またバイクを楽しめる日が戻ってくると信じて
【緊急取材】バイク界における新型コロナウイルスの影響は?
- 2020/4/20
4月7日に7都府県に発令、そして4月17日には全国へと拡大された緊急事態宣言は、不要不急の外出を自粛することで感染拡大を防ぐことが狙い。この事態において必要な措置ではあるが、バイク界を含め様々な業界やユーザーが影響を受けている。
●文:編集部 ●取材協力:本田技研工業、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業、BMWモトラッドジャパン、ドゥカティジャパン、KTMジャパン、ハスクバーナジャパン、ピアッジオグループジャパン、MVアグスタジャパン、PCI
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緊急事態宣言の中、バイクは不要不急なのか
バイクに乗りたい! 趣味としてバイクを愛する我々にとっては当然の欲求と言えるが、現在の社会状況でそれを楽しむことは難しい――。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、不要不急の外出を自粛するよう求める緊急事態宣言が4月7日に7都府県に発令され、4月17日には対象地域が全国へと拡大された。
SNSなどでは不要不急の外出を報告する内容が非難される傾向もあり、「単独で誰にも触れ合わない短距離ツーリング」が散見される程度、といった空気だ。
バイクに乗ることは全面的に許されないのだろうか。バイク好きだからこそ自問してしまうはずだ。
これにはさまざまな視点での回答があるだろう。バイクに乗ることにはメリットもデメリットもある。
平常時のようなツーリングが楽しめないのは仕方がない。人々が集まる場所に出向くことは厳に慎むべきだ。また、単独のツーリングであっても、万が一事故に遭った場合は医療のリソースに負担をかけるだけでなく、この先に医療崩壊という局面になったとしたら、救急病院での受け入れ体制も平常時のようにはいかない可能性が高まる。さらに言えば、ライダーがウイルスを持ち込む側になる可能性も否定できまい。
こうした要素を総合的に考えての判断になるが、やはり楽しむための走りは状況が好転するまで我慢するほかなさそうだ。それでも乗ると言うならば、「絶対に事故を起こしてはならない」と強く申し上げておきたい。
社会にストレスが充満しているなか、混合交通の中で荒っぽい運転者が増えた印象があり、また交通量が減少したことで都市部でも平均速度が増している。東京都では4月16日現在、本年の累計交通事故発生件数は前年比マイナス20.8%なのにもかかわらず、同死者数はプラス31.2%なのだ。
では、通勤だったら? テレワークが難しい仕事は確実に存在し、本人が望まなくともやむを得ず出勤するケースはある。そうした場合に、公共交通機関の利用を避けられるメリットが、バイクにはある。会話や発声がない満員電車は三密に該当しないという考え方もあるが、心理的にこれを避けたい、だからバイクを利用したい、そんな需要は実際に高まっている。
バイク通勤であれば、ソーシャルディスタンスを保てることは間違いなく、したがって感染リスクを低減するメリットもあるだろう。ただし「こういう状況だから」と、しばらく乗っていなかったライダーが復帰するケースにおいては、不慣れであることを自覚して慎重な運転を望みたい。
新型コロナウイルスの猛威が終息を迎えるのはいつになるのか、予断を許さない状況は続く。第2波、第3波の感染が起こる可能性も指摘される。趣味のライダーは、また楽しいバイクライフが戻ってくるまで身を潜めているしかなさそうだ。この際、メンテナンスやカスタムなどに手を掛けるのもアリかもしれない。
バイクメーカーなどによる、さまざまな形の社会貢献
ホンダは4月13日に東京都港区・渋谷区に「感染者を搬送するための車両(仕立て車)」を提供した(関連記事参照)ほか、5月末までに医療現場用フェイスシールドの生産を開始すると発表。同時に、アメリカでも100万ドルの寄付やマスク&個人用防護具の寄付、フェイスシールドのバイザー製造、タイでの救急車貸与、インドでの陰圧ベッド製作などを明らかにしている。
ヤマハは中国・上海市慈善基金会を通じて義援金150万元(約2400万円)を支援。カワサキは中国における製品保証期間を3か月延長。こうした動きは国内でも加速していきそうだ。
BMWは全ディーラーに消毒剤とマスクを無償提供。ブリヂストンはマスクの外部調達量を減らすため、自社で簡易マスクを生産開始したと発表した。