MVアグスタジャパンは、998cc水冷並列4気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド、ブルターレ1000RRをベースとする上位モデル『BRUTALE 1000 NÜRBURGRING(ニュルブルクリンク)』を、全国のMVアグスタ正規販売店にて3月に発売予定だ。車両価格は566万5000円となっている。
●文: 山下剛
伝統の難コースでリセッティングされた、さらなる高性能のブルターレ1000
スーパースポーツF4をベースとするスポーツネイキッドである『ブルターレ1000RR』のエンジンには、F1やMotoGPマシンにも採用されるチタン製ピストンロッドを用いている。さらに、セントラルタイミングチェーンはMotoGPマシンからフィードバックされたテクノロジーで、高回転時のカムシャフトのねじれの影響を低減。カムプロファイルを変更し、低中速域のトルクを適正化。バルブタペットにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング。ピストンはアッソ社製の低摩擦ピストンリングとし、クランクシャフトは低回転時の振動を制限するなどして、フリクションロス低減を徹底している。
もちろん排出ガスはユーロ5に適合しながら、最高出力は208ps/13000rpmを発生する。なお、レーシングキット装着時は215ps/13200rpmとさらなるハイパワーを生み出す(ただし公道走行不可)。
そんなブルターレ1000RRを、ドイツ伝統のサーキット『ニュルブルクリンク北コース』で鍛え上げたのがこのモデルである。このサーキットは全長20.832kmもあり、丘陵地帯を行くアップダウンの激しいコースであり、コーナー数が多いことに加えて路面の凹凸が激しく、エンジンパワーがものをいうのは当然ながら、シャシーの完成度、サスペンションとブレーキの性能もより高次元のものが要求される難コースだ。それゆえ、世界中の自動車メーカーがニュルでのテスト走行によって車両の完成度をたしかめるコースとしても知られる。
MVアグスタはニュルでハイパフォーマンスを発揮させるため、車重の軽減に重点を置いたチューニングを施した。その中核がBST製カーボンの前後ホイールで、従来品よりも軽量かつ高剛性のビレットハブを採用したモデルを装着した。この軽量化でハンドリングや路面追従性が向上し、大きな効果をもたらしている。
前述したレーシングキットは標準装備で、WSB(スーパーバイク世界選手権)にてアロー社と共同開発したフルチタンのエキゾーストシステムが含まれる。スタンダードモデルの排気システムは4-1だが、これを4-2としたほか、各部の改良によってパワーとトルクを向上。専用マップのコントロールユニットにより、10psアップを達成する。このキットにはエキゾーストパイプカバーやパッセンジャーシートカバーも付属する。
外装パーツも最適化されており、ヘッドライトやサイドパネルは空力性能を向上させ、超高速域における空気抵抗を減らしつつ、ウイングレットによってフロント荷重を増すことで走行安定性も高めた。
なお、前後サスペンションはオーリンズ製電子制御式が装着され、ライディングモードはノーマル、スポーツ、レイン、カスタムの4種、8段階調節式トラクションコントロール、ボッシュ製コーナリングABS、クイックシフターを装備する。
ブルターレ1000ニュルブルクリンクは台数限定生産となり、右側インテークプレートにはシリアルナンバーが刻印される。
MV AGUSTA BRUTALE 1000 NÜRBURGRING[2022 model]
主要諸元■全長2080 全幅805 全高― 軸距1415 シート高845(各mm) 車重183kg(レーシングキット装着時は177kg。いずれも乾燥重量)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 208ps/13000rpm(レーシングキット装着時は214.8ps/13200rpm) 11.9kg-m/11000rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/55ZR17 ●価格:566万5000円 ●色:銀×濃灰×赤 ●発売日:2022年3月予定
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