アルミメッキシリンダーICBMと合わせ技で

名車中の名車、Z2/Z1のシリンダーヘッド公式再販【合わせて+αの強化策を】

「Z2/Z1シリンダーヘッドリバイバル」=再販計画は、様々な場面で話題になり、大きな反響を呼んだ。名機をずっと乗っていきたいと考えているオーナーにとって朗報だったのは言うまでもないが、ここでは愛車のコンディションをさらに向上させるサービスとして、井上ボーリングのアルミメッキシリンダー=ICBM®とクランクシャフトも合わせて紹介しよう。


●文:たぐちかつみ(モトメカニック編集長) ●取材協力:川崎重工業 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

数の論理から言えば、ホンダ横型エンジンのモンキー/ゴリラ系チューニングパーツについては、様々なコンストラクターから数多く販売されている。流用可能な機種を含めてベースモデルの出荷数が相当数なので、このようなスペシャルパーツが存在するのだと思うが、もし似たような動きがカワサキZ2/Z1で起これば「確実に採算ベースだよね!!」といった話をイベント会場でしたことがあった。そんな夢物語が、今まさに具現化されようとしている。

しかも川崎重工主導なのだ。懐疑的な意見も聞かれたし、当のカワサキ関係者からもそんな話はあったそうだ。「ヘリテイジ」の意味を深く理解しているカワサキであれば、このシリンダーヘッドだけで終わるとは思えないし、そうならないためにも、我々がお手伝いできることはしたいと思う。

2020年1月6日、シルバー仕様の受注開始日は、早々からオーダーがありカード決済も着実に進行。事実、WEB発注し、カード決済を済ませたオーナーさんから喜びの連絡も届いたとのことで、おそらく関係者には手ごたえがあったことだろう。なにごとも具体的な行動ですよね。とにかく期待してます!!

カムジャーナルキャップの締め付け座とヘッドカバーガスケットの締め付け座面を同時に加工している。この後、ワークホールドツールの角度を変更してタペット孔を加工。

吸排気バルブの挟み角からワークに角度を付け、タペットホールを加工。金型からワークを抜いた直後にブラックペイントが施され、切削された部分がアルミ地肌となる黒ヘッド。

カムジャーナルキャップを締め付けた後に、インラインボーリングでカムジャーナルメタルを組み込む座面を加工していく。各キャップに合番打刻があるのは、この加工が理由だ。

加工後の燃焼室容積が設計指示通りに仕上がっているのか? 孔あきガラスとビュレットで厳密に燃焼室容積を測定している。チューンドヘッドを求める声もありそう?

新造ヘッドを搭載するなら同時にアップデートを。アルミメッキシリンダーICBM®で真の一生モノへ


●文:モトメカニック編集部 ●写真:栗田晃 ●取材協力:井上ボーリング ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

カワサキZ2/Z1のシリンダーヘッドが現代技術と現代の設計仕様で再生産されるという話題は、空冷Zシーンのみならず、様々な関係者に大きな反響を巻き起こしているようだ。空冷Zや歴代ハーレーVツインエンジンの内燃機加工を数多く手がけている井上ボーリングでは、このタイミングでアルミメッキシリンダー=ICBM®化への対応を積極的に展開している。

熱膨張に起因した寸法変化が大きな鋳鉄シリンダーから、現代技術のアルミスリーブ+特殊メッキ処理によるICBM®スリーブへアップデートすることで、シリンダー内壁の耐摩耗性や放熱効果は桁外れに向上。名機Z2/Z1をこれからも所有し続けていきたい愛車家には注目の技術だ。

アルミスリーブの採用によって圧倒的な軽量化を実現するICBM®。熱伝導効率も同時に高まり、コンプリートエンジンの冷却性能は大きく改善される。メッキシリンダーの表面硬度は鋳鉄スリーブとは比較にならないほど硬く、シリンダー内壁の耐摩耗性は圧倒的だ。

