カワサキは、W800をベースとした新型の大排気量ネオクラシック「MEGURO K3(メグロK3)」を正式発表。カワサキの4ストローク・大型スポーツバイクの原点ともいえる「メグロ」ブランドが復活し、かつてのメグロK2の後継モデルが半世紀の時を経て登場する。
1924年創業で「大排気量」「高性能」「高品質」を謳ったメグロ
メグロが復活する! そのニュースは、2020年11月13日に一葉の写真が公開されてから瞬く間に広がった。WEBヤングマシンでも速報を打ち、車名は『メグロK3』となるであろうことをお伝えしていた。それからわずか数日で、メグロK3の姿やスペック、価格に至るまでの全てが正式発表となったのだ。
メグロK3という車名は、1924年に創業した目黒製作所が1960年代に川崎航空機株式会社に吸収されたのちに生産された、カワサキ「500メグロK2」の後継モデルであることを意味している。500メグロK2は「メグロ」のブランド名を冠して発売された最後のビッグバイクであり、のちにカワサキ・W1の元となってカワサキの4ストローク大型スポーツバイクの礎となっていったもの。その500メグロK2以来、55年ぶりのニューモデルとなるメグロK3は、直接的な子孫ともいえるW800からの原点回帰モデルとして登場する。
とはいえ、スタイリングはあくまでも往年の『メグロ』を前面に押し出しながらも、先進の技術を投入している。その象徴ともいえるのが、高度な技術が必要な銀鏡塗装とハイリーデュラブルペイントを組み合わせた燃料タンクの表面処理だ。
そして、ベベルギヤによるカムシャフト駆動という複雑な機構をあえて採用した360度クランクの空冷バーチカルツインエンジンは、ベースとなったW650(1999年登場)から幾度かのリファインと排気量増大を経て、現代のユーロ4排出ガス規制に適合している。
エンジン&車体スペックは、ストリートでもカフェでもなく無印のW800をベースとしたもので、ホイールサイズは前19/後18インチを装着。車重はW800よりも1kg増の227kgとなっている。また、シート高はW800と同じ790mmだが全幅はW800ストリートと同じ925mm。ハンドルバーは大きく手前に引かれた幅広タイプで、いわゆる往年の“殿様乗り”仕様となっている。
気になる価格は127万6000円で、発売予定日は2021年2月1日。1か月点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)を無償で受けられる「カワサキケアモデル」だ。
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]スタイリング
車体色は深みのあるエボニーを基調に、フロントフェンダー、リヤフェンダー、フロントフォークアウターチューブ、リヤサスペンションカバー、ハンドルバー、タンデムグリップ、ヘッドランプボディ、ヘッドライトステー、テールランプブラケットは、艶ありブラック塗装。また、ステンレス製メーターリングは黒色酸化皮膜処理で金属の質感を強調し、フューエルタンクには銀鏡塗装を採用し、部位ごとに色調が変化するように使用素材に合わせた表面処理方法を選択している。
マフラー、スロットルボディカバー、エアクリーナー入口のリング、チェーンカバー、フューエルタンクキャップ、前後ターンシグナルランプボディ、テールランプボディ。さらにブレーキペダル、ミラー、ヘッドライトリム、オイルフィルターカバーはクロムメッキを採用。黒塗装とクロムメッキの好対照で、メグロならではの落ち着いたカラーリングに仕上がっている。またホイールリムは、軽快さを印象づけるシルバーアルマイト。さらに、スピードメーターパネルとサイドカバーに刻まれた“メグロ”のロゴや、空冷バーチカルツインエンジンを特徴づけるベベルギヤカバーには、ワンポイントの赤を配すことでMEGURO K3の個性を際立たせている。
そのほか、グリップヒーター、センタースタンド、ETC車載器、ヘルメットロックを標準装備する。
【KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]】主要諸元■全長2190 全幅925 全高1130 軸距1465 シート高790(各mm) 車重227kg(装備)■空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ 773cc 52ps/6500rpm 6.3kg-m/4800rpm 変速機5段 燃料タンク容量15L■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/80-18 ●価格:127万6000円 ●色:ミラーコートブラック×エボニー ●発売予定日:2021年2月1日
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]ミラーコートブラック×エボニー
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]ミラーコートブラック×エボニー
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]ミラーコートブラック×エボニー
