よりスポーティにチューニングされた「RS」〈トライアンフ ストリートトリプルR/RS 試乗インプレッション〉
次に公道でRSに乗ったが、前後サスがアップグレードしているだけのことはある。またがった瞬間にダンピングが利いていることが分かり、しなやかさの中にもしっかりとした腰が感じられる。
走り出すと、Rよりシート高が10mm高く、低めにセットされたハンドルポジションにより、フロント荷重がかかっていることが分かる。Rに比べると若干クイックで、ハンドリングはスポーティになっている。
公道の路面には細かいギャップがあるものだが、そのいなし方が見事。凹凸をゴツゴツ拾うことがなく、しっかりと路面に追随していることが分かる。接地感、安心感とも非常に高い。
これはRSならではの装備であるタイヤ──ピレリ ディアブロスーパーコルサSP V3の恩恵だろう。タイヤ自体のしなやかさが利いている。乗り心地良好ながらグリップレベルも高く、とても優れたタイヤだ。
エンジンはRより10psパワーアップしているが、公道の速度域ではその差は感じられなかった。正直なところ、公道なら120psのRでも十分すぎるほどパワフルだ。
新型はギヤレシオとファイナルが見直されており、これがかなり秀逸。1速がロングになり、2~6速がクロスしているとのことだが、シフトチェンジ時の各ギアのつながりが非常に良好だ。特にシフトアップ時の回転数の落ち込みが少なくなっているので、今まで以上にスムーズに加速できる。
ヘレスサーキットで感じた「RS」の真価〈トライアンフ ストリートトリプルR/RS 試乗インプレッション〉
さて、2日目はヘレスサーキットに舞台を移した。’02年、モトGPでNSR500を走らせたのが最後だから、21年ぶりということになる。
ヘレスでの試乗はRSだけだったのだが、これがまた、楽しいのなんの! 久々のヘレスを最高な気分で満喫できた。
公道で感じたRSのクイックさが、サーキットでのスポーツ走行にはピッタリなのだ。こちらの操作に対して即、望んだだけ反応してくれるから、思い通りのラインをトレースすることができる。減速しながらの寝かし込みもシャープだから、「ギュッと減速、一気に向き変え」という僕の理想的な走りが可能なのだ。
リヤのオーリンズサスペンションも利いていて、トラクション感は実に豊かだ。なんのストレスも感じない上質なライディングを堪能できる。
1000ccスーパースポーツに比べると絶対的なスピードは及ばないが、スポーツライディングを無理なく楽しむにはちょうどいい。現役を引退して21年。目玉を三角にして攻めるより、エンジョイライディングを末永く続けることをモットーにしている僕にはピッタリだ。
そもそも、ストリートトリプルはップライトなポジションのネイキッド。サーキットを激攻めするよりも、ほどよい緊張感を楽しむレベルに留めておいた方がいい。
ただ、無理のない範囲内での満足感は非常に高い。直列3気筒エンジンならではのどの回転域からでもついてくるトルク、新型になってより気持ちよくなった加速フィール、意のままになるハンドリングは、いくら走っても飽き足らないほどだった。
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