
’20年6月に発売されたヤマハのテネレ700が、新排ガス規制適合に伴いマイナーチェンジを実施。発生回転数はそのままに、最高出力は1ps、最大トルクは0.2kg-mそれぞれ向上し、燃費は微減。車体色は3種類とも変更され、中でもスピードブロックの復活はファン感涙だ。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:ヤマハ
ヤマハ テネレ700: 電子制御はABSのみだが不満のない好バランス
セロー250なきあと、ヤマハの正規ラインナップで唯一のアドベンチャーモデルとなったのが、このテネレ700だ。270度位相クランクを採用する688cc水冷並列2気筒エンジンは、共通のパワーユニットを搭載するMT‐07が一足先に新排ガス規制に適合。最大トルクが微減したのに対し、テネレ700は最高出力、最大トルクともに微増している。なお、それ以外のスペックは基本的にマイナーチェンジ前と共通だ。
【ヤマハ テネレ700】■全長2370 全高1455 軸距1595 シート高875(各mm) 車重205kg ■水冷4スト2気筒DOHC4バルブ 688cc 73ps/9000rpm 6.9kg-m/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量16L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=90/90-21 R=150/70R18 ●色:白 黒 青 ●価格:128万7000円 [写真タップで拡大]
【足回りに変更なし。ローも継続販売に】専用設計のフレームはダブルクレードルと表記されているが、ダウンチューブはエンジンガードとして寄与。ホイールトラベル量はフロント210mm/リヤ200mmで、フロントフェンダーは高さ調整が可能だ。ローシートとローダウンリンクで座面を約38mm下げた「ロー」も、同価格にて引き続きラインナップする。 [写真タップで拡大]
ヤマハ テネレ700:試乗インプレッション
終日雨という悪コンディションの中で、特に感心したのはエンジンの扱いやすさだ。今や原付二種スクーターにも採用例のあるトラクションコントロールすら付いておらず、パワーモードの切り替えもなし。それでも、スロットル開け始めからのレスポンスがスムーズで、パワーカーブが直線的だからこそ、ウェット路面でも不安なく扱えるのだ。
MT‐07よりも回転数ごとの表情の変化や、巡航中の鼓動感が薄いのは新型も同じだが、土砂降りの中を走って初めてこの実用性重視のエンジンに安心感を覚えた。付け加えると、シフト時の節度感のあるフィーリングや、操作力の軽いクラッチレバーも好印象であった。
ハンドリングは、リッターオーバーのアドベンチャーツアラーとは一線を画すもので、本格的なオフロード車のそれだ。とはいえ、前後サスペンションは悪路走破性を重視しつつも、一般公道では常に乗り心地の良さを享受でき、ラフなスロットル操作や急ブレーキでピョコピョコと動きすぎることもない。ウェット路面でも接地感は潤沢であり、高速道路を含むおよそ150kmの試乗において、不安を感じることは一度もなかった。
ブレーキは、オフロードでの扱いやすさを重視したもので、入力初期から穏やかに制動力が立ち上がるタイプだ。ABSが介入した際の作動もスムーズで、ウェットグリップの高い標準装着のピレリ スコーピオンラリーSTRと合わせ、雨の中を安心して移動することができた。
軸足はオフロードだが、そこに至るまでの道程も快適に走れるのがテネレ700であり、今回あらためてそのバランスの良さを実感した。
ヤマハ テネレ700 車両紹介
ヤマハ テネレ700:エンジン
ヤマハ テネレ700:足まわり
ホイールはフロント21インチ、リヤ18インチで、標準装着タイヤはピレリのスコーピオンラリーSTR。前後ともチューブ入りだ。φ43mm倒立式フォークとリヤのリンク式モノクロスサスペンションはともにフルアジャスタブル。ブレーキキャリパーは前後ともブレンボ製で、ABSは任意にカット可能だ。 [写真タップで拡大]
ヤマハ テネレ700:主要装備
[△] 2万2000円上昇は良心的と言えるだろう
テネレ700は、YSPとアドバンスディーラーのみで販売されるエクスクルーシブモデルであり、販売期間も限られるため、欲しい人は早めにショップで相談を。新型は2万2000円アップしたが、昨今の情勢を鑑みると良心的と言えよう。
[こんな人におすすめ] 他と一線を画すコンセプトこそテネレの魅力だ
他のアドベンチャーモデルのように、高速道路での圧倒的な直進安定性や、無風に感じるほどの防風能力こそないが、林道での扱いやすさはテネレ700の圧勝。ホンダからトランザルプ750が登場したら、熱い戦いになりそうだ。
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