’20年も国内レース・J-GP3に参戦する女性レーサー・岡崎静夏さん。今回試乗してもらったのは、街乗りから高速走行までこなすスクーター・ホンダPCX150 ABSだ。箱根の麓までのショートツーリングインプレッションと、装備ディテール解説をお届けする。
●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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岡崎静夏(おかざき・しずか):チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09〜’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。
ここは横浜、赤レンガ倉庫のそば。ス〜ッと止まった1台のPCX150 ABS。ヘルメットを脱ぐと、ファサッと艶やかなロングヘアが風になびきます。シート下のラゲッジボックスからバッグを取り出して颯爽と歩き[…]
スタイルよし、走りよし。みんなの心をわしづかみ
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というわけで、やってきました高速道路! 自分はけっこう下道派なんですが、時間に追われてしまったり、いざという時に高速道路にヒュッと乗れるのはやっぱり便利ですね。
軽快な150ccスクーターということで正直不安はありましたが、走ってみるとまったく問題ナシ。体重にもよると思いますが、自分の場合は車線変更も軽やかにこなすことができて、なおかつ軽々しすぎることもないという絶妙なバランスで、安心して高速を走ることができました。
そして150ccエンジンは、思っていた以上に余裕がありました。特に驚かされたのは静かで快適なことです。70km/hまでは本当に静かで、アクセルオフにした時などはエンジンが止まったのかと勘違いするほど(笑) ただ単に「高速道路も走れる」のではなく、ちゃんと「高速道路を走れる」仕上がりになっていました。
さすがに100km/h付近になると少し唸り音が聞こえてきますが、それだけ出せれば十分! 結果的にハイウェイクルーズも文句なくこなせることが分かり、自分の中のレーシングライダーマインドも納得です(笑) 気持ちよく箱根の麓までひとっ走りしてしまいました。
「街乗りで見せるスクーターらしい軽快さと、高速道路を走れるメリットを考えると、150ccという排気量は絶妙。”ちょっとツーリングしよっかな”と気軽に遠出したくなります」(岡崎さん)
ところで、今年は自分と弟の「お手製チーム」で全日本J-GP3を戦いますが、よりよいレース戦績を狙うことはもちろん、より多くの人にレースに興味を持ってもらえるよう、いろいろ仕掛けていきたいと思っています。
私が妄想した「PCX150でタンデムして横浜を楽しむ女子」みたいな街乗りライダーたちに、サーキットにも来てもらうのが夢。独自のイベントを開催したり、ユーチューブもやってみようかな、なんて考えているんです。
PCX150は、より多くのライダーに受け入れてもらいやすい乗り物。女子はもちろんですが、スポーティーな走りも楽しめるスクーターだけに、腕自慢の男子が乗っても満足できるはずです。ギアはありませんが、バイクという乗り物の入口としてはとてもいい存在じゃないかと。
こういうスクーターや乗りやすいバイクのおかげで、若いライダーが増えていると実感しています。自分としては、ぜひサーキットでレースを見てほしい。PCX150で通勤やツーリングを楽しんだら、その流れでレースの素晴らしさも知ってもらいたいですね。
タンデムで横浜を流していた女子ライダーが、PCX150で高速道路に乗ってサーキットに来て全日本を観戦する。そんな未来のために、私は私でレース成績で注目してもらえるよう、今まで以上に頑張ります!
「思い通りに曲がってくれるナチュラルなハンドリング。コンパクトに旋回できるのがイイ」(岡崎さん)
PCX150ABSのディテールをチェック
反転液晶表示のデジタルメーターは、時計、燃費、燃料計などが見やすく表示される。
灯火類はLEDを採用。特にヘッドライトはデザインも凝っており、シャープな明るさだ。
全体的にゆったりとしながら、前方はスリム。快適性と足着き性を両立しているシート。メインスイッチ操作で開閉は簡単。
シート裏には書類と工具が収まっている。 また、シート下には容量28Lの大容量スペースが。オプションのETC車載器もすっきりと設置。
ラゲッジボックスに収まらないヘルメットはホルダーに掛けられる。タンデム時にも便利なうれしい装備だ。
メインスイッチで開閉できるお気軽さ。燃費は街で約43km/L、高速で約47km/Lだった。
出しやすいサイドスタンドのほか、センタースタンドも標準装備。メンテがしやすい。
一度使うと手放せない、便利なスマートキー。ジャケットのポケットなどにキーを入れておけばイグニッションのオン/オフやハンドルロックなどが操作できる。アンサーバックやイモビも装備。
500mlペットボトルが収まるフロントインナーボックスには、スマホなどが充電できるアクセサリーソケットが。
信号待ちなどで自動的にアイドリングストップ。「発進時の再始動にも違和感がありません」(岡崎さん)
コンパクトでスタイリッシュなスクリーンだが、高速道路では十分な風防効果を発揮。
お気に入りポイントは色とパワー
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「キレイなラメが入ったキャンディラスターレッドは、太陽の光でキラキラ輝いてました」
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「そして何と言っても150ccのエンジン! ゆとりあるパワーが楽しみの幅を広げます」
PCX150のインプレッションまとめ
- スタイリング
個人的にとても好き。大きすぎず小さすぎない「イイとこ取り」のサイズ感ですね。各部のメッキもカッコいい! - ツーリング
ミドルクラスのバイクとならマスツーリングも余裕です。コンパクトサイズなので旅先での駐輪にも困りません。 - 街乗り
両足ベッタリじゃないけど、重心が低く安定していて混雑も気になりません。街はスマートに優雅に走りたいかな! - 利便性
キビキビ走れて置き場所にも自由度が高いコンパクトさ、そして積載量の多さ。所有しやすい1台だと思います。 - コストパフォーマンス
125ccのPCX+約5万円で高速道路に乗れるなら、コスパは非常に良好です。普通二輪免許を持っていればオススメ。
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