スズキのビッグアドベンチャー、Vストローム1050XTの実質的な後継として“DE”が誕生! フロントホイールの19→21インチ化を筆頭に、ホイールトラベル量の増加やフレーム補強などでオフロード性能を強化。合わせて双方向クイックシフターが追加されたぞ!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:スズキ
スズキVストローム1050DE 概要
[◯] 乗り心地の良さに感動。エンジンは熟成の極み
’20年モデルで新排ガス規制に適合し、現行のスタイリングとなったVストローム1050/XT。アルミキャストホイールのSTDは’23年も継続し、ワイヤースポークホイールのXTは“DE”へと進化した。
フロントホイールの19→21インチ化によるハンドリングは、微速域から直進安定性が強く、XTとは明らかに方向性の違いを感じる。とはいえクセが強いと表現するほどではなく、STDよりも40mm広いハンドルを使って車体を倒し込めば、バンク角主体で大らかに旋回する。
特に感心したのは乗り心地の良さで、ホイールトラベル量をわずか(フロントで10mm、リヤで9mm)とはいえ伸長したことと、フロントホイールの大径化、タイヤ銘柄の変更などが功を奏しているようだ。フラットダートを走ってみたところ、21インチによる凹凸の乗り越えやすさや安定性はXTよりも高く、オフ性能を強化してきたことは明らかだ。ただ、車重がけっこうあるので、ダート走行に自信のない人ほど無茶は禁物だ。
106psを発揮する1036ccの水冷90度Vツインは、ローRPMアシストが違和感なくサポートしてくれることもあり、発進時から極めて扱いやすい。トップ6速、100km/hでの回転数は3750rpmあたりで、街中や峠道で自然と多用するのは6000rpmまで。力強くも優しいトルクの出方、3種類の走行モードによる明確なレスポンスの違い、トラクションコントロールのナチュラルなサポートなど、電子制御システムのセッティングはほぼ完璧。新導入の双方向クイックシフターについては、ローからセカンドに上げるときにやや強めのショックが出るが、それ以外は極めてスムーズ。クルーズコントロールの制御も特に不満はない。
XTと同様に6軸IMUを導入しており、前後連動ブレーキの制御は極めて優秀だ。コーナリングABSをはじめ、荷重の変化によりブレーキ圧を補正したり、勾配に応じてABSの介入を最適化するなど、高度な機能を導入するが、それを感じさせないほど利き方は自然。ツーリングにおいてこれは心強い味方だ。
[△] 乗る人を選ぶシート高。車重のハードルも高い
伸長したとはいえアドベンチャーとしてはサスペンションストロークは短めであり、乗車1Gであまり沈み込まないことから、数値以上にシート高が高く感じる。それと252kgという車重はBMWのR1250GS並みに重く、取り回しはかなり大変だ。
[こんな人におすすめ] 軸足はあくまでオンロード快適ツアラーだ
XTよりもオフ性能を強化したとはいえ、軸足はあくまでもオンロード。だが、フロント21インチ化によってスタイリング的にもかつてのDR750Sにより近付いたわけで、この形に惚れた人ならネガ要素も克服してしまうはずだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
見ても触っても質感が高まっている 2023年モデルで令和2年排出ガス規制に適合したGB350は、2021年発売の初代モデルよりもややマイルドな特性になり、スポーティな兄弟車のGB350Sとの棲み分けが[…]
前置き:その凄さをアクシデントで体感?! 徹底的に検証…と、息巻いてみたのはいいものの、テストを始める前からもう驚かされた。というのもワタクシ谷田貝洋暁、取材当日にすっかり寝坊してしまったのだ。ロケ隊[…]
雨でも走りを妥協しない「高級タイヤ」 まずは移動のために走った高速道路だが、前モデルのS22よりも剛性を上げているのに、乗り心地が非常に良い。文字で書くと簡単そうだが、剛性を上げれば乗り心地も硬めのフ[…]
CL250は『これ1台で良い』とポジティブに思えるバイク! 大パワーや豪華装備の大型バイクに乗り慣れると、250ccっていう排気量のバイクは感覚的に『メインバイク』だと思えなくなってしまいがちです。私[…]
違いますよね、分かってます。でも比べてみたんです。 原付二種・異種格闘技戦勃発?! 今回は人気の125ccの中から趣味性の高いマニュアルトランスミッションモデル、いわゆる“ギヤ付き”のヤマハXSR12[…]
人気記事ランキング(全体)
2気筒にもオートマチック『Y-AMT』を投入!! ヤマハは欧州で新型「MT-07」を発表した。先行して登場している最新MT-09と同様に、クラッチ操作とシフト操作を必要としない『Y-AMT』仕様をライ[…]
先代譲りの緻密さは最新電脳で究極化?! 旧CB400はハイパーVTECやABSこそあったものの、従来型(NC42)の登場は2007年だけに、近年の最新電脳デバイスは皆無だった。しかし新型CB400は電[…]
北米で新型4気筒Zと思われるティーザー動画が公開された カワサキが日米でティーザーを展開しはじめた。まず、10月30日に正式発表と予告している北米カワサキのYoutube動画では、『EVOLUTION[…]
ツインエンジンの大型レブル、1100と500がマイナーチェンジ ホンダは欧州と北米で新型「レブル1100」(欧州名:CMX1100レブル/北米名は日本と同じ)をマイナーチェンジし、2025年モデルとし[…]
レーシングイメージの“チームスズキ”グラフィックを採用 スズキイタリアは、GSX-8Sにスペシャルグラフィックと一部特別装備を与えた「GSX-8S Team Suzuki Edition」を発表した。[…]
最新の投稿記事(全体)
[ホンダ] ホットウィールとのコラボイベントを本社で開催(10/24) ホンダは、『ホットウィール体験展 at Hondaウエルカムプラザ青山』を開催すると発表した。 このイベントは、東京都港区青山に[…]
ダイレクトドライブレーシングディスク:過酷なレースの現場で開発 アドバンテージの製品はストリート向けだけではなく、この「ダイレクトドライブレーシングディスク」はモトGPのMoto2/3クラスや全日本モ[…]
1位:ヤマハが新フラッグシップ「YZF-R9」を正式発表 ヤマハは欧州と北米でYZF-R9を発表した。専用にセットアップされたサスペンションやブレンボ製キャリパーを標準装備。R6を上回る空力性能を有し[…]
ハーレーコンテスト/トークショー/愛車撮影会などの人気イベント 開催されたのは2024年5月19日。毎年、梅雨前の天気が安定している時期での開催なので、今年も絶好のツーリング日和となり、数多くのライダ[…]
幻想的な風景から仲間たちとの思い出まで 第67回は「秋は夕暮れマシン」がテーマ。あたりを橙色に染める夕日、街や山のシルエットなど、夜の直前に訪れる特別なひとときと、バイクを収めた写真を募集したぞ! T[…]