モリワキエンジニアリングがリリースしたGB350/S用の「スリップオンエキゾースト ショートメガホン」は、今年の目玉ともいえる人気車の待望のカスタムマフラーだ。コロナ禍で滞っていた認証テストをいち早くパスして製品化された第1号の製品、その最速テストが実現した!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:モリワキエンジニアリング
今年の目玉車、力を注いで開発に当たった
Nomさん執筆による記事でお届けしたように、国家認証試験がコロナ禍で滞っていたため、ニューモデル用の新作マフラーがなかなか登場せずにヤキモキしていたユーザーも少なくないだろう。そんな中、モリワキエンジニアリングが一番乗りでGB350/GB350S用のスリップオンマフラーをリリースしたので、さっそくテスト品を借りてみた。
GB350/Sは、2020年9月末にインドで発表されたハイネスCB350の登場時から、日本での発売も濃厚とお伝えしてきたところ、我々も驚くような反響があった。今春の正式発表から4月には発売に至り、あっという間に年間販売計画台数を受注してしまった、爆売れ大人気車である。
早くもハンドルまわりやキャリア、エンジンのカバー類など外装を中心にカスタムパーツが続々と登場しているが、ロングストローク単気筒のサウンドとトルク感をより濃密に味わいたいファンは、マフラーの登場を心待ちにしていたはず。しかし上記のように、コロナ禍で国家認証試験がなかなか行われず、リリースまで半年近くも待つことになったわけだ。
そこでやってくれたのは、やはりモリワキだった。同社のマフラーはホンダ車のカタログに掲載されることも多く、その出来栄えやデザインは“定番”といっていい。とはいうものの、この状況下での一番乗りは簡単ではなかったハズだ。
これについてモリワキの広報担当者に伺ったところ、GB350/Sは発売前から非常に注目されていたことから、間違いなく今年の目玉車になると考え、特に力を注いで開発に当たっていたという。
さっそく編集部に届いたスリップオンエキゾースト ショートメガホン(SlipOn Exhaust SHORT MEGAPHONE/以下ショートメガホン)は、ステンレスの“SUS”、ステンレスにグロスブラックが施された“BP-Χ(ブラックパール カイ)”、そして耐熱マットブラック塗装の“BLACK”の3種類が梱包されていた。せっかくなので全て装着してみたが、新品のガスケットが付属しており、GB350/GB350S用のサブステーも同梱。取り付け精度は申し分なく、3本とも同じ手順でストレスなく装着できた。もちろん排気漏れや振動による異音も皆無である。
ノーマルよりもショートスタイルでシャープなデザインにより、クラシカルな中にもスポーティな雰囲気が漂う。モリワキの担当者によれば、開発者にとって小さく作るのは難しいチャレンジだったようだが、GB350のノーマルよりもやや跳ね上がり、GB350Sと同じくらいの角度で、ワンサイズ~2サイズくらいコンパクトに収まっている。
なかでも人気だというBLACKをチョイスし、いよいよ走り出すことに。
まずエンジン始動である。実のところGB350はノーマルマフラーのサウンドがとてもよく出来ていて、太くまろやかな重低音で、どこか湿ったような爆発音が魅力。これに対しショートメガホンは、やや音圧が増したうえで乾いたハスキーサウンドになる。
音圧よりも音質が変わる! そして常用域のトルクは……
ノーマルはステンレスの太いパイプの中の膨張室で反響するような、少し余韻のある鼓動感が特徴的だ。耳に優しい重低音というか、絶妙に角のない爆裂音が、うるさくない音量にまとまっている。ご存じの方にしか伝わらないかもしれないが、1990年代中盤まで各地のエンデューロレースを荒らしまわっていたホンダXR250の、開けた瞬間に“バカンッ!”と反響音を伴って響く独特なレーシングサウンドを、相似形のまま合法内に収めているかのようだ。
モリワキショートメガホンの場合は、もっと音圧に芯のある感じになる。反響音のようなものはなく、ハスキーで歯切れのいい鼓動感をもってアイドリングする。擬音にすれば“トトト”と“ドドド”の中間くらいで、低音域というよりは乾いた中間音が強調される。それでもサウンドに角はないが、いかにも力強そうだ。そしてアクセルをひねれば、トトトトンッ! とやや現代的なスポーティサウンドになる。
