以前本連載において、東京23区内でバイク駐車場整備に関する助成条件が緩和されたことをお伝えした。’19年4月、東京都道路整備保全公社が民間駐車場事業者/区/第三セクター等に対して、自動二輪専用駐車場の整備に関する助成条件を駐車スペース5台分以上の確保から2台分以上でも補助金が受けられるようにするなど緩和したのだ。新型コロナ禍において移動手段としてバイクの活用が見直されている今、どのような状況にあるのか公社担当者に聞いた。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
駐車場は増えているのに助成場数が増えない
結果から言えば、緩和前と助成場数は変わっていなかった(グラフ1参照)。申請数が増えていない要因は主に3つ考えられると言う。
- 自動二輪車の駐車場は四輪駐車場と比べ採算性が低い
- 助成金を利用してもそれなりの設備投資が必要となり、投資額を回収し利益を生むまでに時間を要する
- 需要のある地域は駅近など繁華街が多く地代が高い傾向にあるため、収益を生むまでの収容台数が確保しにくい
上の3つの要因からは、バイク駐車場というものは助成金を利用したとしても、ビジネスとして成り立ちにくいという負の側面が見えてくる。税金を投入しても経営が成り立たないのであれば、民間事業者は手を出しにくい。東京23区にしても運営は民間に委託しているケースが多いし、第三セクターにしても事業継続のための税金投入が前提となれば、このご時世なかなか理解は得られないだろう。自治体としては、駅近や繁華街に放置駐車対策としての駐車場を作りたいだろうが、現状の主な対象は自転車だ。無理してバイク用駐車場を確保しても、採算が取れないどころか”税金の無駄遣い”と指摘される恐れもある。
また、外部要因も考慮する必要がある。個人宅から会社の駐車場まで、空きスペースを有効利用するような予約制時間貸し駐車場の事業者がここ1〜2年で大きく増えている。税金を投入して駐車スペースを作るという手法にも影響を与えていく可能性がある。放置駐車対策や都市計画/街づくりなど自治体の駐車場増設への関わり方は様々だが、東京23区内においては、これまでのやり方では難しいところもあるように感じ、今後、助成制度の見直しなども求められていくのかもしれない。
新型コロナ禍においてコミューター(125cc以下のバイク)の活用が今まで以上に注目されるなか、活用のキモである駐車場問題にメスが入ることはなかった。緊急事態宣言下でのテレワークは進み、満員電車もいくぶん解消されてはいるが、ウイルスの変異種が次々に現れることが想定され、いつ現状を上回る被害が出るのか誰にもわからない。
小池東京都知事は自工会との意見交換会において、ゼロエミッションバイクの普及に向けてインフラ整備の必要性を発言していたが、ガソリンだろうとEVだろうと停められなければ利用されないことを議論の根本としてほしい。
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