技術的にネガティブな要素が皆無なのは、現代の高性能エンジンをご覧になれば納得できるものだろう。新造純正シリンダーヘッドに交換するなら、この機会にICBM®化が必須だと言える。

鋳鉄製の純正スリーブはかん合公差が甘く、シリンダーバレルから簡単にスリーブが抜けてしまう例が多い。スリーブ外周とシリンダーバレルの隙間にはエンジンオイルが立ち上がった形跡も。

純正スリーブのままボーリング&ホーニングすると、切削や研磨加工中にスリーブが回転してしまうトラブルが頻繁に発生する空冷Z系シリンダー。

メーカー純正アルミシリンダーと同一の材質で製作したアルミスリーブ。様々なモデルでメッキシリンダーを実現できるICBM®。旧車から現行車まで実積がある。

アルミスリーブに特殊メッキを施してホーニングされたICBM®シリンダー。特殊メッキと表現しても、それはメーカー純正メッキシリンダーと同一の成分や表面硬度だ。

ミーリングヘッドではなく砥石研磨で仕上げられるヘッドガスケット面。シリンダー座面の歪みを最低限の研磨量で仕上げられるのは、平面研磨機があるからこその業だ。

将来的には、ホーニング済のメッキスリーブを販売し、ユーザーが全国の内燃機加工業者に持ち込み組み込み依頼できる商品化も検討中。減らないシリンダーは放熱効果も高い。

純正デザインを踏襲したコンロッドも製作。クランクシャフトもオーバーホール可能

組み立て式でオーバーホールが可能なZ1用クランクシャフト。しかし、技術的に組み換え難易度が高いため、カワサキでは補修部品を販売しなかった。しかし、オーバーホールしてでも乗り続けたいユーザーは数多く、積極的なオーバーホールサービスに対する待望論が年々高まってきていた。

井上ボーリングでは、これまでもオーバーホールサービスを受注。サイズが異なるZ1とKZ1000、さらにはZ2に関してもベアリングを特注。砲金製スラストメタルも自前製作し、オーバーホールの受注を積極展開してきた。

しかし、水没エンジンや分解後の放置でサビが浸食している部品は多く、金属摩耗はなくてもサビによる蝕みでオーバーホールができないクランクも数多いそう。そんなクランクシャフトの再生を目指し、井上ボーリングではZ1用コンロッドから独自にオーダー。今春のサービス開始を目指し、今まさに積極的に展開している。再生産の純正シリンダーヘッドを組み込むなら、ICBM®シリンダーの採用と同時にクランクシャフトにもニューコンロッドを組み込んではいかがだろう?

今回の新造純正シリンダーヘッドの販売開始とは関係なく、井上ボーリングでは数年前からクランクシャフトのオーバーホールを数多く受注してきた。

Z1用クランクシャフトの「本格オーバーホール」を受注できる体制が整いつつある。これまで「コンロッド以外」のショートパーツは製作してきたが、遂にコンロッドも!!

空冷Zのコンロッドは何種類もあるが、最も修理依頼が多いZ1用コンロッドを社内で新規設計。

基本寸法仕様はもちろん、外観的な仕上がり意匠までカワサキZ1のコンロッドを踏襲した作りで設計されている。防炭の銅メッキ処理も同じ仕上がりだ。シリンダーヘッド/ICBM®シリンダー/そしてクランクシャフトを同時に仕上げて一生ものに!!

クランクのオーバーホール時にはニードルローラーベアリングと砲金スペーサーは新品に交換していたが、今後は新品コンロッドも組み込める体制になる。

クランクシャフトのオーバーホールを受注した際には、検具棒でクランクシャフトの位相が保たれているか確認している。位相がズレている例も多いそうだ。

センター振り分けで組み立て復元されていくが、要所で位相確認や振れ確認が行われ最善の仕上りを追求する。。修理依頼前10/100mmの振れは珍しくなく、仕上げターゲットは3/100mm以内を目指している。

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