マシン・オブ・ザ・イヤー2018
もうひとつの『本物の』MVアグスタ

【EICMA 2018】マーニの最新作は750Sトリビュート!

MV AGUSTA 750Sは、1971年から1975年にわたって生産された、当時のMVアグスタの象徴的なモデルで、現在はブランドコレクターたちの垂涎の的となっている。赤/白/青に塗り分けられた燃料タンクが描く美しいラインは、このモデルを特徴づける決め手のひとつと言えるだろう。MVアグスタは、2019年モデルとしてブルターレ800RRアメリカを登場させることで、この750Sの伝説を甦らせようとしているが、もうひとつ、ミラノショー会場の片隅でひっそりと展示されていた2019年モデルがあった。それがマーニ(MAGNI)の750S Tributoだ。

MV AGUSTAの伝説を創ってきた男

驚くべきことにこのマーニの新作は、往年の750Sの燃料タンクのラインをほぼそのまま再現し、750Sそのものに近いたたずまいとしながらも、最新のブルターレ800系エンジンを搭載。足まわりにも、往年の雰囲気を損なわない意匠を保ちながら、現代的なアジャスタブル機構が与えられている。

そこで読者が気になるのは「そもそもマーニってなーに?」ということだろう。

マーニ創始者のアルトゥロ・マーニ(Arturo Magni)氏は1947年にPiero Remor氏の指導のもと、ジレラ(Gilera)のレーシング部門でそのキャリアをスタート。1950年からはMVアグスタのレーシング部門に加わり、1977年に引退するまでにはMVレパルトコルサ(Reparto Corsa)のチーフとしてジョン・サーティースやマイク・ヘイルウッド、ジャコモ・アゴスチーニら錚々たるライダーを率い、75ものタイトル獲得に貢献している。

レースからの引退後は、MVアグスタのスペシャルバイクを造るファクトリーを息子のジョヴァンニたちとともに設立し、750ccと788ccのMV SportおよびMV Americaを製作。その後はBMWのボクサーエンジンを搭載したマシンなどを生産していたが、1985年からはモトグッツィのエンジンを使用する契約を取り付け、純イタリア産バイクへと転換していく。1989年に登場したSfida(スフィーダ)1000などは有名な部類だろう。また、2012年には英国産BSAエンジンを搭載したマシンなども登場させた。

今回の750Sトリビュートのベースになったのは、2014年のEICMAで登場したFilo Rossoというマシン。ブルターレ800系のエンジンを搭載し、キャストホイールを履くフィロロッソは、新世代マーニの先鋒といっていい。ちなみにフィロロッソにはカウルつきバージョンもあり、今夏に本国で開催されたマーニオーナーズミーティングではブラックエディションも登場している。

そうした流れのなかで、MV AGUSTAロゴをあしらったトリビュートマシンが登場したというわけだ。コンストラクターの名はマーニだが、系譜をたどっていけば、これも本物のMVアグスタと言えることがわかるだろう。750Sトリビュートは、フィロロッソと比べると外装が一新され、スポークホイールを採用。また、フレーム形状にもいくらかの違いはあるようだが、ブルターレで使用されている3気筒800ccエンジンを搭載し、高いハンドリング能力を保証する点は変わらない。気になるのは、これが日本で買えるのかということだが、現時点ではまだなにも情報がない……。

【MAGNI 750S Tributo】主要諸元■全長2160 軸距1420 シート高820(各mm)車重未発表■水冷4スト並列3気筒DOHC4バルブ 798cc 出力未発表 変速機6段■ブレーキF=φ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ230mmディスク+2ポットキャリパー タイヤF=120/80ZR18 R=16060ZR18

こちらはMV AGUSTAブースに展示されていた往年の750S。エンジンとフレーム以外ではドラムブレーキや右側ドライブ(シャフト方式)、4気筒ゆえのマフラー本数などといった違いが見て取れるが、たたずまいは本当によく似ている。これをオマージュした新型ブルターレ800RRアメリカの記事もいずれ公開予定。

これはMVアグスタの750Sアメリカというマシンで、アルトゥロ・マーニ氏によってレストアされたというサインが、本人の手で書かれている。37個の世界タイトルを表す星のマークのステッカーも。マーニ氏とMVアグスタの関係を示す、日本国内某所に大切に保管されている貴重な1台だ。

エンジンはブルターレ800系の798cc並列3気筒で、逆回転クランクを採用する。3軸三角形配置や前傾したシリンダーなどにより非常に現代的な見た目だが、思い切りよくクラシカルな車体に搭載している。違和感も面白さと受け取りたい。マフラーは右2本出し、左1本出しとなる。

車体コンポーネントはイタリアのナショナルメーカーを最大限に活用。サスペンションはORAM製で、フロントフォークはφ43mmの正立タイプ、リヤショックはツインで装着される。ともにマルチアジャスタブルだ。ホイールはJoNich製で、チューブレスタイヤが使用できるスペシャルスポークホイールだ。ブレーキはブレンボ製となる。

クラッチレバーとフロントブレーキマスターシリンダーはDiscacciati製。Ariete Sandro Mentasti製の70年代デザインのゴム製グリップを装着する。燃料タンクのロゴあしらいは左側がMV AGUSTA、右側にはAGUSTA MVと書かれるのが面白いところ。シートは往年の750Sよりも前後にややコンパクト。

(左)ステップ自体が一緒に回転するブレーキペダルは往年のディテールと同じ。(右)メーターは英国Scitsu Instrument社のもの。中央にアナログメーターをひとつ配置するのみという思い切った構成だ。トップブリッジにはマーニのロゴとイラストが刻まれている。

【Magni MV Agusta 750Sトリビュート】イタリア製の車体、エンジン、高性能コンポーネントを使用し、MVアグスタの過去と現在を所有できる稀有な存在だ。ちなみにイタリア語での発音は「トリブート」となる。

「2019新型パニガーレV4R(PANIGALE V4R)は221ps/193㎏でウイング付き」はこちら

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)

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