新春からイベントにもたくさん顔を出したい!

世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.24「2019年の出来事、バイク、それぞれの個人的ベスト3」

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第24回は、活動の幅を広げた2019年を振り返ります。

TEXT:Go TAKAHASHI

ミシュラン購入キャンペーン

ものすごく個人的な’19年のバイクニュース

新年明けましておめでとうございます。ライダーの皆さんにとって、よりよい1年になりますように。というわけで、早くも昨年の話になってしまいましたが、ここで2019年を振り返ってみたいと思います。

2019年はいつにも増してたくさんバイクに乗った1年でした。ありがたいことに仕事でバイクに乗る機会も多くいただきましたし、自分のバイクでのプライベートツーリングも楽しみました。

僕の「ものすごく個人的な’19年のバイクニュース」は、3つ。人生初林道ツーリングに出かけたこと、トライアルに挑戦したこと、そしてテイスト・オブ・ツクバのレースに出たことです。

林道は、SP忠男の鈴木忠男社長を含め、4月に仲間たちと行ったのが最初。これは取材込みでしたが、その後、12月にもプライベートで房総の林道を走りました。セローを持ってるなら、やっぱり林道ですよね! ノープランでテキトーに山の中に分け入って、そんなにハードじゃないオフロードを楽しむ。ストレスフリーでただただ面白がれる時間は、僕にとってもかけがえのないものとなりました。

忠さん(鈴木忠男社長)と仲間たちと、景色のいい山の中へ。

今年はさらにツーリング+ゴルフといった感じで、趣味に趣味をくっつけてしまおうかと思っています。今は宅配サービスなども含めて手ぶらでゴルフ場に行けるし、行き帰りの移動はクルマよりバイクの方が断然楽しい! ツーリング+ゴルフで、限りある時間を有効に使おうと画策してるんです。……なんて偉そうに言ってるけど、全部遊びか(笑)。

トライアルは、今、完全にマイブームきてます! 僕なんかまだまだビギナーもいいところですが、その分、スキル向上の余地がたくさん残されてるのがすごくうれしい。「もっともっとバイクが楽しめるぞ!」とワクワクしてるんです。

本音を言えば新車のトライアルマシンが欲しいけど、結構いいお値段だし、忙しくてそうそう乗れる機会もなさそうなんです。「だったら中古の程度のいいのを探そうかな~」「いやいや、コースやスクールによってはレンタルマシンが用意されてるからそれでいいかな」「セローにトライアルタイヤを履かせても遊べるらしいぞ」とか、ネットを検索しながらいろいろ考えるのも楽しいんですよね、バイクって。

ぼんやりとした目標ですが、今年の出光イーハトーブトライアルに出られないかな~と思っています。イーハトーブは細かくクラス分けされているので、僕みたいなビギナーでも参加しやすそうです。とは言え、もっと練習しなくちゃな~。

新しい発見がとても多かったトライアル。詳しい記事は改めてお送りします!

“ストイックなレース”は今やりたいことじゃない

そして、テイスト・オブ・ツクバ! 長く楽しんでいるエントラントの皆さんの邪魔にならないよう、ひっそりとRG500Γでレースさせてもらいましたが、結果は残念ながらマシントラブルでリタイヤ……。でも、全然イイんです。お遊びですからね~。

関係者の方たちにも再三聞かれました。「勝ち狙いじゃなくてもいいの?」って。でも、「僕が勝ちを狙いに行ったら、一気につまんなくなっちゃいますよ」とやんわりお断りしました。本気の勝負はストイックなもの。自分にも、まわりにも、マシンにも、すべてに全力を求めてしまいます。当然、ピリピリもするでしょう。それって、今僕がやりたいことじゃない。

僕がテイストに出るのは、「原田が出るなら観に行ってみようかな」という方が少しでもいたらうれしいから。僕自身がレース盛り上げに貢献できるなんてことは思っていませんが、ちょっとでもバイクに関心を持ってくれる人が増えたら……という思いはあります。自分が好きなことをやって、自分が楽しんで、それを発信していくことで、微力ながらもバイク業界に恩返しできたらいいな、と。

僕が常日頃から思っているのは、「バイクを安全に楽しんでほしい」ということです。はっきり言って、バイクは危ない乗り物です。特に今のリッタースーパースポーツなんか、アクセルを開ければ1速でも100km/h以上出てしまいます。こうなると、「いかに自分を抑えるか」というメンタル面の強さが必要だし、しっかり減速できるブレーキングテクニックも必要です。どちらもすごく難しい。

