走り継ぐべき絶版オフロードマシン:’87 ホンダTLM200R〈Past Time Review〉

走り継ぐべき絶版オフロードマシン・’87 ホンダTLM200R

現行ラインナップとして今はなくても、あの頃の憧れや、もう一度乗ってみたいという思いを叶えてくれる絶版車。数ある絶版車オフロードマシンの中から、ホンダのナンバー付きトライアルマシン「TLM200R」を紹介する。


●文:ゴー・ライド編集部(青木タカオ) ●写真:栗田晃 ●外部リンク:レッドバロン

ナンバー付きでも高い戦闘力を誇った

かつて根強い人気のあったナンバー付きトライアルマシン。ホンダTLシリーズは、その代表格といっていい。ルーツを辿れば、’73年に発売したホンダ バイアルスTL125までさかのぼることができる。低速の粘りに重点を置いた4サイクルOHC単気筒エンジンを積む、国内初の本格派トライアルマシンであり、競技人口を増やすきっかけをつくった。’70年に競技専用のTLが、’76年にトライアル入門用のTL50も登場。’81年にはイーハトーブTL125Sが発売されている。

レーサーレプリカブーム全盛の’83年には、トライアル世界選手権において サイクルエンジンで史上初のチャンピオンに輝いたRTL360譲りの高性能マシンTLR200がデビュー。トライアルの人気ぶりをうかがわせた。

TLM200Rは’85年3月に初期型が発売された。軽量小型設計の空冷2サイクルエンジンは、粘り強く滑らかな出力特性を引き出す大容量フライホイールや、燃焼効率にすぐれる半球型燃焼室を採用。フレームは高剛性のダイヤモンド式で、メインチューブ内をオイルタンクとして活用するなど徹底した軽量化を図り、車体重量86kg(乾燥)という驚異的なライトウェイトを実現している。

【HONDA TLM200R】■全長2010 全幅820 全高1075(各mm) 車重86kg(乾燥) ■水冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒 193cc 13ps/5500rpm 1.9kg-m/4000rpm キック始動 ■タイヤサイズF=2.75-21-4PR R=4.00-18-4PR ●発売当時価格:32万9000円 ※撮影協力:レッドバロン 絶版車でもレッドバロンの”譲渡車検付き”であれば安心して楽しめる。

最低地上高315mmを確保しつつ、軽くて強靭なアルミ合金製大型スキッドプレートを装着。ハンドル切れ角を左右68度にするなど、ロードスポーツやデュアルパーパスがそうであったように、ナンバー付きトライアルも競技専用マシンに近い過激な作り込みがされていたのだ。

今回紹介しているのはその2型にあたり、’87年2月に発売された。フレームを活用したオイルタンクやバッテリーレスの電装システムなど、とことん軽量化された車体が人気を博し、タンクキャップにキーを追加するなど装備面を充実させたものの、車体価格は32万9000円据置きのままだった。

さらに吸排気系の見直しもあり、加速騒音を低減。市街地からツーリングまで、より幅広い使い勝手となるよう最終減速比も変更した。足まわりも強力で、フロントに180mmのクッションストロークを確保するエアアシストサスペンション、リヤには路面追従性にすぐれるプロリンクサスペンションを採用。ボディラインと一体感があり、スムーズな体重移動ができるボトムレスシートや、弾性と強度を両立するタンジェントロケイテッドスポークなど、本格的なトライアル競技が楽しめた。

車体色はHRCホンダレーシングの市販競技専用車TLM240Rとまったく同じで、ファンにとっては垂涎の的。ホイールリムにもホワイト塗装が施され、より軽快でスポーティなものとしている。その姿は、いまなおスタイリッシュだ。

本格的なトライアル競技にチャレンジしつつ、ツーリングも楽しめるトライアルマシンTLM200Rは、1985年3月に白×赤の初期型が登場。今回紹介するのは’87年にマイナーチェンジした2型。車体の基本構成は変わらないものの、HRC TLM240R譲りの車体色としファンを歓喜させた。

[左]軽量スリムな車体もさることながら、左右68度の広いハンドル切れ角も本格派トライアルマシンと呼ぶにふさわしい。[右]リヤビューも写真のとおりスリム。燃料タンク容量は6Lを確保し、ツーリングにも対応した。

軽量/コンパクトで 剛性なダイヤモンド式フレームに、最高出力13ps/5000rpmの空冷2サイクルピストンリードバルブ単気筒エンジンを搭載する。

[左]インナーチューブに空気を入れるエアアシストサスペンションは、ソフトな乗り心地と踏ん張りのよさが持ち味。タイヤサイズは前輪2.75-21、後輪4.00-18で、ブレーキは前後とも機械式ドラムだ。[右]トライアル専用に味付けされたプロリンクサスペンションを採用。


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