歴代マシンを振り返る

ハヤブサ飛翔伝説プレイバック#1【初代’99〜:すべてはここから始まった】

ハヤブサ伝説プレイバック【初代'99〜】

「伝説」と呼ぶほかない。公道市販車で初となるストック状態での実測300km/hオーバーをはじめ、ゼロヨン9秒台に迫る驚異の加速力、マッスルカーを思わせる豪快なパワーフィールに異形のフォルム…。スズキ ハヤブサは、’99年の初代から数々の衝撃を我々に与えてきた。そしてデビューから22年が経過した’21年、ついに第3世代となる新型が姿を現したのは周知の通りだ。そこで、過去のヤングマシン本誌記事を元に、歴代ハヤブサの魅力と功績を改めて振り返っておきたい。最新の3代目まで連綿と流れるスピリットを感じ取れるに違いない。順を追ってまずは初代から始めよう。


●まとめ:沼尾宏明 ※本記事は、ヤングマシン誌で過去に掲載した記事を元に再構成したものです。表現は基本的に掲載当時のままとなっていることをご了承ください。

[’99] 正攻法と衝撃フォルムで初代デビュー!!

“アルティメット(究極)スポーツ”をコンセプトに掲げ、「GSX1300R HAYABUSA」として登場した初代ハヤブサ。当時の直4最大となる1299ccを誇り、史上最強の175psをマークした。基本設計は、当時のスーパースポーツであるGSX-R750を煮詰めた王道の手法で性能を追求している。一方、斬新だったのが曲面を多用した前代未聞のエアロボディ。この空力特性とデザイン性を両立したカウルが市販車初の300km/h超に大きく貢献した。やがて実力が知れ渡り、人気車の地位を確立する。

【SUZUKI GSX1300R HAYABUSA】■全長2140 全幅740 全高1165 軸距1485 シート高805(各mm) 車重215kg(乾) ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ1299cc 175ps/9800rpm 14.1kg-m/7000rpm ■タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17

GSX-R750の設計思想を受け継いだ心臓部。設計はオーソドックスで、28度のバルブ挟み角やTSCC燃焼室でコンパクトさを追求した。主要3軸は直線配置とし、1軸2次バランサーを装備。馬力と排気量は、確実に実測300km/hを出すために導き出された。

メインフレームは110×35mmの異形日の字断面。片側4点のリジッドマウントで心臓を懸架する。前後サスはKYB製のフル調整式で、スーパースポーツ並みのキャスター/トレール=24°12’/97mmとした。

風洞実験を繰り返し、実質的な空力特性とデザイン性を追求した。走行風を受け流す空気抵抗係数=Cd‐A値は、当時のクラス最小。シングルシートカウルを装着することで最大の効果を発揮した。

[’01] メーターが350→300km/h表示に変更

タンデム時の強度アップのため、シートレールをアルミ→鉄に変更。車重は217kgに。燃料ポンプがタンク内蔵式となり、メーターが350→300km/hスケールに変更された。

【’01 SUZUKI GSX1300R HAYABUSA】

自主規制によりメーターから「300」の表記が消え、速度リミッターも装着された。

[’02] 車名が「ハヤブサ1300」に。規制にも対応

ECUを16→32ビットに緻密化。内部パーツの変更やO2フィードバックセンサーなどの採用により、欧州排ガス規制ユーロ2に対応。車名を「HAYABUSA 1300」に改めた。

【’01 SUZUKI HAYABUSA 1300】

テールパイプが鉄→ステンレスのメッキ仕上げに変更され、高級感がアップ。

[’03] チタンコートのフロントフォークで金色の脚に

フロントフォークのインナーチューブにチタンコートを施し、アウターと合わせて金色に統一。ハザードスイッチを採用したほか、車体グラフィックをシャープに変更した。

【’03 SUZUKI HAYABUSA 1300】

インナーフォークにチタンコートを採用。インナーローターは金→黒に変更した。

[’05] ロゴとウインカーレンズ色をチェンジ

タンクのSUZUKIロゴを立体のSエンブレムとし、グラフィックパターンも改めた。’07で全色に黒いフレームとスイングアームを導入。これが第1世代の最終型となる。

【’05 SUZUKI HAYABUSA 1300】

前後ウインカーレンズがクリアに。始動時に自動でヘッドライトをオフにする機構も追加。

初代ハヤブサから始まった”飛翔伝説”、次記事では『ヤングマシン』’99年4月号にタイムワープ。メーター読み320km/hオーバーを記録した驚愕の試乗レポートについて、当時35歳のテスター・丸山浩氏が振り返る。


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