![[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_02.jpg?v=1677578063)
“4ストロークこそ上級”。そんな時代にRZが待ったをかけた。軽量な車体にピーキーな2ストロークユニットを抱き、大排気量車を追い回す快感。’80年代はレーサーレプリカ熱が沸騰した時代だ。本記事では、レーサーとの同時開発を徹底し、圧倒的性能を持つ”公道レーサー”として人気を博したホンダ NSR250Rを取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
レーサーに保安部品を付けただけ〈ホンダ NSR250R〉
NS250Rはヒットしたが、TZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。しかしホンダも黙っていない。TZRの登場から約1年後の’86年10月、NSの発展型と言えるNSRをリリースする。この背景には当時、激化していたホンダとヤマハの市販レーサーによる争いがあり、この構図が公道モデルにも持ち込まれたと言える。
市販レーサーRS250Rと設計を共通化するのはNSと同じ手法だが、NSRの場合はさらに共通パーツが多く、RSにそのまま保安部品を取り付けたような仕上がりだった。90度Vツインはもちろん新設計で、軽量コンパクト化と摩擦抵抗の低減を促進。排気デバイスのRCバルブも備え、全域で力強い出力特性を発揮した。
目の字断面構造のアルミフレームもRS譲りで、軽量&高剛性を実現。乾燥重量はTZRをわずかに凌ぐ最軽量の125kgをマークした。ホイールは前17/後18インチ。TZR以降、フロント16インチ時代は終わりを告げたと言えよう。後発だけに性能はTZRを上回り、SPレースやTT-F3ではNSR以外は勝てなくなるほどの戦闘力。販売面でもライバルを圧倒する。
翌年になるとスズキがRGV250Γを投入するが、NSRも’88年型にフルチェンジ。初期型がかすむほどのパワーアップを果たし、「本当に45psか?」と皆が驚くほどだった。’90年代に入ると人気の面でも独走し、’92年6月には生産10万台を達成。2ストレーサーレプリカの本命にして、ブームの後半を象徴する1台と言えるだろう。
【’85 HONDA NSR250R】■水冷2ストV型2気筒 ケースリードバルブ 249cc 45ps/9500rpm 3.6kg-m/8500rpm ■125kg ■タイヤサイズF=100/80-17 R=130/70-18 ●価格:55万9000円 ※写真は’88年式のSP
’89年以降のSPは、乾式クラッチを採用。オイルを介さずに伝達効率を高めたレース仕様の装備で「シャラシャラ」という独特の音も特徴的だった。
金色に輝く’88SPの鋳造マグホイール(通称MAGTEK)。前後で約1.5kgの軽量化を達成したが、キズで腐食するため取り扱いに注意を要した。
ガードナーは、モリワキ在籍時代に名を上げ、’84年からWGP500にフル参戦。’86年からワークスのロスマンズホンダに加入した。ケガで欠場したスペンサーに代わって活躍し、’87年にチャンピオンを獲得。8耐では通算4勝を成し遂げ、日本での人気も抜群に高かった。
ホンダ NSR250Rの系譜
’86 ホンダ NSR250R:登場するや王者に君臨
【’86 HONDA NSR250R】目の字断面フレームの初期型。’88で早くもフルチェンを果たし、電子制御のPGMキャブや5角断面フレームを採用。歴代最強の呼び声も高い。’89では電子制御が進み、性格はややマイルドに。
’90 ホンダ NSR250R SP:ガルアームで熟成
【’90 HONDA NSR250R SP】’90で湾曲スイングアームを採用し、しなやかなハンドリングを追求。エンジン主要部は大幅に変更され、知能化も進んだ。乾式クラッチとSP同様の減衰力調整可能なサスを与えたSEを’91から追加。
’93 ホンダ NSR250R SP:40psモデルだがプロアームが魅力
【’93 HONDA NSR250R SP】自主規制により40psとなったが、片持ち式のプロアームや、カードメモリキーを採用。以降はカラーチェンジを繰り返し、’99年に発売された1000台限定のレプソルカラーSPが最後のNSRに。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
後輪を軸に旋回する基本通りに乗れる車体のしなやかさと従順かつ繊細なエンジン特性! 2ストロークエンジン・メーカーではなかったホンダが、’60年代に世界GP完全制覇の後に再挑戦した4ストNR500が思わ[…]
フランスヤマハのチームカラーが全世界で人気に! ヤマハファンならご存じ、フランスの煙草ブランドであるゴロワーズのブルーにペイントしたレーシングマシンやスポーツバイクたち。 その源流はワークスマシンのY[…]
輸出は250cc主体から世界GP制覇で125cc以下でも浸透をはかる! スズキは1965年、2ストローク2気筒のT20で世界進出を果たしていたホンダCB72やヤマハYDS2に続き、量産スポーツ初の6速[…]
新しい時代を切り開いたヤマハならではの技術 現代の目で見れば、至ってオーソドックスなネイキッドと思えるものの、’79年のパリ/東京モーターショーでプロトタイプが公開され、翌’80年から発売が始まったR[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
人気記事ランキング(全体)
最強のコスパ防寒着か? 進化した「GIGA PUFF」 まず注目したいのが、「GIGA PUFF フュージョンダウンフーディ」だ。価格は驚異の4900円。このフーディの肝は、中わたの量にある。従来製品[…]
ウインカーと統合したDRLがイカス! X-ADVは2017年モデルとして初登場し、アドベンチャーモデルとスクーターのハイブリッドという新しいコンセプトで瞬く間に人気モデルになった、ホンダ独自の大型バイ[…]
上旬発売:アライ アストロGXオルロイ アライヘルメットからは、ツーリングユースに特化したフルフェイス「アストロGX」のニューグラフィック「ORLOJ(オルロイ)」が12月上旬に登場する。この独特なネ[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
最新の投稿記事(全体)
「着る換気扇」サーキュレーターメッシュ 今回紹介するのは、2025年9月の発売からわずか2ヶ月半で累計3万枚を突破したという「サーキュレーターシリーズ」だ。最大の特長は、裏地に採用された「サーキュレー[…]
低中回転域の力強さとよく動くサスペンションが楽しい! CRF250ラリーは、ダカールラリーのワークスマシンをデザインモチーフとした異色の軽二輪アドベンチャー。車体にボリュームがあり、車重も開発ベースと[…]
「箱付き」だけじゃない! 旅仕様の全部入りパッケージ まず目を引くのは、その名の通りツーリングに特化した装備群。なんと、車体色に合わせたパニアケースと、トップボックスが最初から標準装備されているのだ。[…]
ライディングポジションに不満を抱えているナイトスタースペシャルオーナーに朗報 最新のシャーシ設計によるアイコニックなスポーツスターのデザインの車体に、強力な水冷レボリューションマックスエンジンを搭載す[…]
後輪を軸に旋回する基本通りに乗れる車体のしなやかさと従順かつ繊細なエンジン特性! 2ストロークエンジン・メーカーではなかったホンダが、’60年代に世界GP完全制覇の後に再挑戦した4ストNR500が思わ[…]
- 1
- 2

![ホンダ NSR250R|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_01-768x512.jpg?v=1677572087)
![ホンダ NSR250R SP|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_06-768x512.jpg?v=1677577960)
![ホンダ NSR250R SP|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_05-768x512.jpg?v=1677577958)

![ホンダ NSR250R|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_07-768x512.jpg?v=1677578400)
![ホンダ NSR250R SP|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_08-768x512.jpg?v=1677578403)
![ホンダ NSR250R SP|[’86-]ホンダ NSR250R:2スト全盛期を代表する傑作【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/090_09-768x512.jpg?v=1677578414)





































