ホンダは欧州で、最新電動バイク「EM1 e:」を発表した。日本でも発売が予告されているが、ひと足早く詳細が明らかになったのでお伝えしたい。搭載するバッテリーはモバイルパワーパックe:×1個で、WMTCモードでの航続距離は41.3km。価格は未発表だが、日本仕様の価格が30万円を切るという情報もある。
●文:ヤングマシン編集部
日本でいう原付一種カテゴリーに投入、シート高740mm、車重95kgで最高出力は2.31ps
2022年秋のEICMAでその姿を公開されていた電動スクーター「EM1 e:」がついに欧州で正式発表された。ホンダはすでに国内でPCXエレクトリックやジャイロe:シリーズなどを投入し、各車とも交換式リチウムイオンバッテリー『モバイルパワーパックe:』(以下MPP)を2個搭載しているが、EM1 e:についてはMPPを1個搭載とすることで、気軽に扱える&気軽に買える電動バイクを目指している。
欧州では電動モペッドという扱いになるが、これは日本でいう原付一種とだいたい一緒。前輪12インチ/後輪10インチのコンパクトな車体は車重95kgと軽量で、バッテリー満充電では41.3kmのレンジ(WMTC走行モードの場合)を確保している。また、ECONモードでは48kmの航続レンジとなる。電力消費率でいえば74Wh/kmだ。
パワーユニットはインホイールタイプのモーターを使用しており、最高速度45km/h、最高出力2.31ps(1.7kW)、最大トルク9.1kg-m(90Nm)を実現。前述のMPPは160分で25%→75%のチャージが可能であり、2500回を超える充電が可能だという。
モペッドらしい利便性も確保されており、MPPを搭載しながらシート下には容量3.3Lの収納スペースを備えるほか、フロント左側には50mlのペットボトルを収納できる小物入れも。。バッテリーは50Vだが動力以外のシステムは12Vに変圧されて稼働しており、電力消費の少ないフルLED灯火類を採用、USBタイプAソケットも備える。
フレームはスチール製アンダーボーンを採用し、フロントはテレスコピックフォーク+ディスクブレーキ、リヤはツインショック+ドラムブレーキを装備。シート高は740mmの低く、車体のスリムさから安心感も高そうだ。ちなみにブレーキは前後連動のCBSタイプ。
気になるのは価格だが、現地では今のところ未発表。ただし、日本では税込30万円切り(しかもバッテリー+充電器が付属!)で近く正式発表されるという情報もあり、これに国からの補助金+自治体の補助金を想定した場合、最大で10万円以上の補助金が得られる可能性もある。住んでいる地域によっては、なんと20万円以下で購入できることになるかもしれないのだ。
利便性の高い交換式バッテリーと、我々庶民が買える価格、扱いやすい車体+パワーユニットという、電動バイク普及のための要素が揃った「EM1 e:」、日本での正式発表も楽しみ!
HONDA EM1 e:[2023 EU model]
ちなみに欧州仕様はタンデムステップも備えているが、日本仕様では原付一種で登場することから省略されるはず。
車名 | EM1 e: |
全長×全幅×全高 | 1860×680×1080mm |
軸距 | 1300mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 740mm |
キャスター/トレール | 27°/77mm |
装備重量 | 95kg |
エンジン型式 | 電動ブラシレスモーター(インホイール/3フェーズ) |
最高速度 | 45km/h |
最高出力 | 2.31ps |
最大トルク | 9.1kg-m |
バッテリータイプ | リチウムイオン/50.3V |
バッテリー容量 | 29.4Ah |
バッテリー重量 | 10.3kg |
タイヤサイズ前 | 90/90-12 |
タイヤサイズ後 | 100/90-10 |
ブレーキ前 | ディスク |
ブレーキ後 | ドラム |
価格&発売時期 | 未発表 |
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください
あなたにおすすめの関連記事
ホンダ二輪のカーボンニュートラルに向けた第一歩 今年の9月にホンダは「2025年までに全世界に10車種以上の電動二輪車を投入する」と発表したが、ホンダEM1 e:はその皮切りとなる電動スクーターで、同[…]
昨年11月に二輪事業本部に電動開発部を新設した 昨年の9月13日、ホンダは「二輪事業の取組みについて~電動化を中心としたカーボンニュートラルの実現〜」という内容の記者会見を行った。その中身は、'40年[…]
