
トリックスターのカスタム計画、ニンジャZX-25Rターボプロジェクト。最高速アタック車では250ccのマシンで250km/hを達成するという壮大な夢を追う一方、「市販バージョン」も同時開発中だ。ヤングマシンメインテスターの丸山浩がこの車両にガチンコ試乗! 袖ヶ浦フォレストレースウェイからその実力と完成度を余さずリポートする。
【テスター:丸山浩】お馴染みヤングマシンのメインテスター。今回は自身が主催する袖ヶ浦のマル耐にて試乗。「これだけパワーがあると足もやりたいし、ターボの音ももっと楽しみたい。色々欲張りになるね!」
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:トリックスター
アタック車に対して市販バージョンも開発中【トリックスター ニンジャZX-25Rターボ】
世界耐久や鈴鹿8耐で常に挑戦を続ける、鶴田竜二氏率いるトリックスターの「ニンジャZX-25Rターボプロジェクト」。内燃機関の可能性を追求するべく計画は進められ、ニンジャZX-25Rをベース車に約1年を掛けてチューニングが重ねられてきた。「ZX-25Rターボ」と名付けられたこのマシンの開発過程をヤングマシンも追跡。驚異のメーター読み250km/h達成をお伝えしたのも記憶に新しい。
さて、このZX-25Rターボだが、夢を追う最高速アタック用の車両と同時に「市販バージョン」も開発中だ。今回は袖ヶ浦フォレストレースウェイで完成目前の市販バージョンを試乗する機会を得た。
【TRICKSTAR Ninja ZX-25R TURBO|牙を隠す外観に対し、パワーの差は歴然!】マフラーのない左側面から見るとほぼノーマルだが、切り欠いたサイドカウルからわずかに覗くエアフィルターがターボチャージャーの存在を匂わす。
【青 STD/緑 トリックスター ZX-25Rターボ】ノーマルのNinjaZX-25Rの最高出力はカタログ値で45ps、シャシーダイナモによる実測(後輪出力)で37.22ps。対するトリックスターのターボ車(市販バージョン)は、約1.7倍もの63.3psを叩き出す!
【アタック仕様は驚異の243km/h達成!】ターボプロジェクトの最高速アタック車は、今年3月にJARIで行ったテストで、メーター読み252㎞/hを記録(実測は243㎞/h)。この車両は過給圧1.1bar/最高出力は約100ps。実にノーマルの2.6倍以上のパワー! 実測250㎞/hを目指し、アタックは現在進行形だ。
トリックスター ニンジャZX-25Rターボ 試乗インプレッション【まるで2ストローク!! テクは要るけど面白いぞ】
コースに乗り出してまず感じたのが安定性の高さだ。僕はかつて国産4メーカーが販売したターボ車もすべて試乗しているが、純正といえどもターボを安定させるのはなかなか難しいと理解している。その意味でこのマシンは、かなり高レベルでセッティングされている。
このコースを250ccで走るとトップエンドの速さは感じにくいが、このマシンは1万rpmから徐々にブーストが掛かってきて、1万2000から1万8000rpmまで気持ち良く伸びていく。表現するなら「現代に蘇る2ストローク」だ。
1万rpmまでは谷というほどではないけれど、若干ターボラグというか「ここからは出ないかな?」って思っていると、急にパーンッ! と飛び出していく。そのためコーナーでキチンと回転を合わせる、昔ながらの2ストロークに乗るような技術がそれなりに求められるのだ。
でも上手く回転に乗せられれば、パワーバンド自体は幅広いので、やっぱり速い! 250ccターボ車の速さを表現するのは少々難しいが、噂されている400cc版 ZX-4Rが登場しても、おそらく互角以上に戦えるんじゃないかと思う。
市販バージョンは過給圧を約0.6barに抑えているが、この仕様でも230km/hくらい出るという。試乗前は「アクセルを開けた時のターボ加速を楽しむバイクかな?」と思っていたが、この完成度ならばサーキットでも充分に戦える。
あとは耐久性。どこまでメンテサイクルを持たせるかはブースト設定次第だが、久しぶりにマニアが楽しめるターボチューンを味わえた。まずはトリックスターの挑戦に拍手。そして市販化が待ち遠しい。
トリックスター ニンジャZX-25Rターボ ディテール解説
【整然と配置されたターボユニット】排気ポートから短いパイプで集合したエキゾーストが、クランクケース直前に配置したコンパクトなターボチャージャーを駆動。コンプレッサーに直付けしたエアフィルターから吸気している。エアフィルターの後ろにはブースト圧を制御するアクチュエーターが備わる。燃調や点火時期などのセッティングは、高性能なアドオンモジュール(サブコンの呼称が一般的)のラピッドバイクで行っている。
ターボチャージャーは軽自動車のカスタム用ユニットを採用。低回転からトルクを出すには、もう少し小さいサイズの方が理想的だという。
STDの樹脂製エアボックスは過給圧に耐えられないので、サージタンクはステンレスで作成。内部のファンネルは国内用のノーマルを使用。
鈴鹿8耐をはじめ、レースでお馴染みのIKAZUCHIエキゾーストはターボ専用品。4気筒らしい高周波サウンドを発するが想像以上に静か。
トップブリッジにブーストメーターとラピッドバイクのコントローラーを装着し、タンク上に過給圧のコントローラーを装備。
今回試乗した市販バージョンのブースト圧は0.60.65barにセット。ちなみに最高速アタック車は2倍近い1.1barをかけている。
燃料タンク上面に貼り付けたブースト圧のコントローラー。まだ細部を詰めている状態なので装備しているが、市販時は非装備の可能性が高い。
ZX25Rターボの開発を担当する国際レーシングライダーの山本剛大氏(右)と、メカニックの中村公次氏(左)。まったく未知の状態から、普段乗りができるレベルにまで育て上げてきた。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
660ccの3気筒エンジンを搭載するトライアンフ「デイトナ660」 イギリスのバイクメーカー・トライアンフから新型車「デイトナ660」が発表された際、クルマ好きの中でも話題となったことをご存知でしょう[…]
CB1000 SUPER FOUR BIG-1の400cc版でスタート、1999年のHYPER VTEC搭載で独り舞台に! 2019年モデル発表後、期間限定で2022年まで販売され惜しまれつつホンダの[…]
1980年代の鈴鹿8時間耐久の盛り上がりを再び起こしたい 設楽さんは、いま世界でもっとも伸長しているインドに2018年から赴任。その市場の成長ぶりをつぶさに見てきた目には、日本市場はどう映っているのだ[…]
カワサキUSAが予告動画を公開!!! カワサキUSAがXで『We Heard You. #2Stroke #GoodTimes #Kawasaki』なるポストを短い動画とともに投稿した。動画は「カワサ[…]
最新の記事
- 中古バイク購入前に読みたい! 完調がわかるホンダCBR600RR(2020) 公道試乗レビュー[自分だけのバイク選び&最新相場情報]
- スズキ新型「DR-Z4S」「DR-Z4SM」発売早よ! 軽量ハイパワーの400ccトレール/モタード、6月以降に全国3都市で跨り展示
- 蚊を寄せつけず、紫外線もカット! 熱い夏のツーリングが快適になる高機能アームカバーが新登場
- 愛らしさも楽しさもサイズ以上:ホンダ「モンキー125」歴代カラー大図鑑【最新相場もわかる2018~2024年モデル】
- ベスパの2025年モデル・7機種にニューカラー&グラフィックを導入、5/24発売
- 1
- 2