北欧スウェーデンのハスクバーナから「北=NORDEN」の名を冠する本格アドベンチャーが登場。モダンなシルエットに高い走破性を融合し、数年かけた実走テストのもといよいよ市販版が日本にも上陸だ。ヤングマシンのメインテスター・丸山浩がさっそく試乗インプレッションを行なった。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:ハスクバーナモーターサイクルズジャパン
手強いシート高だが軽さに助けられる
ハスクバーナモーターサイクルズは、もともとモトクロッサーやエンデューロレーサーなどで名を馳せた超本格オフロードブランド。KTMグループに参加した現在は、そのエンジンや車体をベースにしたヴィットピレンやスヴァルトピレンといったモダンクラシックでユニークなマシンも製造。満を持して発表した今回のノーデン901は、そんなハスクバーナのオフロードノウハウとモダンスタイルが高次元で融合した新しいアドベンチャーモデルだ。
エンジンは889ccの水冷並列2気筒。したがってミドルクラスにあたるわけだが、車格はリッタークラス並みにデカい。シート高は2段階に調整できるが、ローポジションに設定しても両足では地面に届かない854mmとなかなかの高さだ。ちなみにハイポジションだと874mmとかなりシビれる。ただ、またがってみるとサスペンションが柔らかく意外と沈み込んでくれるので、片足さえ着けばマシンを支えるのはイメージよりも楽だ。サイドスタンドを払ってからのマシン引き起こしも同様。車格と足着きの厳しさから重たそうだと覚悟していたのだが、その部分はミドルクラス。車重は燃料を除いて約204kgとホンダのアフリカツイン(MT/STD)と比べても25kgほど軽いだけでなく、ガソリンをタンク内部で左右の低い位置に振り分けて低重心化が図られており、車重以上の軽さが生まれている。
ライディングポジションは、いかにも長距離を乗り続けても疲れないグランドツアラー的な設定だ。カッチリしてコシのあるシートに、手を伸ばせば自然な高さと距離にあるハンドルバー。ハンドル幅がそんなに広くないのも、オフロードに特化したというより多分にオンロード移動も意識した印象を受ける。シートの高さと対象的にステップ位置が低いので、膝の曲がりも緩く下半身に窮屈さはない。
本格オフ性能も、ツアラー性能も優秀だ
走り出してみると、エンジンフィールはけっこうパワフル。アドベンチャーでもオンロード寄りのグランドツアラー的性格を持たせたかと思いきや、本格オフに備えた元気のいい味付けだ。ライディングモードはストリート/レイン/オフロードの3つが標準で用意されているが、オフロードモードだと通常のライディングではレスポンスがちょっと過剰なくらい、かなりのパンチ力。ここは素直にストリートモードが最適だ。ちなみに上下両方向のオートシフターは低速域からでも小気味よく作動する。これは楽だ。
峠のワインディングへマシンを走らせていくと、スクリーンと大きなカウルが防風性能を発揮し、ヘルメットの上を風が掠めていくのが分かる。ハンドルバーの横幅もやはりワインディングを走るときにジャストサイズ。足着きさえ我慢すればなんだかスタンディングポジションのままマシンに座っているような印象で、これならいろんなシチュエーションの下、疲れずに乗り続けることができそう。このあたりのグランドツアラーとしての部分は、しっかり作り込まれた印象だ。
ワインディングも得意だが真価を発揮するのはハードな林道!!
そして、いよいよノーデンの真価を発揮するべく、ハードな林道といった感じのテストコースに突入! 正直に言うと、最初はこのオシャレなカウルデザインから本格オフロードでの性能が高いとは思っていなかった。しかし、何年もかけて過酷な条件下での実走テストを続けていたというのは伊達ではなかった。WP製の前後サスペンション/ワイヤースポークの大径ホイール/ピレリのブロックパターンタイヤ、そしてオフロードモードのパンチ力が、ぬかるみやギャップに音を上げることなく確実な走破性をみせてくれる。しかも車重が軽いので、意のままにマシンを操ることが可能だ。
もちろんパワーがあるので、フロントやリヤが流れ出すことはある。そんなときにリッタークラスのこの車格だと、車体前後で重量物が揺り戻しを起こしてコントロールが大変になるところ。しかし、それさえも前述したガソリンタンク内部の低重心化構造など、徹底的なマスの集中化のおかげで素早い立て直しが利く。オフロード初心者だと乗りこなすのは難しいと思うが、足を着かなくても平気な経験豊かなライダーなら、どんどんと荒れた林道に入っていきたくなるはずだ。ひととおりオフロード走行を終えた後、泥だらけになったノーデンの姿を見て、オシャレなマシンがこうして汚れてしまった姿というのも、結構悪くないものだなと新たな発見。本気の性能を堪能した後での洗車は、また楽しみのひとつになるかもしれない。
グランドツアラーの快適性とアドベンチャーの軽さを両立
ノーデンはクルーズコントロール/トラクションコントロール&ライディングモード/オートシフターといったグランドツアラーに不可欠な電子装備を持ちつつ、それ以上の快適装備はあえてオプション設定とすることでミドルクラスならではの軽さを維持。ここに高性能な足回りと元気のいいエンジンが加わることで本格オフを走ってみる気にさせてくれる。重いリッタークラスのアドベンチャーに対し、そこが最大の強みだ。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
時代を超越する新しさを感じさせる北欧デザイン ノーデン901のスタイルはとても不思議だ。クラシカルな印象を持つ丸型ヘッドライトはどこか愛嬌を感じさせつつも、モダンでスタイリッシュ。そしてアドベンチャー[…]
動画はコチラ→車格は大きいが軽量/低重心で扱いやすい!〈ハスクバーナ ノーデン901〉[…]
回す楽しさ、操る快感。バイクの本質ここにあり '21年型は401/250/125で展開されているスヴァルトピレン。近年のカテゴライズならネイキッド系に分類されるだろうが、そこにはスクランブラーやクラシ[…]
【HONDA】国内メーカーで唯一のカープレイ採用車も! 採用システムその1:アップルカープレイ&アンドロイドオート 国内メーカーで初めてカープレイを導入したのがホンダ。ツアラー系旗艦の'18ゴ[…]
ルーツは砂漠の戦場!? 1980年代ダカール・ラリーでBMWが新しいカテゴリーを生んだ 最近Newモデル情報で見かけることの多いアドベンチャー・ツアラー。今までのツアラーとは異なり無骨で逞しい。砂漠や[…]
最新の記事
- ホンダが電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本トライアル参戦! ライダーは元世界チャンピオンの藤波貴久
- 独尊の水冷V型2気筒クルーザーに待望の250が登場! ヒョースン「GV250」シリーズ3機種を一挙発売
- ヤマハの新型モデル「YZF-R9」日本発売は2025年春以降! ウイングレット装備の3気筒スーパースポーツ
- 【正式発表間近】カワサキが「W230/メグロS1」「KLX230/S/SM」の発売時期を明らかに!
- 【SCOOP特別編】ホンダ新型CB400は…こうなる!! プロがその姿を大胆予想〈③装備&デザイン編〉
- 1
- 2