ライダーやドライバーの中には、スマートフォンをナビとして使っているユーザーも少なくないだろう。だが、パケットの使い過ぎで“低速化”を食らってしまっていると、リアルタイムの道案内に支障をきたすこともある。そこで、低速通信を2.5倍にスピードアップできるというmineoの「パケット放題」に注目、検証してみた。
Googleマップなどのナビゲーションアプリは、もはやツーリングやドライブに欠かせない
スマートフォンのユーザーで、Googleマップなどの地図アプリを使ったことがないという方は少数派ではないだろうか。アプリを開けば即座に、自分が地図上のどの位置にいるかを示してくれるし、ナビゲーション機能を使えば行きたい場所まで映像と音声で案内してくれる。スマホを見ながらの運転は論外だが、きちんとマウントしたうえで、走行中の操作をせずに利用すれば、こんなに便利で安上がりなものはない。
筆者は地図アプリのなかでもGoogleマップのヘビーユーザーであり、時にスパルタンな道案内をしてくるGoogleマップ ナビの実直さというか融通の利かなさも、移動中の楽しみのひとつと捉えている。
だが、ひとつだけ気がかりなことがある。それは月末が近づいてきた頃に、うっかりパケットを使い切っていると“低速化”を食らってしまい、そうなるとナビどころか地図を見るだけでもひと苦労するのである。筆者はauのガラケーを通話専用に、そしてmineoの格安SIMでスマートフォンをデータ通信専用として組み合わせた2台持ちで運用している。だが基本的にケチケチした性格なので、月々のギガは小盛り。低速化は、月末になるとそこそこの頻度で起こりがちなのだ。
データ通信の低速化とは、通常の高速通信と大きく違って、キャリアにもよるがおおむね200kbps程度の通信速度に制限されること指す。これによって起こる事象は、だいたい下記のとおりだ。
200kbpsではナビ開始まで最低でも10数秒、動画鑑賞はまず無理
mineoのサービスにはmineoアプリ等で切り替えられる“mineoスイッチ”というものがあって、自らの意思で低速化と同等の通信速度に制限することができる。これを行うことでギガが減らなくなる、つまり高速通信をしなければデータ通信量がカウントされない。高速通信をあまり必要としない場面では、これを時々利用するのだが、やはり出来ることはかなり限られてしまう。
200kbpsでそれなりに我慢せずに出来るのは、WEB検索や写真少なめのニュースを読むこと程度。画像を多めに表示するニュースをはじめとして、ツイッターやフェイスブックの表示などにはかなりのストレスがつきまとう。先に文字だけが表示され、10秒以上も待たなければ画像が出てこないなんてこともザラ。WEBサイトによっては、通信を諦めて「〇〇が取得できませんでした」なんて表示されることもある。
じゃあ本題のGoogleマップ ナビはどうかというと、お察しの通り、かなりのんびりとした挙動に。アプリを開き、最初に周辺地図が表示されるまでに5~8秒、指先で移動や拡大縮小をすれば、満足のいく精細さで表示されるまでにはその都度、2~3秒のタイムラグがあるのだ。
これでナビを利用したければ、まずWi-Fiが飛んでいるところであらかじめマップを読み込み、案内をセットしてから出発する必要がある。読み込みが終わる前に出発すると、走行に追従してマップが自動スクロールする以前に読み込み遅延が発生し、次第に信号待ち程度では追い付かなくなってしまう。また、事前に準備しておいても、移動中に電波の状況が悪くなった際には遅れが発生し、リアルタイムと呼べるまでに復活するには時間がかかる。まあ、まったくもって快適な使い心地とは言えないわけだ。
500kbpsなら、“ほぼ”ストレスなくナビが使用できる
これが500kbpsになるとどうなるのか。mineoは、2019年6月に「mineoスイッチ」の速度を200kbpsから500kbpsに増速するトライアルを実施しており、約13万人が利用して“低速”ならぬ“中速”データ通信を体験している。そして実は、筆者もその13万人のひとりである。
まずナビ以外のアプリに触れておくと、YouTubeは画質さえ気にしなければ読み込みで流れが止まることもなく、おおむね普通に鑑賞することができた。WEBについても、画像の表示までにタイムラグがあるのは変わらないが、その時間はかなり短くなる。Yahoo!ニュースであれば、コメントの表示エラーは起こらず、おすすめ記事の表示もストレスを感じるほどには待たされない。ツイッターやフェイスブックも、「ババババッ!」と表示されることこそないものの、「パッ、パッ、パッ、」という程度のリズムで画像が出てくるので、許せる範囲と言っていい。
さて、Googleマップ ナビについて。これはもう、おおむねストレスなく「使える」と言っていいレベルだろう。アプリを開いた際には、大まかな表示から詳細な表示へと移り変わっていくが、2~3秒で現在地が把握できるくらいにはなる。ナビ設定の待ち時間も、だいたい似たようなものだ。移動中の読み込み遅延も、よほど電波が途切れたりしない限りは、なんとか走行しながらでも回復してくれる。音声案内のタイミング遅れなども、ほとんど心配しなくてよかった。ただし、他のアプリを併用したりする余裕はなさそうだ。
今日から500kbpsを体験可能
「mineoパケット放題」のサービス開始は2020年3月3日だが、なぜこのタイミングでこんな記事を書いているかというと、今日(1月30日)から「パケット放題祭り」と題して、事前申し込み不要・無料で最大500kbpsの使い放題を体験できる企画がスタートするからである。3月3日からの本サービスを利用するかどうかはともかく、この“中速”データ通信は一度体験してみる価値がある。妙な言い方かもしれないが、「ああ、これぐらいでいいんだよね」と思える人は、けっこう多いんじゃないかと思っているのだ。
利用の仕方はカンタン。アプリまたはmineoマイページからmineoスイッチをONにして、速度制限アリに切り替えるだけだ。元に戻したければ、スイッチをOFFにすればいい。
ちなみに、3月3日から月額350円で本サービスが受けられるようになるが、サービス開始後も最大で2か月、パケット放題が無料になるキャンペーンも実施するとのこと。筆者はユーザーとして興味本位で検証したわけだが、これを利用することでベースのギガ数を下げられると目論んでいるので、結果的にはお得なんじゃないかと考えている。ご自身の普段の利用状況と照らし合わせ、賢く快適にGoogleマップライフを送っていただければ幸いであります。
あ、くれぐれも“ながら運転”はなさいませぬよう。
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