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より素早くスポーティに、そしてダイナミックなパフォーマンスを発揮する方向で開発が進められたヤマハTMAXの7代目・’20年型が姿を現した。基本となる部分は6代目をベースにしつつ、ボア拡大で562ccとなったエンジンはMAX45.9psから47.6psへとアップ。また、伝達能力を向上させた新しいCVTベルトが全体的な乗り心地向上に貢献してもいる。
ラグジュアリーな6代目からスポーツ度アップの7代目へ
’01に初代が登場してから20年という節目を迎えたヤマハTMAXが7代目となった。今回は自ら切り拓いだビッグスポーツスクーターというセグメントをさらに強化するために、より素早くスポーティに、そしてダイナミックなパフォーマンスを発揮する方向で開発が進められた。
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先代を基本にしつつ、テールまわりやフロントのウインカーまわりのスタイルを変更。全長やホイールベースなど車体寸法は同一だ。車重はSTDで’19SX比5㎏増。上級版のTech MAXでは’19DX比で4㎏増となっている。
基本となる部分は6代目をベースにしつつ、エンジンはボアを2mm広げて排気量+32ccの562ccへと拡大。最高出力を3.5%、最大トルクを6%も向上させることに成功して、力強いキャラクターを手にすることとなった。
しかも、ユーロ5対応ということで吸気バルブ拡大や吸排気のバルブタイミングおよびインジェクターの位置変更で燃焼効率を向上。キャタライザーをエキゾーストシステムの前後に2か所設置して排ガスを浄化し、クリーン性能も高めている。また、伝達能力を向上させた新しいCVTベルトが全体的な乗り心地向上に貢献。減速比と自動変速特性も変更されて、鋭い加速性能と同時に通常の巡航速度範囲でのより滑らかでリラックスな走りを両立させた。トラクションコントロールや前後サスペンションのセッティングも見直された。
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【ボア2mmアップで560cc化】ボア拡大で562ccとなったエンジンはMAX45.9psから47.6psへとアップ。新設計された軽量鍛造ピストンやコンロッド、CVTベルトなども新たに組み込まれている。
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走りを支える倒立フォークはサスペンション設定をリファイン。Tech MAXは足まわりを金色でまとめる。
スタイリング面では、パッセンジャーの乗り降りを楽にすべくテールまわりをスリム化。「T」を表す新形状になったテールランプやLEDとなった新型ウインカーも新たに得た。従来型はSTDとSX、電動スクリーン付きのDXに分かれていたが、今回はSTDとDXに相当するTech MAXが設定。電動スクリーンやクルーズコントロール、グリップ&シートヒーター、リヤサスアジャスターなどが装備され、従来のDXに相当する上級版だ。そちらはGPS機能のある「MyTMAXコネクト」にも対応する。
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テールまわりはスリム化されてパッセンジャーの乗り降りやフットレストへのフィッティングを改善。テールランプは従来の左右2分割形状からT字形状に光るスポーティなデザインに変わった。
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LEDとなったフロントウインカーは、超スリムな縦長形状となり、ミドルカウル先端に埋め込まれた。スクリーン高は135mm可変し、Tech MAXでは電動で調整できる。
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メーターは従来から継承するアナログ2眼+センター液晶。電動スクリーンなどを装備するTech MAXはスイッチボックスもぎっしり。グリップヒーターも付いている。
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(左)両モデルともにスマートキーを採用。緊急時シート開閉用の緊急時シート開閉用のブレードも内蔵される。(右)シート下はフルフェイスヘルメット1個、ジェットヘルメットなら2個収納可能で、従来型と同じトランク性能となっている。
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TMAX Tech MAXはテックカモ(左)とソードグレー(右)の2色展開。
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TMAX560 STDはアイコングレー(左)とソードグレー(右)の2色展開。
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