2016年に復活を果たしたホンダのアドベンチャーフラッグシップ「アフリカツイン」は、2018年にマイナーチェンジが行なわれパワーアップ。そして2020年モデルとして排気量を1100ccにアップしてフルモデルチェンジを果たした! その走りをオフロード専門誌『ゴー・ライド』の小川編集長がチェックしたのでお伝えしよう。
●まとめ:小川浩康(ゴーライド編集長) ●写真:長谷川徹、ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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フルモデルチェンジで約4kgの軽量コンパクト化!
パリダカールラリー・レーサーNXR750のレプリカとして、1988年に登場したホンダXRV650アフリカツイン。その後、750㏄へ排気量アップし、世界中で7万3000台以上を販売するヒットモデルとなったが、排ガス規制もあり、惜しまれつつ2001年に生産終了となった。
しかし、2013年のダカールラリーにホンダワークスが復活参戦。そこで得たオフロード性能とツーリング性能を高次元でバランスさせ、快適に安心してどこへでも、どこまでも行ける”True Adventure”というコンセプトを掲げ、2016年にCRF1000Lアフリカツインとして復活を果たした。アフリカツインらしいオフロード性能を損なうことなく、排気量を998㏄にアップし、高速巡航性能を大幅に向上。電子式変速機のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)、セレクタブルトルクコントロール(トラクションコントロール)などの先進の機能も搭載していた。
そして2018年には早くもマイナーチェンジ。アクセルを電気信号化したスロットルバイワイヤを装備し、エンジン特性が4モードから選択可能になり、セレクタブルトルクコントロールは7レベルに細分化など、電子制御システムがより充実されたのだ。
さらに、それから1年で早くもフルモデルチェンジが行なわれた。さまざまな走行シーンで最適な剛性バランスを実現するために、フレームを新設計。エンジンはストロークを伸ばし、排気量を1082ccに増大。最高出力95psから102psへ7ps、最大トルク10.1kg-mから10.7kg-mへ0.6kg-mのアップとなった。スロットルバイワイヤの応答速度も向上し、よりリニアなレスポンスを実現しているという。
DCT仕様にはIMU(慣性計測装置)を用いたコーナリング走行検知制御を追加し、シフトタイミングがよりライダーの感性に近づいた。コーナリング中のブレーキ操作によるホイールロックも抑制するコーナリングABSも搭載している。またIMUから得られる車両状態に応じ、セレクタブルトルクコントロールには前輪の浮き上がりを3段階で抑制するウイリーコントロール機能を新たに追加。そうした新機能を盛り込みながら、車両重量は226㎏(DCT仕様は236kg)と、前モデルから4㎏の軽量化を実現しているのだ。
この新型アフリカツインのDCT仕様をモトスポーツランドしどきの特設コースでテストしてみた。当日は時々雨が降り、路面はややウェットで、ところどころに深いワダチやマディもあるコンディション。ライディングモードはオフロードにセット(パワーは4段階中3番目に抑えられ、エンジンブレーキは3段階で最もかかる)。
路面が滑りやすかったこともあって、7psのパワーアップは体感できなかった。だが、アクセルレスポンスがシャープすぎず、パワーはリヤタイヤが路面を確実にグリップするようにジワーっと立ち上がってくるのは体感できた。そして、ワダチやコーナー立ち上がりでリヤタイヤがスライドしても、アクセル開度を維持(パーシャル状態)していれば、トルクコントロールが介入してくる。大きくバランスが崩れる前にアクセル開度を適切に調整し、車体が直立してくる。その介入具合とマシン挙動に違和感がないから、トルクコントロールの制御に任せて安心して走っていけるのだ。
それと、スリムになったフレームのおかげでライディングポジションも自然と決まり、車体もコンパクトに感じる。250クラスよりは大きさと重量は感じるが、ダートでは250トレール並みの感覚でマシンコントロールができる。コンパクトさ、ともいえる乗り味を、リッターオーバーの車体で実現し、それを幅広いレベルで体感できるように仕上げられているのが、新型アフリカツインなのだ。
6つのライディングモードで走行できる!
車体左側グリップに設置されたスイッチを操作することで、6つのライディングモードに変更できる。パワー感とアクセルレスポンスが変わり、エンジンブレーキの効き具合、ABS設定も、それぞれのモードに合わせて変更される。
足着き性チェック
欧州仕様と同等のシート高は、ノーマル870mm、ローポジション850mm。国内仕様のノーマルは830mm、ローポジションは810mm。ライダーの身長は172cmで、欧州仕様同等ノーマルはつま先立ちとなり、シート高の高さを感じる。国内仕様ノーマルはカカトが少し浮くが、車重で振られる感じがなく、安心感がある。国内仕様はサスストロークがフロント20mm、リヤ60mm短くなっている。今回はオフロードコース、林道、ワインディングを走破したが、中級未満の筆者は、ストローク不足を感じた瞬間はなかった。
次稿では、’20新型アフリカツインのツーリング仕様「アドベンチャースポーツ/ES」テストライドの模様をお届けする。
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