
CB1100のファイナルエディションをもって、遂に市販車ラインナップから消えることとなる”空冷4気筒”。CB1100が登場したのは’10年で、当時の目標は”機能美と気持ち良い走りを両立させる”こと。どのようにしてホンダのエンジニアは、この稀有な存在を世に送り出したのか。ここでは当時の資料を紐解き、初代CB1100の技術面を改めてクローズアップ。数値化しにくい”乗り味”を追求するため、開発陣がいかに心血を注いだかが伝わってくる。その情熱は、最終型となるファイナルエディションまで受け継がれているのだ。
●文:ヤングマシン編集部(沼尾弘明) ●外部リンク:ホンダ
開発のキーワードは”鷹揚(おうよう)”
「鷹が悠々と大空を舞うような自由感を楽しんでほしい」
開発キーワードとなった”鷹揚”を実現すべく、ホンダのエンジニアたちが最新技術を投入した空冷直4が新設計されることとなった。CB1100の誕生前夜の話だ。

【コンセプトは”大人の所有感を満たすエモーショナル空冷直4ネイキッド”】初代開発時のレンダリングスケッチ。人が跨った状態で、バイクやエンジンがどう見えるのかを考えてデザインされていることが分かる。 [写真タップで拡大]
緻密な設計で実現した”心地よさ”と”機能美”
開発当時、設計のスタート地点は実は一般的な最高出力や最大トルクではなかった。「オーナーにどう感じてほしいか」から、その開発がスタートしたのだ。
そこで気筒間の吸気バルブタイミングを敢えてズラし、PGM-FIによる高度な制御を実施。これらにより、燃焼ガスが長い間ピストンを押し下げていく感覚と、直4らしい伸び切り感の両立に成功した。

【始まりは最高出力や最大トルクでなく「どう感じてほしいか」】初代CB1100の吸/排気ポートの断面図。高出力化には不利だが、バルブの挟み角を広げてDOHCのカムシャフト軸間を広く取ることで美観を追求。同時に味わいを造り込むという異例の開発手法だった。 [写真タップで拡大]
“空油冷”とも言える冷却システム
空冷エンジンを新規開発するにあたって、当然直面するのは温度の管理。これについては、複雑なオイルラインや通風孔を組み合わせて水冷に迫るほどの冷却性能を確保。
また当時、性能だけではなく2mmという極薄の冷却フィン、美しい配置のカムシャフトなど外観も造り込んだ。
まさに開発コンセプトである”大人の所有感を満たすエモーショナル空冷直4ネイキッド”を具現化することに成功したのだ。
車体の面でも”鷹揚”を追求
もちろん開発の初期から車体も”鷹揚”を追求し、スキルを問わない自然な操縦性を目指した。メインフレームにはφ38mmスチールパイプを用い、しなやかで優しく、タメ感のある味わいを演出。 [写真タップで拡大]
登場当時の主要諸元
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