オフロードマシンライダーなら林道ツーリングに行きたくなるものだが、ひとりで行く場合、様々な危険と隣り合わせになることも多い。『オフロードマシン ゴー・ライド』の連載でおなじみ、プロライダーの内山ユータロー先生が、林道ソロツーリングの心構え、事前準備や装備など、安全に楽しむための心得を指南。今回はライディングポジションと事前準備を中心に解説する。
●文/まとめ:ゴー・ライド編集部 ●写真:関野温 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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(前ページより続く)
心得その3:正しいライディングフォーム&ポジションを覚えよう
オフロードマシンのライディングフォームやポジションは、オンロードマシンとはまったく別モノ。オン歴の長いライダーなどは最初、その違いにとまどうかもしれない。またオフに乗り慣れている人でも「なんとなく」のフォームやポジションで乗っている人が意外に多い。体格の差や身長は同じでも、腕や足の長さの違いなどもあるので、自分のライディングポジションがマシンにきちんと力を伝えやすく、地面からの衝撃を受け流しやすく、かつスムーズに加速減速の動きに移行できる状態にあるのかを知ろう。
コイちゃんの腕のフォームはちゃんとできているね。でも座っている位置が少し前過ぎかな。それに身体が反っている。こんなふうに身体が反っていると、加速したい時に身体が加速の体勢に入れない。つまり加速、減速のフォームがやりにくくなるんだよ(ユータロー)
○これが正しいライポジだ!!
ヒジが上がり、自然に曲がった状態。足も曲がりすぎず余裕がある。
ハンドルの切れ角をしっかりと吸収できるので、ハンドルをフルに切っても腕に余裕がある。
×ダメな例-1:後ろに座りすぎ!
身体は楽に座れているが、腕が伸び切っている。
最初からヒジに余裕がないので、ハンドルをしっかり切れない。切ると身体が持っていかれてハンドルに振り回される。
×ダメな例-2:前に座りすぎ!
身体全体が前に詰まっているため、腕も足も窮屈に折りたたまれ可動域が制限されてしまっている。
ハンドルを切ると、ヒジが身体にぶつかってしまう。
オフロードライディングはヒジの位置が重要!
今までオンロードマシンに乗っていたけど、これからオフロードマシンに乗る&乗り始めたばかりという人は、ハンドルに対する自分の腕の状態をじっくり観察してみてほしい。正しいオフの姿勢を取ってみるだけで、ダートでの走りが格段に安定することに気づくはずだ。
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肩の力は抜き、ハンドル、腕、身体で輪っかを作るようなフォームが基本。タルを抱えるようなイメージだと分かりやすいだろう。このフォームなら、ダートでハンドルがブレても、ブレがダイレクトに身体に伝わることなくヒジで逃がせるのだ。
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オンロードマシン乗りの「ヒジは絞って内側に入れ脇を締める」というフォームのままでオフ車に乗ると、ダートでハンドルがブレた時にそのブレが腕を通して身体まで伝わり、フラフラした走行になってしまう。
ニーグリップ&くるぶしグリップ
オフブーツを履いているとニーグリップというよりくるぶしでグリップする感じになる。この時、車体をギュッと締めるというよりは、「くるぶしをフレームに当てるくらい」がちょうどいい。この時、オンロードでいうニーグリップ並みにギュッと締めすぎると、マシンと一緒に身体が振られてしまう。逆に緩すぎると隙間の分だけマシンが暴れてしまうからだ。
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グリップできている
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グリップできていない
心得その4:出発前にチェック&準備しておくこと
林道を含めた長距離走行を考え、疲労の少ないセッティングにしよう。オン走行では気にならなくても、オフ走行ではちょっとした使い勝手の悪さがモロに体力を奪っていくからだ。また、林道に入ってからのマシントラブルを避けるために、バイクの状態もしっかり見ておこう。
意外に見落としがちなのがシフトペダルの位置。オフロードブーツを履いた状態で、シフトペダルがスムーズにシフトペダルを上げ下げできる位置にあるかどうかを確認しておこう。
街乗りしかしてなかった人など、足首を動かしにくいオフロードブーツを履いて初めてペダルの位置が合わないことに気づくこともある。ブーツ着用でしっかり合わせよう。
よく聞く「林道では空気圧を下げる」説。規定値で入っているなら、林道を通過できるグリップ力は十分にあり、そのまま走ってもなんの問題もないという。むしろ林道を出た後に空気を入れ忘れて、高速走行中にパンクする方を避けたい。
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レバー類はコケた時の破損具合によっては走行不能に陥る危険性がある。
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転倒時に手やレバーを保護してくれるナックルガードの装着をオススメする。また、折れにくい可倒式レバーに交換するのもいい。
どのモデルも吊るしの状態(出荷時)が、オンもオフもイケるセッティングになっている。とはいえライダーの体格差もあるので、もしあまりにもレバー位置が遠いなど難点がある時は、調整しておこう。
心得その5:走る前と疲労時のストレッチ/疲労時の走行
走り始める前や休憩時の疲労回復として、ストレッチをぜひやろう。少しのストレッチでも、走行中や走り終わった後の疲労の溜まりかたが格段に変わる。疲れが溜まりきってからでは遅いので、こまめに行いたい。
マシンの高さを利用し、自重をかけるだけでゆっくりと足の筋や筋肉を伸ばせる。
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手の平を上向きに返し、ゆっくりと手前に引き寄せ、前腕の筋や筋肉を伸ばす。
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腕の筋、肩回りの筋肉をほぐす。腕を反対の腕で内側に引き寄せ、少しずつ伸ばしていく。片腕ずつほぐしていく。
疲労時は楽な姿勢をとろう。直線でヒザの角度を緩くし、少しシート後方に座る。お尻の当たる角度を左右にズラすなどしよう。
心得その6:入山報告をしておく
トラブルで動けなくなるor連絡が取れなくなった時、未発見のリスクを少しでも減らすためにも、林道に入る前に誰かと情報を共有をしておこう。個人連絡でもいいし、SNSなどで通知するでもいい。一番避けたいのは、誰にも知らせずにソロで林道に入っていくことだ。
林道入ります!
エンデューロライダー・内山ユータロー先生による、安全&楽しい林道ソロツーリングの心得。次ページでは安全に走るためのライテクについて解説する。
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