排気量は896.8ccで、日本4メーカー最大
1972年秋にリリースした900SUPER FOUR(Z1)で世界最速の地位を盤石にしたカワサキは、当時水面下で2つのフラッグシップモデルを開発していたことが明らかになっている。1つは、SQUAREーFOUR 750(スクエアフォー750、’73年8月開発中止)で、水冷2ストスクエア4の750ccエンジンを採用していた。通称「タルタルステーキ」と呼ばれ、空冷2ストトリプルH2の後継にしてZ1を超える最速モデルを目指していたのは間違いないだろう。
そしてもう1つがこのX-99で、水冷ツインローターの896.8ccエンジンは87.8psを発揮。’74年当時で82psだったZ1を上回るパワーを発揮しており、オイルショックがなかったらZ1を超える次世代機として発売された可能性もあるだろう。また、X-99の2ローター896.8ccは4メーカー最大で、スズキRE5(497cc、1ローター、62ps)、ヤマハRZ201(660cc、2ローター、68ps)よりも1クラス上と言える排気量で、もちろんパワーも大幅に上回っている。ちなみにホンダの2輪用ロータリーエンジンは排気量不明だが、125ccの車体に搭載されていたことから最小排気量だったと思われる。
2ストのマッハシリーズに似たコンパクトな腰下に5速のミッションを備える。キャブレターは当時としては珍しい負圧式を採用しているようだ。
横置きのツインローター式のローターリーエンジンを登載。水冷エンジンはこの後1979年にZ1300がカワサキとして初採用して発売された。
メーターやハンドルまわり、タンクキャップはZ1と同じ。ハンドルクランプ部分に水温計と思われるテンプメーターを装備している。
こちらは初代Z1のハンドルまわり。X-99ともタコメーターのレッドゾーンは9000rpmからとなっている。
1974年に撮影されたと思われるX-99のエンジン内部の写真。ロータリーエンジンは西ドイツのNSU社とWankel社の共同開発で実用化された技術がルーツとなっており、これはマツダの4輪モデルと同じだ。
※本稿は2019年6月9日公開記事を再編集したものです。 ※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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