●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:ストレート
登場早々惚れ込んだプラスチックリペアキットに交換用ヘッド群が新登場
カウルやフェンダーなどの樹脂パーツの補修には”熱”が有効なことは、サンデーメカニックなら誰もが知っている。ABSやPPなど接着剤が利きにくい熱可塑性樹脂であれば、”溶着”一択といってもいいほどだ。
『モトメカニック』誌ではこれまでさまざまな補修実例や製品を紹介してきたが、登場早々に惚れ込んだのがストレートの「プラスチックリペアキット」だ。コテ先の温度上昇の早さ、コテの形状、溶着棒の種類など、能力の高さは体験済みだが、その魅力をさらにアップする4種類の交換用ヘッドが新たに発売された。
中でも注目すべきは「溶着ピンヘッド」で、これがあればクラック部分の”針補修”が可能になる。ロングセラーの素質充分の補修アイテムだ。
樹脂補修から電気いじりまで作業範囲を一気に広げる交換用ヘッド
プラスチックリペアキット本体に付属する2種類のヘッドに加えて、4種類の交換用ヘッドが新登場。樹脂補修にAC100Vの溶着ピンキットと半田ゴテを併用してきたサンデーメカニックは多いだろうが、これからはヘッド交換だけで済む。画期的と言うしかない製品である。
補修部の強度アップには不可欠な溶着ピンは、素材の太さとデザインが異なる6種類がある。AC100V仕様のプラスチックリペアキット用と同じ物。ピンは標準型/W型/V型の3パターンで、それぞれφ0.6mmとφ0.8mmの太さ違いがある。補修素材が厚い場合は連続使用できるAC100Vの方が有利かもしれないが、バイクのカウル補修程度なら充電式のコードレスのコテでもかなり長持ちする。
標準ヘッドで広く加熱し、ハンダごてで狭く狙う
電気工作用のハンダごてで溶着補修をしていて、「先端がもう少し平らだと使いやすいのに…」と感じることがあるが、プラスチックリペアキットは理想を叶えるスライス仕様のヘッドを標準装備。すると贅沢なもので、「細かい部分にはには先端が尖っていた方が…」となる。そんな気持ちに応えるハンダこてヘッドは、小さなクラックを狙って加熱できる細さが魅力。補修部分によって使い分けたいから、680円という価格設定も最高!
溶着ピンを活用すれば、再塗装なしの補修も可能
走行中の転倒で塗装が傷ついたカウルは最終的に再塗装が必要だが、保管中に隣のバイクに倒れかかったり強い力で押されてカウルが割れた場合、塗装面に大きな傷が残らないこともある。そんな時は裏側から溶着ピンを溶かし込んでクラックを補強して、再塗装は行わないという選択肢もある。
補修部分の強度を出すにはピンをしっかり埋め込むことが重要だが、加熱しすぎると塗装面が波打つので要注意。ピンを溶かし込んだら突き出た余分を切断してコテヘッドでならし、必要なら溶着棒を盛ることでさらに万全となる。
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