EICMA2019で発表されたMVアグスタのニューモデルには、前年のスーパーベローチェに続くネオクラモデルがあった。208馬力+ウイングでファンを驚かせたブルターレ1000RRがベースの“丸眼のハイテク野郎”ラッシュ1000だ。発売済みのブルターレ1000セリエオロに続き、2020年モデルが春以降に続々発売となる。
スーパーベローチェ800の標準モデルは右3本出しマフラー!
F3 800をベースとしたネオクラシックスタイルのスーパーベローチェ800は、2018年秋に発表されていたセリエオロと同時期の発売が決定! 特徴的な丸眼ヘッドライト&テールランプにビビッドな赤×黒と白×黒をまとい、F3系と共通の右3本出しマフラーを採用する標準モデルは、F3 800とそう変わらない249万7000円という価格設定が嬉しい。
特徴的な外装のデザインは、はエイドリアン・モートン率いるCRCデザイナーチームが担当し、美しい形状のみならずウインドプロテクションという本来の機能も追求。全てのボルトやフレームとの取付け部分を完全に見えないように隠し、外観の調和を維持している。セリエオロではシルバーとしたサイドパネルは艶消しブラックとし、F3 800よりも快適なライディングポジションで街中を気楽に流すのも気持ちがよさそうだ。
エンジンは出力コントロール性を向上した新型で、F3 800よりもさらに充実した電子制御も備える。気になる発売時期は2020年6月だ。
スーパーベローチェ800セリエオロは先行して5月に発売、予約を急げ!
EICMA2018でプロトタイプが発表され、従来のMVアグスタファンのみならず新たなファン層の獲得に貢献したスーパーベローチェ800セリエオロ。アルカンターラシートや右2本&左1本出しマフラー、伝統的なスペシャルカラーなどが特徴となっているほか、星型スポークのホイールなどデザインもかなり凝っている。
セリエオロは上部構造にカーボンファイバー製の部材を多く使用し、レザーストラップ付きの燃料タンクキャップやヘッドライト&テールランプ周囲のアルミコンポーネントにはCNC加工を施す。これだけの内容で352万円としているのも朗報だろう。ただし世界限定300台、今から間に合うのか……。
【SUPERVELOCE800 & SUPERVELOCE800 Serie Oro】主要諸元■全長2030 全幅730 全高未発表 軸距1380 シート高830(各mm) 車重173[165]kg(乾)■水冷4ストローク並列3気筒 DOHC4バルブ 798cc 148hp/13000rpm 8.87kg-m/10600rpm 変速機6段 燃料タンク容量16.5L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
ネオクラ“スーパー”ネイキッド、ラッシュ1000登場! 発売は6月
丸眼ヘッドライトに4本出しマフラー、カーボン製リヤホイールカバーなど、ネオクラシックスタイルながらすべてが新しいラッシュ1000は、ブルターレ1000 RR(後述)がベース。ラジエター横のウイング(MVアグスタはスポイラーと表記)はダウンフォースを発生し、リヤホイールカバーで乱流を抑えるなど、空力を追求したネオクラネイキッドなんて記憶にない。
丸眼1灯スタイルのヘッドライトはLEDで複雑に彩られ、このスタイルながらコーナリングライトを備えている。公道仕様で208馬力を発生する4気筒エンジンは、F1技術を用いたというラジアルバルブとチタンコンロッドを採用。各種電子制御もフルパッケージだ。サスペンションも、伸/圧ダンパーを電子制御するオーリンズ製ECユニットを搭載。プリセットとマニュアル設定が可能となっている。
【RUSH 1000】主要諸元■全長2080 全幅805 全高未発表 軸距1415 シート高845(各mm) 車重186kg(乾)■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 998cc 208hp/13000rpm 11.9kg-m/11000rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/55ZR17
“ブルターレ”シリーズは1月から発売攻勢がはじまる!
まずはスポーツネイキッドのブルターレシリーズだ。3気筒シリーズ標準モデルのドラッグスター800 RRおよびブルターレ800 RRは、他の2020年モデルに先駆けてそれぞれ1月と3月に発売。さらに、従来はツーリズモベローチェにのみラインナップされていたSCS(スマートクラッチシステム)を搭載したモデルもラインナップし、ともに5月発売としている。
SCSとは、停止時に自動的にクラッチが切れ、発進時にはオートマチックにつながるシステムでありながら、任意でレバーを操作すれば走行中の半クラッチ状態も作れるという、オートマとマニュアルのいいとこ取りをしたものだ。しかも、アップ/ダウン両方向に対応したクイックシフトシステムEAS 2.1により、クラッチ操作不要のギヤチェンジも可能。発進から停止までクラッチを使わずに済み、ギヤチェンジ時の回転合わせも不要なので、加速/減速とシフトペダルの操作に集中でき、その分の余裕でより安全に走ることも、景色を感じながら走ることも、そして速く走ることもできる。
MVアグスタの3気筒シリーズは逆回転クランクを採用し、同排気量帯のライバル勢に比べてより軽快なハンドリングを実現。3気筒特有のサウンドとアグスタらしい胸のすく吹け上がりも特徴としている。ブルターレ800 RRはスタンダードな位置付けのスポーツネイキッド。そしてこれをベースとしたドラッグスター800 RRは、スポークホイールや極太リヤタイヤを採用し、車体全体では7kgの軽量化を果たしたモデル。バーエンドミラーもデザイン上の特徴となっている。
【BRUTALE 800 RR SCS & DRAGSTER 800 RR SCS】主要諸元■全長2045[2035] 全幅875[935] 全高未発表 軸距1400 シート高830[845](各mm) 車重175[168]kg(乾)■水冷4ストローク並列3気筒 DOHC4バルブ 798cc 140hp/12300rpm 8.87kg-m/10100rpm 変速機6段 燃料タンク容量16.5L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55[200/50]ZR17
208馬力のブルターレ1000 RRはセリエオロと“ほぼ”同スペックで2月発売!
ネイキッドとして初のウイングを搭載、F4系のエンジンは208馬力という途方もないパワーを誇るMVアグスタのスーパーネイキッドが、ブルターレ1000 RRだ。2019年9月に世界限定300台が発売されたセリエオロ(605万円!)がアグスタ伝統の赤と銀にゴールドの足まわりを装備していたのに対し、こちらはもっと現代的なカラーリングとしているのが特徴。セリエオロのカーボンホイールリム+チタンボルトに対し、アルミ鍛造+スチールボルトの組み合わせとしているが、スペック上の車重は同じ186kg(乾燥)をキープしている。
最高速度300kmを実現する動力性能だけでなく、フルLEDのヘッドライトにはネイキッドながらIMU計測のバンク角に連動したコーナリングライトを採用するなど、新たな試みも全開。フルカラーの5インチTFTディスプレイパネルでは、さまざまなカスタマイズ設定へのアクセスや電話の着信やメッセージ、音楽を管理することも可能だという。セリエオロで世間を驚かせたラジエター横のウイング(MVアグスタはスポイラーと表記)も健在だ。200km/h以上でのダウンフォースが必要な場面はサーキットですら限られるだろうが、物凄いマシンに乗っているという実感は、いつだって乗り手に満足感を与えてくれるはず。気になる価格は396万円と、セリエオロを思えばリーズナブル?
【BRUTALE 1000 RR】主要諸元■全長2080 全幅805 全高未発表 軸距1415 シート高845(各mm) 車重186kg(乾)■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 998cc 208hp/13000rpm 11.9kg-m/11000rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/55ZR17
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