僕は公道ではそもそもスピードが出ないセローに乗っていますが、こういう選択もアリでしょう。もし、どうしても公道で速いバイクに乗りたいなら、スピード以外の楽しみを見出してもらいながら、サーキットでブレーキングテクニックを磨いてもらうしかありません。スピードを制御できる心と技がない限り、公道で速いバイクに乗るのはやめておいた方がいいと僕は思います。

「公道は基本、サーキットは応用」と思っている方も多いようですが、僕の考えでは逆。「サーキットは基本、公道は応用」です。安全対策がとられているサーキットで反復練習をして、何が起こるか分からない公道で活用する。

テイストに参加した理由はここにもあります。僕と同じレースを走った方が、「あんな風にブレーキングするんですね」「あんなライン取りなんですね」と声を掛けてくださいました。自分が少しでも役に立てたかと思うと、うれしかったですね。

もちろん、僕の走りがすべてではありません。いろんなやり方、いろんな考え方があります。いずれにしても、サーキットを走ることで気付くこと、学べることはたくさんあるんです。僕も茂原ツインサーキットでスクールを開催していますが、各地でいろんなスクールや走行会が行われていますので、ぜひ参加していただきたいと思います。

テイストはレースでしたが、レースする必要はありません。サーキットは練習の場。走行会やスクールに参加して「今日はブレーキング」「今日はライン取り」といった具合に自分なりのテーマを決めて、ステップ・バイ・ステップで上達していけば、結果的に公道でも安全にバイクを走らせられるようになるはずです。

……話が大幅にそれた気がしますが(笑)、それたついでに「ものすごく個人的な’19年に乗ったバイクベスト3」を選んでみますね。

ものすごく個人的な’19年に乗ったバイクベスト3

これは簡単、日帰りツーリングに使うなら自分のセロー、ロングツーリングからサーキットのスポーツ走行まで幅広く使うならストリートトリプルRS、そしてサーキットオンリーならRSV4 1100ファクトリー、この3台で決まりです。

セローはどこにでも気軽に入っていける楽しさがある反面、長距離はちょっとつらいかなと。でも、忙しい合間を縫って日帰りで地元の房総半島を走ったりするには最高です。

12月には林道テキトーツーリングへ。軽くて気軽なヤマハ・セロー250は日帰りにベスト。

ストトリRSは、車格からして使い勝手がいい! 軽いから足着き性も気にならないし、サスペンションの作動性もいいから公道のいろんな場面にフィットしつつ、サーキットを楽しめるだけのポテンシャルもあります。

トライアンフ・ストリートトリプルRSは街乗りにもツーリングにもフィット。サーキットも楽しめる!

RSV4はサーキット最強でした。走行会から1歩先に進んで、「レースに出てみようかな」と思うレベルの人にお勧めです。ポジションもキツいし、正直言って公道を走りたいとは思わないけど、サーキットではめちゃくちゃ乗りやすかった。安心して一気にフルバンクまで持ち込めました。

アプリリア・RSV4 1100は、サーキットを攻めるときにいちばん乗りやすい。

今年もたくさんのバイクに乗れたらいいな、と思っています。これだけ乗っても飽きないどころか、もっと乗りたいと思うんですから、バイクってやっぱり楽しい乗り物なんですよ! 僕としてはできるだけ多くの人に1回でいいからバイクに乗ってみてほしいし、そのために自分でも役立てることがあればどんどんトライしていくつもりです。

最近は、僕の考え方を理解してくれる人たちが集まってくれて、とてもいいムードです。なんて言っても、ただバイク好きがバカ話をしてるだけ(笑)。それでもサプライヤーさん同士でメーカーを超えた横のつながりができたりして、うれしく思っています。

バカ話をしながら僕たちがバイクを楽しむって、すごく大事なことですよね。誰だって、難しい顔で眉をしかめてる人たちと仲間になろうとは思わないでしょう? 新しい方たちにバイクに乗ってもらうためには、僕らがニコニコしていることがすごく大事。バイクという乗り物の面白さや奥深さを、笑顔で皆さんに伝えていこうと思っています。

今年もイベントなどに積極的に顔を出しますよ。ということで、さっそくですが1月19日(日)にサーキット秋ヶ瀬で行われる「2020秋ヶ瀬新春祭り」にお邪魔します。2輪ライダー、4輪ライダーが集結する豪華イベントで、ポケバイやミニバイクの体験試乗会なども行われます。どうか怖がることなく(笑)、お気軽に声をかけてくださいね!

4輪も本山哲さんをはじめとした豪華布陣。2輪では本誌でお馴染みの岡崎静夏さんも参加ライダーのひとりに名を連ねている。

関連する記事/リンク

関連記事
2019/12/15

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰[…]

関連記事
2019/12/01

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰[…]

関連記事
2019/11/15

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰[…]

関連記事
2019/11/01

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰[…]

関連記事
2019/10/15

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰[…]