’19年に復活したカワサキのW800シリーズと、その派生車として’21年に登場したメグロK3が、揃って’22モデルで新排出ガス規制に対応した。エンジンに関するスペックはほぼ変わっておらず、W800シリーズに関しては車体色の変更とカワサキケアモデルの設定が主な変更点。今回はSTDに試乗した。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:長谷川徹 ●取材協力:富津漁業協同組合 ●外部リンク:カワサキ
’22 カワサキW800 概要
[◯] 規制強化のネガはなし。この味わいは唯一無二
令和2年排ガス規制の適合にあたり、継続車は出力ダウンした分を排気量アップその他でつじつまを合わせる中、カワサキW800シリーズは具体的な変更点に関する説明はなし。エンジンの諸元は、各変速比や1次/2次減速比まで変わらず、WMTCモード値が微減した程度で、ほとんどの人は気に留めないだろう。’19年にラインナップに復帰した際、今回の排ガス規制を前倒しで採用していたのかと思いきや、車検証の型式は2BLから8BLへと変わっている。そこで新旧のパーツリストを見比べたところ、どうにかECUの部品番号が異なるのを発見できた。なお、真っ先に変更されそうなマフラーなどは新旧共通であり、ゆえに具体的なアナウンスがなかったのだろうと納得がいく。
さて、その新排ガス規制をクリアした773cc空冷バーチカルツインは、規制前に抱いていたイメージと寸分違わず、低中回転域のフィーリングが艶っぽくて良い。具体的には2500〜4000rpm、ちょうど交差点から立ち上がるときや、高速道路を80〜100km/hで巡航する際に多用する領域だ。重量級のフライホイールマスが生む独特の蹴り出し感や、濃密な脈動感は唯一無二のもの。スロットルを大きく開ければ、突進するほどに速く、レッドゾーンの始まる7000rpmまで余裕で吹け上がるが、心地良いのはその半分ぐらい。排ガス規制対応によるネガは一切感じられず、またコクッとスムーズに決まる極上のシフトフィールも含めて、よくぞここまで磨き上げたものだと感心しきりだ。
ハンドリングは、取り回しや微速域での操舵がやや重いものの、フロント19インチらしい旋回特性や安定性は、見た目から受けるイメージを裏切ることはない。バリエーションモデルのカフェとストリートは、前後とも18インチホイールで、現代的なネイキッドに近いモダンなハンドリングなのに対し、STDモデルは旧車らしい味わいがある。高速道路では、前後サスペンションにややダンピング不足の症状が出るが、法定速度内であれば許容範囲と言える。ブレーキ性能も含めて、バランスとしては秀逸だ。
カワサキW800(STD)ディテール解説
エンジン:WMTCモードは21.1→20.9km/Lへ。ほかは変更なし
足まわり:アルミリムの軽量スポークホイール。ABSを標準装備
主要装備
[△] カワサキケアが付帯し7万7000円アップ
1か月点検に加え、3年間の定期点検とオイル&フィルター交換を無償で受けられるカワサキケアが付帯することに。W800のように電子デバイスがABSぐらいだと、自分でイジりたい人も多いだろうが、そうでない人にとっては安心材料に。
[こんな人におすすめ] 新色のレッドは深みがあって注目度バツグン
’19年に復活して以降、メグロK3も含めてシリーズ全車に試乗したが、空冷バーチカルツインの艶っぽいフィーリングに毎回癒やされており、それは新排ガス規制適合後も不変だ。新色の赤は実に鮮やかで、一見の価値アリ。
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