
手頃な価格と動力性能で人気のミドルクラス帯。2気筒が主流のこのクラスに、希少な並列4気筒で独自の存在感を放っているのがCBR650RとCB650Rの兄弟だ。最新排ガス規制に対応した’23モデルでもその魅力は変わらぬまま。ヤングマシンメインテスターの丸山浩による試乗で、この2車の味わいを改めて明らかにする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
【’23 HONDA CBR650R】■全長2120 全幅750 全高1150 軸距1450 シート高810(各mm) 車重208kg ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 648cc 95ps/12000rpm 6.4kg-m/9500rpm 変速機6段 燃料タンク容量15L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R-180/55ZR17 ●色:白 黒 赤 ●価格: 107万8000円/111万1000円(赤)
【’23 HONDA CB650R】■全長2120 全幅780 全高1075 軸距1450 シート高810(各mm) 車重203kg ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 648cc 95ps/12000rpm 6.4kg-m/9500rpm 変速機6段 燃料タンク容量15L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R-180/55ZR17 ●色:青 黒 ●価格: 100万1000円/102万3000円(黒)
エンジン特性は同一ながら走りのキャラクターに違い
共通プラットフォームを持つCBR650RとCB650R。’23のモデルチェンジは性能的な面で言うと令和2年度排出ガス規制適合のみで、車重と最大トルクにも若干の変更を受けたとはいえ、先代と大差ない。他に変わったのは車体色で、CBRは今回試乗した新色のパールグレアホワイトが登場したほか継続色のレッドとブラックもケースカバーなど一部配色を変更、CBも同様に車体配色を変更した。特にCBRの新色ホワイトは爽やかで売れそうだ。
さて、この2台の最大のセールスポイントは、なんと言っても国産ミドルクラスでは今や貴重になった直列4気筒エンジンだろう。その特性はどちらも同じで、CBR600RRのようにヒュンヒュンと高回転まで一気に吹け上がる軽い感じではなく、ブン回して乗らずとも下からモリモリと盛り上がる力強いフィーリング。存分にビッグバイクらしい雰囲気を楽しませてくれるというものだ。
この低中回転域に寄せた特性は、箱根の坂をなんなら4000rpm程度でも気持ちよく駆け上がってしまうなど、峠でも実に扱いやすい。マフラーもスロットルを開けるとガオーッと吠えて大排気量直列4気筒らしさを感じさせる演出だ。もちろん直列4気筒なので高回転もしっかり回り、レッドゾーンは1万4000rpmから。この高回転域もレーシング系直列4気筒のようなギュンと一気に上がり詰めたところから急激にストールしていくタイプではなく、上がりきっても緩やかにパワー感が下がっていくので分かりやすい。
ライディングポジションで2台が異なるのはハンドルバーの設定のみ。しかし、それだけで明確に走りのキャラクターには違いが生み出されていた。セパレートハンドルのCBRは絞り角が付いて狭まっている分、CBより若干の重さや手応えを感じるように。また軽めだが前傾姿勢なのでフロント荷重を使って丁寧に走りを組み立てるスポーツバイクらしい乗り方がより楽しめる。一方、CBの幅広でフラットなバーハンドルはストリートファイター的で軽快感を押し出しており、ライダーとの距離もより近いことからあまり難しく考えなくても峠をヒラヒラと走ってくれ、ビギナーを中心に万人向けな感じだ。
車重はCBRが208kg、CBが203kgと同クラスの2気筒マシンよりは重くなるものの辛すぎることは無く、むしろその手応えや安定感でビッグバイクらしい所有感をも満たしてくれる。そんな本格直列4気筒大排気量マシンの醍醐味を、CBRだと(単色モデルで)107万8000円、CBだと100万1000円から味わわせてくれるとは実に良心的と言うほかない。
セパレートハンドルのCBR650Rの方が、攻めた走りに応えてくれる。ただし前傾が緩めの「程よいスポーツ」でツーリングでも比較的疲れにくい。
ストファイ的な元気さがありつつも、扱いやすいCB650R。低中速域に寄せたエンジンと相まって、幅広いユーザーに向く性格。
【上質特性と造形美を重視した4気筒】前身のF時代にブン回さなくても楽しい新世代直列4気筒として開発されたエンジンが基本となって発展。熟成を重ねたことにより直列4気筒本来の強みである高回転性能も向上させた。これにより、下から上まで楽しめるものに成長した。エキパイ取りまわしを含め造形にもこだわる一方で生産をタイで行うなどコスト面も追及し、良心的な車体価格を実現させたのだ。
ホンダ CBR650Rディテール解説
’23で新排出ガス規制に適合したフルカウルのロードスポーツ。DOHC直列4気筒エンジンをスチール製ツインチューブフレームに搭載する。’19にCBR650Fからスポーツ性を高めた「R」に発展するかたちでデビューし、’21でSFF-BPを採用、シートカウルのデザインを変更。ツーリング性能の高さも好評だ。
セパレートハンドルながらも高さそのものとしてはそんなに低くなく、また適度な距離感やタレ角で手の疲れは少ない。ステップ位置も着座位置よりわずかに後方といった感じで前傾姿勢も軽めの程よいスポーツ向けライディングポジションを提供する。そのステップは足を下ろしても邪魔にならず、足着きは両足指の腹まで接地。[身長168cm/体重61kg]
アッパーカウルはCBR1000RR系のデザイン。LEDのヘッドライト下には両側にラムエアダクトが配置されている。ウインカーも前後LEDだ。
トップブリッジ下にマウントしたスポーティなセパレートハンドルを採用。ライディングそのものに集中したいライダーに応えている。
メーターは反転液晶。スピード、タコ、ギヤポジションインジケーターを主体にコンパクトながら視認性良くまとめている。
HSTC(トラコン)はON/OFF切り替えのみとシンプル。操作は左スイッチボックスにて行うことができる。ハザードも装備。
ホンダ CB650Rディテール解説
同じく’19にデビューし、’21と’23でマイチェン。前身のCB650FはスタンダードNKだったが、Rとなった際にモダンカフェと呼ばれるCB-Rシリーズ共通の個性的デザインとなった。CBRともども’23では仕様変更に伴い、最大トルクが6.5kg-m/8500rpmから6.4kg-m/9500rpmへ、車重が2kg増。
CBRと共通のシートやステップは足が真っすぐ下に下ろせるため、こちらも足着き性はすこぶる良好。フラットなハンドルバーはスタンダード系と言うよりストリートファイター的な元気のいいライディングポジション感を演出している。ハンドルとの距離感はCBRより近くてカウルもない分、より軽快な取りまわしが可能だ。[身長168cm/体重61kg]
CB-R共通イメージのフロントフェイスは縦2段ヘッドライトをU字型のポジションランプで囲む。タンクシュラウドは吸気ダクト一体型だ。
幅広なフラットバーハンドルを採用。反転液晶のメーターはユニットをCBRと共用するが、こちらはハンドルマウントになっている。
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