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0-1000mにおけるホンダ新旧CBR250RR対決、ヤマハFZR250R&YZF-R3対決、そしてストリートにおける比較や計測データ解析などを行なってきた4気筒250cc特集、第5回はメカニズムとディテールを紹介しよう。過去と現在では求められるスペックが異なり、そこからはハイパフォーマンス vs 高効率の構図が透けて見える。
●まとめ:伊丹孝裕 ●写真:真弓悟史
4気筒 CBR250RR(MC22):カムギアトレインが生む超高回転域の信頼性
クラス唯一のカムギアトレインを採用し、正確なバルブ開閉と低フリクション化を実現した高回転ユニット。最高許容回転数19000rpmはカワサキZXR250と並ぶ250cc 4気筒車の最高値だ。クランクシャフトはフルバランス型を採用し、高回転時の慣性力を相殺。コンロッドボルトには新開発の高強度新材を用い、大端部の強度と剛性が大幅に引き上げられた。軸径をφ3.5mmまで小径化した吸排気バルブは、排気側に高級素材のインコネルを採用する。
[ENGINE SPEC]■45ps/15000rpm 2.5kg-m/12000rpm■排気量:249cc■弁形式:DOHC4バルブ■内径×行程:48.5×33.8mm■圧縮比:11.5■燃料供給:キャブレター■最大許容回転数:19000rpm
エンジンの恩恵もさることながら、その官能サウンドに貢献しているのが4-2-1のエキゾーストパイプだ。排気抵抗の軽減が徹底されている。
2気筒 CBR250RR(MC51):クラス唯一のエンジンモード
アルミシリンダースリーブやモリブデンコーティングが施されたピストンなどによってフリクションの低減を徹底。また、クラス初のスロットル・バイ・ワイヤを採用することによって電子デバイスも充実。ライダーの好みや走行シーンに応じて、スポーツ+/スポーツ/コンフォートという3パターンの出力特性が選べる。
[ENGINE SPEC]■38ps/12500rpm 2.3kg-m/11000rpm■排気量:249cc■弁形式:DOHC4バルブ■内径×行程:62.0×41.3mm■圧縮比:11.5■燃料供給:インジェクション■最大許容回転数:14000rpm
4気筒 FZR250R:革新の排気デバイス、EXUPを採用
軽量ピストンやピストンクーラーを採用し、MC22に負けず劣らず、最高18000rpmまで許容する高回転型ユニット。シリンダー角は路面に対して45°前傾して搭載され、低重心化による軽快なハンドリングも実現している。また、エキゾーストパイプ内部に排気デバイスを装着し、パワーのみならず、リニアリティと扱いやすさが追求された。
[ENGINE SPEC]■45ps/16000rpm 2.5kg-m/12000rpm■排気量:249cc■弁形式:DOHC4バルブ■内径×行程:48.0×34.5mm■圧縮比:12.0■燃料供給:キャブレター■最大許容回転数:18000rpm
エキパイ集合部分にバルブを設け、回転数に応じて開閉する「EXUP(エグザップ)」を採用。トルクとパワーの両立を狙う。
2気筒 YZF-R3:レスポンスと低燃費のトルク型ユニット
60mmのボア径を持つR25のエンジンに対し、R3は68mm。ゆとりのある加速フィーリングを実現している。内部にはアルミ鍛造ピストン、浸炭コンロッド、DiASilシリンダーなどが採用され、スムーズな回転フィールを持つ。
[ENGINE SPEC]■42ps/10750rpm 3.0kg-m/9000rpm■排気量:320cc■弁形式:DOHC4バルブ■内径×行程:68.0×44.1mm■圧縮比:11.2■燃料供給:インジェクション■最大許容回転数:12500rpm
CBR250RR(MC22):軽量コンパクトなLCGフレーム
フレームをエンジンに近づけるように配することで低重心化が狙うアルミのLCG(Low Center of Gravity)フレームを採用。剛性の最適化とマスの集中化も達成している。
CBR250RR(MC51):しなやかなトラスフレーム
しなやかさと剛性を両立するトラス構造のスチールフレームとガルアーム状のアルミスイングアームを組み合わせた骨格。全幅は抑えられ、車体のスリム化に貢献している。
FZR250R:軽量なデルタボックス
メインフレームとスイングアームには、レーシングマシンと同様のアルミデルタボックスを採用。前端から後端にかけて細くすることで軽さと剛性がバランスしている。
YZF-R3:安定感のあるロングスイングアーム
メイン部分はφ35mmのスチールパイプダイヤモンドフレームに、左右非対称のロングリヤアームを装備。フロントにはφ37mmの倒立フォークが新たに採用された。
現行モデルはLEDが標準
灯火類はLED化が一気に進み、MC51やYZF-R3を含め、このクラスでも標準装備が進んでいる。時代を踏まえれば新しかったのがFZR250Rで、ヘッドライトにデュアルビームプロジェクターライトを採用。省スペース化に成功し、カウルを大きくスラントさせることができた。
各車のメーターまわり
[CBR250RR(MC22)]レーシングマシンを模したスポンジマウントの回転/ 水温計に、速度計を追加したようなデザインの計器類。レッドゾーンは1万9000rpmから始まる。
[CBR250RR(MC51)]ベゼル幅を薄くし、液晶部分を大型化したフルデジタル式。シフトタイミングライトと5連のレブインジケーターも装備。レッドゾーンは14000rpmから。
[FZR250R]MC22同様のスピードメーターをセパレートしたデザイン。レッドゾーンは18500rpmから。マスターシリンダーはタンク別体式を採用する。
[YZF-R3]YZF-R1のイメージを踏襲する大型デジタルディスプレイ。レッドゾーンは12500rpmから。トップブリッジにはMotoGPマシンをモチーフとした肉抜き加工を施す。
[Specifications]ホンダCBR250RR(MC22)/CBR250RR(MC51)
[Specifications]ヤマハFZR250R/YZF-R3
※本記事は2019年8月15日に公開した記事を再編集したものです。 ※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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