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参入初年度にして40億円も売り上げるなど、キャンプギアも好調なワークマンが2022年9月14日、新宿の住友三角会場にて過去最大規模となる「2022年秋冬新製品発表会」を開催した。主力PB製品260アイテムについて来年8月まで価格据え置きを宣言したほか、初公開となるキャンプギアのプロトモデルも展示。気になった製品と合わせて紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:大屋雄一、ワークマン ●外部リンク:ワークマン
作業服業界は10月から一斉値上げ、でもワークマンは据え置き
価格据え置きを宣言した土屋哲雄専務取締役。
2022年2月にキャンプギアの本格展開をスタートしたワークマン。テントやシュラフ、タープなどの主力製品については、基本的にWEB注文後に実店舗で受け取るという無在庫販売方式にもかかわらず、初年度ですでに40億円もの売り上げを達成した。4900円という最も安価なソロ用のBASICドームテントに至っては、販売数が4万点(!)を突破したとのことで、これ以上ないスタートダッシュを切ったと言えるだろう。
そんな販売好調なワークマン。昨今の円安・原料高・輸送費高騰という三重苦の中、2022年2月に「PB製品の1年間価格据え置き」を宣言して話題となったが、今回の秋冬新製品発表会においては、これをさらに延長することをアナウンスした。
価格据え置きの対象となるのは、PB製品の中でも販売ランキング上位300アイテムのうちの260アイテムで、これは全売り上げの65%を占めるという。先の三重苦の影響でアパレル業界全体の価格改定(作業服業界は10月に10~15%一斉値上げ)が進む中、ワークマンは価格据え置きを選択したことで相対的な競争優位が生まれることになる。
キャンプギア業界への参入がアパレル製品のコストダウンに直結
フュージョンダウンを使用したアパレルとシュラフ。天然ダウンの保温力と吸湿発熱わたの発熱性がポイントだ。
価格据え置きの要因として効果的だったのは、高機能な独自開発素材の横展開だったという。例えばフュージョンダウンという素材。これは天然ダウン、フェザー、吸湿発熱わたを組み合わせた中綿で、もともとはダウンジャケットなどの防寒着用に開発されたものだが、これをシュラフにも採用。1アイテムあたりに使用する中綿量は衣料品の数倍にもなるため、コストダウンの大きな要因となった。
こうしてキャンプギアへの横展開を図った独自開発素材は、針穴自動修復機能を持つリペアテック、防融加工のフレイムテックなどがあり、こうした動きは今後さらに加速しそうだ。
Coming soonのコーナーに展示されていたトンネル型テントと、その手前にあるマネキンが背負っているのはワークマン初となる登山用バックパック。容量は85リットルで、その右下にあるチェアに置かれているのは容量50リットル。これらすべてに高機能透湿防水素材のイナレムが使われており、これも独自開発素材の横展開の一環だ。なお、いずれもプロトモデルであり、製品化も含めて価格や販売時期は未定だ。ちなみにテントのリビングスペースには犬用コットの試作品も。
同じくComing soonのコーナーに展示されていたユニークなテント。ドーム状のタープと、フライシートにTC(ポリエステルとコットンの混紡)素材を使ったテントを組み合わせたもので、タープに対してテントの位置を前後方向へ自由に移動できるのがポイント。小川張りと呼ばれる難易度の高いタープの張り方ができない人でも、広いリビングスペースを作り出せるのが特徴で、さらに濡れると乾きにくいというTC素材の弱点も補うことができる。こちらも製品化を含めて価格や販売時期は未定だ。
バイク+キャンプの楽しさを想起させるカブ系との展示も
フィールドコア・耐久撥水ツーリングシェルター1人用(1万4800円)は、前室が広い2ルームタイプ。バイクが並ぶことで大きさがイメージしやすいはずだ。クロスカブ110のリヤキャリアに積んでいるのは、フィールドコア・ピックアップボストンキャリー(7800円)で、容量は約47リットル。キャリーバッグにもバックパックにもなる優れものだ。
CT125・ハンターカブの左側にあるのは、フィールドコア・レジストツーリングテント1人用(9800円)だ。フライシートの裾にスカートが付いているので防風効果が高く、また耐久撥水機能や紫外線カット機能などワークマンらしい高機能を盛り込んでいる。ちなみにハンターカブは「荷物が積みやすいですね」と、ワークマンスタッフにも好評だった。
看板商品のイージス防水防寒スーツはCBR250RRとセットで
価格据え置きどころか、値下げに踏み切った製品もある。それがワークマンの秋冬シーズにおける看板商品、イージス・防水防寒スーツだ。今季は「リボーン」をテーマにフルモデルチェンジし、使われるシチュエーションに応じたスタイル特化型に。新しいラインナップはバイク向け、フィッシング向け、ワーク向け、そしてスキー&スノボ向けの4種類で、価格はいずれも上下セットで4900円に設定。前作が6800円だったので大幅値下げだ。しかも透湿度は5000g/m2/24hから4倍(!)となる2万g/m2/24hへと飛躍的に高めてきたほか、バイク用のみ中綿量を140gから200gへと約43%も増やし、大幅に防寒性を高めている。CBR250RRと絡めた展示からも気合いの入り方が伝わるだろう。
他社とのコラボも? 新製品以外の動きにも要注目だ!
キャンプギアに関しては、無在庫販売方式が大型テントなどの商材を扱ううえでの強みとなっており、2023年度には販売計画を60億円、2024年度には100億円にしたいという。さらに2023年2月からレディースインナーにも参入するとのことで、今後も動向にも注目していきたい。
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