開発「ライダー」とメーカーの関係とは

世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.27「ホルヘ・ロレンソはまだ『その世界』に戻れるはず」

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第27回は、MotoGPセパンテストの中でホルヘ・ロレンソに注目します。


TEXT:Go TAKAHASHI  PHOTO:Toshihiro “KOTOBUKI” SATO, YAMAHA ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

ミシュランパワーGP2

昔話になってしまいますが、僕がアプリリアで走っていた頃は、10月にシーズンが終わると11月、12月、1月、2月、そして3月と毎月テストがありました。そのつど日本から通っていたんですから、元気ですよね(笑)。そして当然ですが、テストのたびに新しいパーツを試していました。タイヤ、サスペンション、ブレーキ、フレーム、ホイール、カウル、スクリーンなどなど、そのつど新しいものが投入されていたんです。

新しいモノがすべて良いとは限りません。エンジンなんかは、いくらベンチテストで馬力が出ていると言われても「乗りづらい!」と判断したら却下です。ただ馬力だけが必要なわけではなく、オーバーレブ特性も大事で、引っ張り切ってパワーが出なくても回ってくれればギア比を変えなくて済む、なんていうこともあります。

僕は「パーツを正しく評価できるライダー」と言われて、テストライダーのマルチェリーノ・ルッキとふたりで必ずニューパーツのテストをさせられてました。他のライダーたちはのんびりしてたようですよ(笑)。

1998年にアプリリアで走る原田さん。この年は同じアプリリアにロリス・カピロッシと、250ccクラスにステップアップしたばかりのバレンティーノ・ロッシがいた。

どういうわけか「開発能力のあるレーシングライダー」とされていた僕ですが、自分ではよく分かりません。はっきり言ってパーツの違いは誰にでも分かるから、なんです。良し悪しの判断の仕方や伝え方に差があるとしても、世界で戦うようなライダーなら誰だってパーツを変えればすぐに分かる。

問題は、それを受け止めてモノ作りに反映できるメーカーかどうか。つまり「開発能力」とはライダーの側のことではなく、むしろメーカーの側の話じゃないかと僕は思っています。例えば、ヤマハにテストライダーとして加入したロレンソはさっそくパワー不足を指摘しているようですが、ヤマハがパワフルなエンジンを提供できない限りは意味がありません。

もっとも、パワーを出せばそれでいいのかと言えば、そうとも言い切れないのが難しいところ。パワーが出ることでサスペンションに急激に大きな力がかかり、曲がらないマシンになりがちなんです。それまで以上の制動力が必要になり、それに伴ってフロントまわりの剛性も高めなければならず、基本的にはどんどん曲がりにくいマシンになっていきます。どこでどうやってバランスを取るか、落としどころを決めるのもメーカーの「開発能力」です。

開発能力とは、ライダーよりもメーカーの話

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