
CL250/500はレブル250/500を基にスクランブラーに仕立て直したモデル。最初から派生機種の予定はあったのか? スクランブラースタイルを選んだ理由は? そしてレブルとの棲み分けは? 開発者に直撃した。
●まとめ:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史/ホンダ ●外部リンク:本田技研工業
予定になかったレブルの派生モデル。元々イメージはあった!
───CL開発の背景を教えてください。レブルの開発当初から派生展開の予定があったのでしょうか。
小数賀氏「私も山崎もレブルには開発当初から携わっていますが、当時は計画にはありませんでした。しかし『この丸パイプのフレームやデザインは、カフェレーサーやスクランブラーにも絶対に合うよね』といった話をよくしていたんです。
頭の中でイメージも出来ていたし、若手有志で社内プレゼン用モデルを試作したこともあります。それからしばらく経って、正式にレブルのコンポーネントを利用したモデル開発の指令が下った、という流れです」
───’18年にCLらしきステップやフレームの特許が出願されています。
小数賀氏「あれは有志が試作モデルを製作したときですね。せっかく作ったなら特許も取ってしまえと」
───なぜスクランブラースタイルを選んだのでしょうか?
小数賀氏「アウトドアブームという背景もありますが、最終的には“自分たちが一番乗りたいもの”だったからです。先述したように、レブルベースのスクランブラーが欲しいとずっと考えていたんです」
───だから往年の車名を引用しつつもクラシカルには寄せず、レブルのイメージに近いんですね。
山崎氏「レブルの丸みを帯びた飽きの来ないデザインは本当に素敵で、何にでも似合うと思ったんですよね」
小数賀氏「開発スタート時点では車名は決まっておらず“スクランブラー250/500”などと呼んでいました。新CLシリーズは旧CLの再現ではありませんが、高い機動力や様々な路面で楽しめる汎用性など、バイク本来の自由さを提供するという共通性からその名を受け継いでいます」
───スクランブラーとして、レブルとの違いを見せるために心がけた部分はどのあたりでしょうか?
山崎氏「長い足まわりやアップマフラーもそうですが、シートレールを綺麗に水平基調で見せる点はこだわりました。本当は1本のパイプで成形したかったのですが生産が難しく、シート形状の工夫で継ぎ目を隠しています。フレームとの接続部も補強プレートを使わず、スッキリした外観に仕上げています」
小数賀氏「アップマフラーは、エキゾーストパイプまでアップにするか悩みました。しかしCLは初めてバイクに乗る人に向けた商品。足着き性や熱の問題を考慮して、最終的に現在の取り回しを選んでいます」
───レブルと同様、若いライダーを重視しているんですね。
小数賀氏「開発にあたっては、ソーシャルネイティブな若者世代が楽しみを拡張できるバイクを目指しました」
山崎氏「コンセプトは”Express Yourself(あなた自身を表現しよう)”ですが、これはレブルとまったく同じです。形は違いますが、ライフスタイルに寄り添う点は共通。オーソドックスなスタイルとなり、その部分はより拡大できたと思っています」
───そうなると、最大のライバルはレブルということになりそうです。
山崎氏「ライバルというよりは、同系のデザインで味の好みに応じてメニューを拡大した…と捉えてください。目玉焼きは醤油派ですか、ソース派ですか? みたいな(笑)。さらに、塩派やマヨネーズ派の方もいらっしゃるので、カスタマイズ性も重視しました。我々としては2タイプを提案し、サードパーティのカスタムパーツも多数設定。これらをヒントに様々な可能性を引き出して欲しいというのが我々の願いです」
【開発スタート前に特許を出願】’18年3月に出願されたステップ関係の特許。レブル500を基にアップマフラーやフラットシートを備えたモデルが描かれていた。
【あくまでもレブルありき】フレームはレブルと共用し、後端をループさせたシートレールを新作。レール左右を繋ぐプレートの板厚や形状で剛性を最適化する。
【作りたいモノは旧CLに非ず】“CL”と聞くとオールドファンは’62年のCL72などを想起するが、新CLはその復刻版ではない。引き継ぐのはその精神性なのだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(CL250)
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
CL250は『これ1台で良い』とポジティブに思えるバイク! 大パワーや豪華装備の大型バイクに乗り慣れると、250ccっていう排気量のバイクは感覚的に『メインバイク』だと思えなくなってしまいがちです。私[…]
『Wheels and Wavesフェスティバル』でCL500/CL250のカスタム16車が競演 ホンダは、フランスのバスク地方ビアリッツで6月12日~16日に開催された『Wheels and Wav[…]
最新の関連記事(CL500)
日本でもCL250とともに2025年モデル導入と明言 ホンダは欧州で、エンジンとフレームの主要部分をクルーザーモデル「レブル500」と共有するスクランブラー「CL500」に鮮やかなニューカラーを設定し[…]
CL500って、とても魅力的なバイクだと思います。250cc並のコンパクトな車体サイズなのでビッグバイクビギナーでも取り回しが簡単。排気量が250ccの2倍もあるから、どんなシチュエーションでも余裕の[…]
『Wheels and Wavesフェスティバル』でCL500/CL250のカスタム16車が競演 ホンダは、フランスのバスク地方ビアリッツで6月12日~16日に開催された『Wheels and Wav[…]
みんなにも薦めたい増車候補ナンバーワン! 前号での宣言どおり、年末年始はオフロード遊びを満喫。エンデューロレースにも参戦しました。これにより競技用モデルのCRF125Fが欲しくなってしまったのですが、[…]
ホンダの新しい試みに感心=CL250/500は低価格で純正ハイシートを用意 本国仕様や輸出仕様のシート、あるいは純正アクセサリーのハイシートを装着すると、乗り心地と着座位置の自由度が向上し、ハンドリン[…]
人気記事ランキング(全体)
使わないのは「どうせ利かない」もしくは「踏んでもよくわからない」…… リヤブレーキをかけているライダーは、驚くほど少ない。 ブレーキペダルを踏んでも利いているかわからない、すぐABS(アンチロック)が[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
ホンダ新型「CB400」 偉い人も“公認”済み ホンダ2輪の総責任者である二輪・パワープロダクツ事業本部長が、ホンダ新ヨンヒャクの存在をすでに認めている。発言があったのは、2024年7月2日にホンダが[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
最新の投稿記事(全体)
片手で食べられるハンバーガーはバイク乗りにおすすめ いよいよ始まるゴールデンウィーク。気候も暖かくなり、梅雨や猛暑を迎える前のこの時期はツーリングにうってつけだ。 ちょっとバイクで遠出しようか…そんな[…]
1位:スズキ『MotoGP復帰』&『850ccで復活』の可能性あり?! スズキを一躍、世界的メーカーに押し上げたカリスマ経営者、鈴木修氏が94歳で死去し騒然となったのは、2024年12月27日のこと。[…]
1105点の応募から8点の入賞作品を選出 株式会社モリタホールディングスは、このたび「第20回 未来の消防車アイデアコンテスト」を実施、受賞作品が決定となりました。 全国の小学生から集まった、1105[…]
「ETC専用化等のロードマップ」の現状 2020年に国土交通省が発表した「ETC専用化等のロードマップ」。その名の通り、高速道路の料金所をETC専用化にするための計画書だ。これによると、ETC専用化は[…]
一大ブームが巻き起こった1986年 滑走路で戦闘機と加速競争する姿、美人教官とのタンデム、苦悩を抱えて丘の上に佇む夕暮れ──。数々の印象的なシーンに初代ニンジャ=GPZ900Rがいた。 1986年に公[…]
- 1
- 2