ホンダの“電動スポーツバイク”はプラグイン式か ホンダは4月26日に開催した「2023ビジネスアップデート」で、三部社長が今後の取り組みについての説明を行った。主な内容はカーボンニュートラルや電動化に[…]
このカワイイの、日本でもプリーズ! ヤマハは、欧州で展開する予定の『Switche ON』で、これまで30年にわたって培ってきたeバイク(電動アシスト自転車)のノウハウを昇華させたモペッドシリーズと新[…]
補助金は2021年3月1日まで! ボップなイエロー×ホワイトおよびホワイトが登場 某TV番組でもおなじみの、旧ビーノをベースにした電動スクーターが「E-Vino(イービーノ)」。着脱式のリチウムイオン[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
グローバルサイトでは「e-アドレス」「アドレス125」と表記! スズキが新型バッテリーEV(BEV)スクーター「e-ACCESS(e-アクセス)」、新型スクーター「ACCESS(アクセス)」、バイオエ[…]
400ccクラス並みのスタートダッシュを誇るパワーユニット搭載 カワサキは、原付二種クラスに同社が初めて投入した公道走行可能な電動スポーツバイク「ニンジャe-1」およびネイキッド版「Z e-1」の20[…]
PEV600のおすすめポイントをご紹介 さて、本題に入る前に昨今の電動車事情について簡単に触れておきますね。 乗り物の電動化が徐々に加速していく中で、昨年夏には特定小型原付が新たな車両区分として加わり[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
電動過給機の採用により、コンパクトで排気量以上のパフォーマンスを発揮するV型3気筒エンジン 2030年までに30モデル以上のEVを投入するとしているホンダにとって、その目標の10機種目と11機種目にあ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
1位:ホンダ新型「CB1000」8月時点最新情報まとめ ホンダがCB1000ホーネットをベースに、CB1300の後継機として開発を進めているというウワサの新型CB1000。その8月時点のスクープ情報ま[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
しっかりとした防寒対策をすれば冬ならではの魅力が楽しめる! じっとしているだけでも寒い季節…さらに走行風を浴びるバイクって何が楽しいの? と思われる方も多いかもしれません。たしかに寒さの感じ方は、人そ[…]
6速MT仕様に加えEクラッチ仕様を設定、SエディションはEクラッチ仕様のみに 2017年4月に発売され、翌年から2024年まで7年連続で軽二輪クラスの販売台数で断トツの1位を記録し続けているレブル25[…]
大容量ラゲッジボックスやスマートキーシステム、USB-Cなど充実装備は継承 ホンダは、原付二種スクーター「PCX」および軽二輪スクーター「PCX160」にマイナーチェンジを施し、2025年モデルとして[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
西日本のバイク用品店4店舗にて開催! 2025年シーズンにおいて、Hondaのマシンの開発をしながら、Moto GPにスポット参戦するMotoGPライダー中上貴晶選手のサイン会が、アライヘルメットプレ[…]
先日、バイク好きな友人と車でドライブしているときに(私は助手席だけれど…)ライダー同士がすれ違う際に、ピースをしあっている光景を見た。なんだか楽しそうなことしてるなーと思い、「あれって、車に乗ってる俺[…]
スパナプライヤー:刻みのないジョーが平行にスライド。スパナのように使えるプライヤー ストレートのスパナプライヤーは、細部の形状や仕上げは異なるものの、ヒンジの仕組みや特徴はクニペックスのプライヤーレン[…]
ハイパワーだけでなく、本来持つテイスティさを損なわず、より“らしさ”を強調するストロークアップ エンジンを強化する際、排気量アップが効果的なのはたやすくイメージできるだろう。ハーレーダビッドソンはエボ[…]
直線基調の斬新スタイルへの挑戦 「デザインの源流はバック・トゥ・ザ・フューチャー」 好みにカスタムしたバイクで行きつけのカフェに向かい、日がな一日、気の合う仲間とバイクを眺め、バイク談義に耽る。 その[…]
- 1
- 2