忘れ去られたレーシングマシンの魂を2人の少女が救う

セローでツーリングの名所を巡る『終末ツーリング』第3巻発売……世界に誰もいないけど、サーキットは誰かと走りたい。

終末世界の、人の気配が消えたツーリングの名所をバイクで走ったら……。そんな幻想的なシーンが繰り広げられる「終末ツーリング」というマンガをご存じだろうか。2021年4月に第1巻が刊行され、2022年5月27日に第3巻が発売されることになった。

内燃機関が終焉した先を思わせる展開が思わず涙を誘う?

終末世界をトコトコと。箱根の山から都内へと抜け、人々の姿がなくなった都市を散策する。抜群の機動性を誇り、今なお名車と呼ばれるセロー225を電動化したバイクで、少女2人が旅をする……。そんなマンガの第3巻が発売される。

第3巻の帯に書かれたキャッチは「世界に誰もいないけど、サーキットは誰かと走りたい。」だ。ちなみに第1巻は「世界も滅んだし、セローで旅に出よう。」、第2巻は「渋滞なし 信号なし 文明なしのバイク旅。」だった。

同作は一見すると突飛なマンガにも思えるが、災害時に強いセローの機動性や、速さではなくトコトコ走りのほうがバイクらしいと認められるようになってきた現代の雰囲気など、じつは時代性をとらえた1作とも言える(かも)。第3巻では、廃墟と化したモビリティリゾートもてぎを訪れ、ホンダコレクションホールに動態保存されていたNSR500、それもゼッケン46番のマシンと出会い……。

そこで起こる何かは、これから先に訪れるかもしれない内燃機関の終焉とその先を想起させるかのよう。そんな“夢のあと”をほのぼのとした筆致で描く良書が、これから時代をつくる世代には共感を、スピードに疲れた大人には癒しを与えてくれるかもしれない。

『終末ツーリング』第3巻 ●作者:さいとー栄 ●価格:737円 ●発売日:2022年5月27日 ●出版社:KADOKAWA


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