甦るグランプリマシンの黄金時代

ホンダの覇権を阻んだ伝説のマシンをトリビュート【MVアグスタの3気筒が元ネタ】

1945年に初のバイクを生産して以来、2輪史に数多の栄光を刻んできたMVアグスタ。その輝かしい足跡を支えた伝説的なバイクをトリビュートしたマシンは、’19年後半の市販化が予告されている。

アゴスチーニの最高峰クラス7連覇を支えたバイク

英語にすればSuper Fast、つまりスピードの象徴とも言えるネーミングが与えられたのが、ミラノショーで発表されたMVアグスタのスーパーヴェローチェ800だ。1956年にジョン・サーティースが初の世界タイトルをもたらしてから、1976年に最後の勝利を挙げるまでの間に、MVアグスタは数々のレースで3027勝、なかでもロードレース世界選手権(WGP)では270勝を数え、37回のワールドタイトルを獲得してきた。そして’65年には世界初となる4ストローク3気筒のWGPマシン(350GPと500GPの2台)を投入。500ccクラスにおいて初年度は同じMVアグスタの4気筒マシンを駆るマイク・ヘイルウッドが年間タイトルを獲得したものの、翌’66年から’72年までは最高峰クラスにおけるジャコモ・アゴスチーニのライダーズタイトル7連覇を支えたのだった。ちなみに’73年と’74年には同じくMVアグスタのフィル・リードが500ccクラスを制したが、アゴスチーニは’68年から’73年まで350ccクラスでもMVアグスタでタイトルを獲得している。

’66年にはホンダが500ccクラスに4気筒マシンのRC181を登場させ、MVアグスタに肉薄してメーカーズタイトルを奪取したものの、ライダーズタイトル獲得はならず。翌’67年もMVアグスタがライダーズタイトルを死守するとともに、メーカーズタイトルを奪い返したのだった。そしてホンダはこの年限りでWGPから一時撤退。’79年に復帰を果たしてからも、最高峰クラスでのライダーズタイトル獲得は’83年まで待たなければならなかった。ホンダのよきライバルであり、壁ともなったのがMVアグスタの3気筒GPマシンだったのだ。

そんな伝説的なバイクをモチーフとしたスーパーヴェローチェをデザインしたのは、MVアグスタのチーフデザイナーであるエイドリアン・モートン(Adrian Morton/英国出身)だ。彼はかつてイタリア資本だった時代のベネリでトルネードやTnTなどを手がけたことでも知られる人物。このスーパーヴェローチェでは、F3 800をベースにクラシックと最新鋭バイクの融合を図り、伝説と同じ3気筒エンジンを搭載するスーパースポーツというコンセプトを形にした。

MVアグスタが1999年に復活して以来、初めての丸目1灯を採用。黄色のLEDは500GPのゼッケンプレートをイメージしている。

外観はまさしく往年のMVアグスタ500GPをオマージュした丸みのあるカウリングを纏い、左側ドライブチェーンの片持ちスイングアームと相まって極限まで内側に追い込まれた右2本出し、そして左1本出しとなるマフラーを採用。右側にチェーンドライブ機構を備えていた500GPをそっくり左右反転させたような、左右非対称3本出し構成となっている。

こちらは元ネタとなった500GP。WGP500クラスでジャコモ・アゴスチーニが7連覇を達成した原動力となった。350GPをベースに排気量を拡大し、最終的には491cc/80psをマーク。
カウルは大部分がカーボン。シングルまたはタンデムシートが選べる予定。
往年のGPマシンに採用されていたタンク固定用のストラップをレザーで再現。専用のタンクキャップを介して前後に接続される。メーターは現代的なフル液晶パネル。
スポークホイールを採用。500GPを意識した装備で、星型配置のスポークもトリビュート感が満載だ。タイヤはピレリのディアブロスーパーコルサSP V2。

’19年後半の市販化を予告

単なるコンセプトモデルの展示というわけではなく、これをベースに市販車としてリリースすることを明言。じっさい、すでに市販化に向けて現実的な構成となっている。市販化にあたってはベースモデルのF3 800よりも高いパフォーマンスを発揮するとしており、そのために3in1in3のエキゾーストレイアウトやMVアグスタの歴史の中で最も進んだ電子制御の投入を予告。見かけだけのネオクラシックを作るつもりは全くなさそうだ。

ステップ位置の調整機構や、F3比でもう少し快適なポジションのハンドルバーを採用するなど、スーパースポーツとカフェレーサーのいいところ取りとなりそうなスーパーヴェローチェは、’19年後半の量産化が宣言されている。

【MV AGUSTA SUPERVELOCE 800】

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