(※参考)KAWASAKI W800[2021 model]メタリックオーシャンブルー ●価格:110万円
KAWASAKI MEGURO K3[2021 model]ディテール
クラシカルな造形にこだわりつつ、表面処理など随所に先進技術を採用したことで、独特の存在感を放つ。ライダー目線を意識したデザインとされ、メーターパネルには鮮やかな“メグロ”のロゴマーク。銀鏡塗装のフューエルタンクには空が映し出される。黒に塗装されたハンドルバーはW800ストリートと同様のアップライトスタイルだ。
デザインの核となる燃料タンクには、カワサキ独自の塗装技術を惜しみなく投入。銀鏡塗装と黒色デカールによるツートーンとし、塗装の表面処理には傷がつきにくく自己修復作用を持つ“ハイリーデュラブルペイント”を採用している。エンブレムはアルミ型押しのオリジナル『MEGURO』としタンクキャップにはクロームメッキを施している。、
燃料タンク両サイドに配置されたエンブレムは、歴史の彼方にあったメグロワークスをモチーフとしたアルミの立体成型で、熟練の職人がひとつひとつ手作業によって5色に塗り分けているという。
黒盤に白文字のアナログ2眼メーターを採用。スピードメーターの液晶パネル下部にはカタカナで「メグロ」の赤いロゴが配される。ステンレス製のメーターベゼルは黒色酸化被膜処理を施している。
W800のシートからタックロールを廃止し、外周に白いパイピングを施す。シート表皮は質感の高い滑らかなものを採用している。
シート後端にはシルバーで“Kawasaki”ロゴをプリント。
ベベルギヤ採用で美しい空冷フィンが際立つ空冷バーチカルツインエンジン。低中速域を重視したトルクフルな特性となっている。ベベルギヤカバーはワンポイントの赤を差し色とすることで、大人っぽい落ち着き感とスポーティな雰囲気を両立。
W800と共通のトラディショナルな左右2本出しマフラーを採用。サウンドチューニングによって360度クランクの力強いエンジンサウンドを強調する。触媒の最適化やO2センサーの装備などによりユーロ4排出ガス規制に適合。
フロントフォークはφ41mmのインナーチューブを採用した正立タイプ。フォークブーツを履いているほか、三叉もブラックアウトすることでメグロらしさを強調する。フロントホイールサイズは19インチ。前後ABS標準装備だ。
リヤショックユニットにはビンテージ感を増すカバーが取り付けられる。リヤホイールサイズは18インチとし、トラディショナルなダブルクレードルフレームと相まってクラシカルなプロポーションを形成する。
グリップヒーター標準装備がうれしい。また、クラッチ操作力を軽減するアシスト&スリッパークラッチを採用。急激なシフトダウンによるリヤタイヤのホッピングも抑制する。
φ170mmの大径ヘッドライトに高照度のLEDを組み合わせる。ハイビーム部に割り当てられたポジションランプは、クラシックな電球式ヘッドライトのようにランプ全体を照らし出す。
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
トラディショナルカラーのW800と、モダンな雰囲気のW800ストリート/W800カフェ カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載(バーチカルは垂直に立った[…]
'19年、3年ぶりにカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズがラインナップに復活した。アップハンドルの「ストリート」、スワローハンドル&ビキニカウルの「カフェ」とも、前後に18インチホイールを[…]
その手があったか! 往年のカラーリングをオマージュ カワサキはZ900RSのニューカラーを発表。黒ベースに銀の水平ストライプを引いたグラフィックは落ち着きの中に走りのよさをイメージさせるもの。これには[…]
2グレード構成で、価格は19万ルピーから 2020年9月30日に行われたオンライン発表会で、ホンダの「ハイネスCB350」が発表されたのは既報通り。その後しばらく時間を置いてからプレスリリースと公式ペ[…]
イージークルーザー「METEOR 350」がインド本国で発表された デビュー間近と思われるホンダ「ハイネスCB350」に強力なライバルが現れた! 現存する世界最古級のモーターサイクルメーカー、ロイヤル[…]
最新の記事
- 2025MotoGPヘルメット勢力図は5社がトップを分け合う戦国時代へ突入! 日本の3メーカーに躍進の予感!?
- 【SCOOP!】スズキ「GSX-8」系にネオクラが存在か!? 丸目のGS&クーリーレプリカ復活希望!!
- 「初の100ps超え!! 」全面改革で進化した第二世代のZ:カワサキZ1000J【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 3色ラインナップ化! ホンダ「CT125ハンターカブ」歴代カラー大図鑑【2022年モデル】
- 【受注限定】SHOEI「グラムスター」に新色モスグリーン! 5月発売で全5色展開に
- 1
- 2