには上記のような費用がかかるが、少しでも節約したいなら、乗りたいバイクに必要な免許だけを取得するようにするといいだろう。ただし、バイクに乗り続けていくうちに異なる排気量のバイクや、オートマからマニュアルへといった乗り換えも試してみたくなるかも。それも含めて考えると、長い目で見た場合にどちらが得かは熟考の余地ありかも?
また、晴れて免許を取得した後は、バイクの購入費用と自賠責保険の加入料、ヘルメットなど装具類の購入費用も必要になる。そして任意保険への加入も強く推奨しておきたい。
これらを計画的に考えて免許を取得してください。素晴らしいバイクライフを!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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