バイクメディア編集者が選ぶ人生最後のバイクとは SV650/Z1/XR250/テージ3Dネイキッド〈上がりのバイク論〉

総決算として、バイクライフ最後の1台を選ぶとしたら…。“上がりのバイク”は、人それぞれ、バイクへの考え方がモロに露出する正解のない概念だろう。…というわけで、2輪業界の様々な識者たちに質問してみた。「アナタにとっての“上がりバイク”を教えて下さい!」本記事では、ヤングマシンと関わりのある4名の編集者の”上がりバイク”と、そのマシンを選んだ理由を紹介する。


●文:ヤングマシン編集部

初期ヤングマシン編集 田中三郎氏の上がりバイク:スズキ SV650

ヤングマシンを擁する内外出版社の元編集部員で、数々のバイクを乗りこなしてきた初期ヤングマシンのメンバー。’02年に退職し、セカンドライフを満喫中。

今乗っているW650が気に入っているので、“これが最後でいいかな”と思っていたのですが、最近、重さが気になってきました。

ガレージの出し入れや細い道のUターンが以前より大変なんです。今年75歳になるのですが、それを年初に意識した途端、急に体力が衰えてきたんですよね。前は一週間ぶっ続けでゴルフしても平気だったけど、今は3~4日続けるとグデッとなっちゃう(笑)。

そこで、車重200kg以下で500cc前後のバイクを「上がり」にしたいなと考えています。

250ccクラスは軽いけど、どうしてもスロットルを開けないと加速感がないので、スピードが出てしまうのが嫌なんです。加えて、長距離を走る機会もあります。先日、自宅の伊豆高原から千葉まで、元ホンダ広報のカメちゃんや山田純さんらバイク仲間と一緒に500kmほどツーリングしたんですけど、やっぱり250じゃキツい。

それにスーパーカブを上がりバイクとして挙げる人も多いと思うけど、「足」としてのバイクは自分にとって「上がり」じゃないかな。

そう考えた時に、当てはまるのはスズキのSV650。もし「GB350の500cc版」が出るなら、ソッチが一番かな。SVは軽くて車格もコンパクトと評判がいいですよね。ただし、まだ乗ったことないので、ヤングマシンで貸してくれないかな(笑)

気筒数にこだわりはないけど、4気筒はさんざん乗ったし、元々単気筒と2気筒が好き。メグロの500にもずっと乗っていましたしね。

ただ旧車は転倒した時にパーツがなさそうなのでやめておきます。CB72とか77、BSAのB33、モトパリラ175、BMWのR65などなど昔乗って忘れられないのはいっぱいあります。でも高いし、自分で修理するのは嫌。俺は整備も自分でするけど、バラすと組み立てられない。昔GT380でレースやってた頃、オーバーホールしたらいっぱいネジ余ってたから(笑)。

そういうのを抜きにした理想の上がりバイクは、昔のボンネビルT120ですね。車重が軽く、650ccでレスポンスもいいから快適に走れる。ただしキックなんで、今乗ったらエンジンかけられないかもね。欲しいバイクはいっぱいあるけど、体力もないし、やっぱり乗るバイクは限られます。

いずれにせよ今後もバイクは乗り続けます。歩ければバイクには乗れますから。それでも乗れなくなったらサイドカーでも作ろうかな。

【SUZUKI SV650】

’72年創刊のヤングマシンに、田中さんは’75年に合流。以来数々の車両テストを経験。中にはワークスRVFも!

W650に加え、R1-Zとセローが現在の愛車。走りには年齢を全く感じさせない。

上がりの輸入車は?:ビモータ テージ3Dネイキッド【現役編集者に聞く】

【回答者|小川勤 AGE:48】2輪WEBメディア「MIGLIORE(ミリオーレ)」ディレクター

この10年ほど、僕の上がりバイクNO.1は、ビモータのテージ3Dネイキッド。大好きなドゥカティの1100cc空冷Lツインエンジンを搭載する、ドゥカティエンジン最後のビモータだ。

単気筒並みにスリムなエンジンをアルミ削り出しのオメガプレートで挟み、前にもスイングアームが伸びた独創的な車体構成は、抜群のハンドリングと乗り心地を披露。フロントのハブセンターステアは、ツーリングや市街地、サーキットでもライダーの操作にどこまでも忠実で、そして正確に応えてくれる。

乗り味に見た目が醸す奇抜さはなく、これは国産車では絶対に到達できない境地。こんなライトウエイトなスーパーハンドリングマシンは、規制などを考慮すると今後登場することはないだろう。ちなみに30年乗り続けているヤマハSRは、キックが踏めなくなるまで乗る予定だ。

【bimota テージ3Dネイキッド】

上がりのツーリングバイクは?:カワサキ Z1【現役編集者に聞く】

回答者|神田英俊 AGE:48】ツーリング誌「モトツーリング」編集長

客観論で正解はないと思う。しかし、僕にとっての“上がりのツーリングバイク”であれば、通称Z1と呼ばれるカワサキの900スーパー4を推したい。このマシンとは既に20年以上の付き合いになる。ワインディング/高速/市街地は勿論、意外とダートでの安定性にも優れており、僕にとって日本全国を巡り共に縁を紬いできた相棒かつ、孤高のアドベンチャーマシンなのだ。

スペックにおいては現代のマシンには全く敵わない。しかし、そんな事はどうでもいい。乗って楽しく、所有感を満たし、壊れず、何処までも何処へでも気軽に行ける(本人主観)。要は自分が満足すればいいのだ。様々なマシンを乗ってきたが、最も落ち着くのはこのマシンの前。貴方にとっての“上がりのツーリングバイク”も、実は既に出会っているのかもしれない。

【KAWASAKI Z1】

上がりのオフロード車は?:ホンダ XR250【現役編集者に聞く】

回答者|小川浩康 AGE:53】オフロード誌「GoRIDE(ゴーライド)」編集長

「上がりのオフロードバイク」とは、最後にどんなオフロード遊びをしていたいか? ということだと考えます。私はモトクロスなどのレース経験もありますが、最後はマッタリと林道ツーリングを楽しみたいと思っています。飛ばすつもりはないですが、林道での軽快な走りと高速道路移動を考慮すると、250がベストバランス。となるとセロー250と思うでしょう。が、私にはライポジが窮屈すぎて長距離が辛いのです。

仕事柄いろいろなバイクに乗ってきましたが、ライディングポジションと乗り味が一番フィットしたのがXR250(MD30)でした。突出した動力性能はないけれど、カブを250にしたような扱いやすさと乗りやすさがあり、どこまでも走っていけます。そんなXR250ですが、じつは愛車歴17年目。私のバイク人生はすでに余生なのかもしれません…。

【HONDA XR250】


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