またがった際に耳元に届く音圧も、けっしてうるさくはないがノーマルよりはやや強め。そして発進すると……何事もなかったようというか、音以外にはややトルクが増したくらいで、それほど大きな変化はないように感じられた。そう、最初のうちは。
やはりロングストローク単気筒は低速からトルクフルだな、などと思いつつスロットルの開閉を楽しみ、極低速から吹け切りまで一直線のフラットな加速を繰り返す。アクセルをひねった分はきっちり反応し、戻したときもスッと穏やかになる。力強いサウンドは高回転域(といっても6500rpm程度までだが……)でもさほどうるさい感じにはならず、常に一定の節度を保ってくれる感じだ。
ちなみにサイレンサー重量は、ノーマルの3.4kgに対し2.1kg。持ち比べるとすぐにわかる1.3kgの重量差だが、さすがに走っていてリヤまわりが軽いとか、そういうところまでは感じ取れなかった。しいていえば、バネ上が軽いことによってわずかにリヤサスペンションが硬くなったようなフィーリングがあったような気がしないでもないが、プラシーボと言われればそうかもしれない。
GB350の気持ちよさに改めて感心し、これを格好いいスタイリングと歯切れのいいサウンドで味わえるショートメガホン、いいよね……なんて思っていたわけだが、念のためノーマルマフラーに戻してみたところで驚いた。
なんというか、思ったように走らないのである。特に極低速域でそれは顕著で、無意識にモリワキ装着時よりもスロットルを大きめに開けているのだ。戻した時の開度の落差でそれに気付くのだが、それだけじゃない。中間域でも微妙に物足りず、少し回し気味に走ってしまう。
ここで改めて気付かされたのが、モリワキショートメガホンの常用域でのトルクアップだった。シャーシダイナモで測定したら数値としては大きな違いにならないかもしれないが、モリワキのほうは明らかにアクセル操作とトルクデリバリーの関係が全域で1対1のままなのだ。ノーマルはというと、極低回転では1開けても0.8の反応、わずかに回転を増したところでは0.7の反応、そして中間域では0.9、高回転域が近付いてくると1、というように反応が回転域で微妙に変化する。そしてスロットル開度を大きくした分、戻した際のエンジンブレーキの掛かり方もやや唐突に感じられる。
ノーマルだけ乗っていれば気付かなかったようなわずかなストレスが、モリワキを体感してから戻した時には分かってしまう。15分も走れば慣れてしまう程度ではあるが、この差は小さいようで大きい。大げさな言い方かもしれないが、まさしく“一度乗ったらもう戻れない”というヤツだ。
最後に、楽しみなニュースもあった。モリワキが今後のGB350/S用に開発予定のパーツとして、B.R.S Front Pipe(発売時期未定)があると教えてくれたのだ。これはショートメガホンとの組み合わせでフルエキゾースト化が可能なフロントパイプで、特にエンジンブレーキの軽減に大きく貢献する特性があるという。つまり、さらに扱いやすくノーストレスになるということだ。
他にも開発予定のパーツはあるというから、今から楽しみにしておきたい。あいや、ヤングマシンにだけコッソリ教えてくれてもいいんですよ、モリワキさん!
MORIWAKI ENGINEERING SlipOn Exhaust SHORT MEGAPHONE for GB350/GB350S(2BL-NC59)
モリワキエンジニアリング スリップオンエキゾースト ショートメガホン ●発売中!
適合車種:ホンダGB350/GB350S(2021~)
適合型式:2BL-NC59
素材:パイプ/ステンレス、サイレンサー/ステンレス
認証:政府認証
車検:車検対応/政府認証
排気ガス試験結果証明書:純正触媒使用確認書
インジェクション:純正状態
エンジン仕様:純正状態
排気音量:近接:89dB / 加速:79dB
重量:2.1kg(プロトタイプ) 純正 3.4kg
オイル交換:○
オイルフィルター交換:○
センタースタンド:○
その他のGB350/GB350S用パーツ[MORIWAKI ENGINEERING]
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