
東京都が策定した「総合的な駐車対策の在り方」という枠組みの意図について、担当部署である都市整備局都市基盤部の小島朋己氏に話を伺った。電動キックボード等の新しいモビリティも含めた東京都の駐車対策について紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)
東京都が決めた駐車問題の”在り方”に対し、我々はどう動くべき?
───バイクユーザー、民間駐車場事業者、オートバイ業界団体等に求めることはありますか。
小島:「総合的な駐車対策の在り方(以降、在り方)」は、地区特性に応じた駐車対策の実施にあたって地区の多くの関係者が合意した上で、バイクを含む、地区のニーズに応じた取り組みを推進することとしております。具体的には地域ごとに「地区マネジメント組織」を構成して協働して取り組むことが必要であると示させて頂いております。
地区マネジメント組織の構成にあたっては、行政だけでなく、地区の駐車課題に関するステークホルダーを構成員として駐車施策に取り組むべきとしており、地区特性に応じて、地区マネジメント組織の構成員としてご協力頂き、地区マネジメントを実施できればと考えています。
【地区マネジメント組織とは】地域を取り巻く課題に、行政だけでなく事業者や地元組織といった直接の当事者が主体的に取り組むような組織のこと。東京都は各地域にこういった組織を創生していくことを目指すという。
───地区マネジメント組織としてすでに活動している事例はありますか?
小島:例えば渋谷区には駐車課題について地区全体で考える、地区マネジメント組織に類似した組織が既にございました。他の地区にもそういった組織があり、都内でゼロというわけではございません。なお、同一地区で既存の組織が存在する場合はそれを基本としつつ、必要に応じて構成員を追加するなど、多少の改組を行い、地区マネジメント組織を構成することとしております。例えば、場合によっては、電動キックボードを始めとした新たなモビリティ、サービス提供事業者などが加わっていくこともあることと思います。
───渋谷区等で似たような取り組みが先にあったわけですが、他の自治体にも紹介はされているのでしょうか。
小島:連絡会等にて共有しております。在り方には、今お話しした組織の作り方についても記載しており、また、組織の構成例として大丸有地区(※)/渋谷地区/吉祥寺地区を紹介しています。3地区の事例の通り、地区特性や開発の規模等も異なるため、地区マネジメント組織の構成について一律にこうというパターンではなく、複数の組織の構成の考え方や事例について示しております。
東京都のイメージをユーザーに伝えていく努力
───ユーザーの声は地域行政に届いていないと感じますが、ユーザーの声を届けるような場はありますか。
小島:国土交通省のバイク駐車場整備状況データや警視庁の路上駐車分布データなどを分析し、先ほどの連絡会等で「いま都内全域でこういう傾向ですよ」「全国に比べてもこうですよ」「ユーザーの声はこうですよ」と情報展開していきたいと思っています。
───二輪業界やユーザー団体から東京都等に情報やデータをお渡しして、連絡会等を活用し、区市町村や地区マネジメント組織へユーザーの声を届けることが大事ですね。
小島:そうですね。また啓蒙活動として、バイクの日のイベントに東京都のブースを用意いただき、都内のバイク駐車場マップ(東京都道路整備保全公社作成)を配布するといったことも実施しております。これに加え、イベント会場でアンケートを実施予定で、そういったユーザーの生の声について区市町村と共有してきたいと考えております。
───区市町村の様々な会議に出られて、地元自治体の駐車課題に対する現状認識やモチベーションはどうでしょうか。
小島:区市により、問題意識について強弱があるように感じております。例えば、電動キックボードに関する道路交通法改正の動向などについて、引き続き、積極的に情報共有していきたいと思います。また、多摩地域の方々からは「色々と事例を知りたい」などの声が実際に挙がってきています。地区マネジメント組織の立ち上げに際しての課題や立ちあがった後は、フェーズに応じた情報共有や技術的支援等、実施していきたいと考えております。
’22年8月19日のバイクの日イベント(有楽町駅前広場)には東京都もブースを出展し、駐車場マップを配るなど啓発活動を行った。来場したバイクユーザーには駐車場整備に向けたアンケートを実施、バイク駐車の実態や意見等について収集した。
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