ヤマハの実証実験用電動スクーター「E01」の試乗会がクローズドエリアで開催された。8.1kW(11ps)の原付二種クラスであり、満充電での航続距離は約104kmを公称する。車体サイズは125ccのNMAXとほぼ同等。最新型のEVバイクの実力を、土砂降りの中でチェックした。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
ヤマハ E01 概要
静粛かつ無振動で疲れない。これぞ通勤バイクの理想形
EV市場本格化に向け、ヤマハが実証実験用に開発したのがE01だ。残念ながら商品としての市場投入予定はなく、またこの号の発売日にはすでにリースの応募期間は終了している。つまり、これを読んで初めてE01の存在を知った人は試乗の機会すら望み薄なのだが、コミューターとしての完成度は非常に高く、電動バイクに興味のない人にこそぜひそれをお伝えしたい。
E01は、都市間の移動を想定した原付二種クラスの電動スクーターで、車両固定式のリチウムイオンバッテリーと、出力8.1kw(11.0ps)の高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーターを搭載する。走行モードは出力の高い順にPWR/STD/エコの3種類から選べ、エンジンブレーキの感覚を再現した回生ブレーキ/トラクションコントロール/リバース機能まで備えている。フレームはもちろん専用設計で、ホイールは前後とも13インチ。シート下のメットインスペース/フロント左右にあるトランク/DCジャック/スマートキーシステムなど、ユーティリティ面は最新の原付二種スクーターとほぼ同等だ。
終始雨の中、最も元気の良いPWRモードでスタートする。スロットルを開けると無音の状態からマシンが動き出し、そこからの加速は極めてスムーズだ。聞こえてくるのはかすかなモーター音のみで、体に伝わる振動もメカニカルなものは皆無。そして、加速だけでなく減速方向もスロットルの動きに対して忠実で、自在に操れることの気持ち良さがそこにある。なお、STDモードはPWRよりもわずかに加速がおとなしい程度で、エコは明確に穏やかなフィーリングへと変わる。
ハンドリングは、特にリヤサスペンションの動きの良さが際立っていた。ユニットスイングのNMAXと比較するとその差は歴然で、バネ下重量の重要性を痛感することに。また、操縦性自体もNMAXより倒し込みや切り返しが自然に感じたほどで、これはバッテリーを車体中央に置いた結果、理想的な前後重量配分に近付いたのかもしれない。
さて、電動バイクで最も気になるのは航続距離だ。満充電から約104kmを公称するが、今回の試乗会では狭いコースで加減速を繰り返したため、残量ゲージがみるみる減っていった。ライダーの体重や路面の勾配など、負荷条件によりバッテリーの減り具合は大きく左右されるため、このあたりは実証実験の結果を待ちたいところだ。
ヤマハによると、E01の2次リースについて年内に検討中とのこと。気になる人は公式サイトでチェックを!
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