2002年にまで遡るV-ストローム1000の系譜。現行モデルは2013年に新設計された1037㏄のエンジンにスズキ初のトラクションコントロールを積んで話題となった。そのVストローム1000が、名前も新たに「V-ストローム1050」となって’20年に新登場! 前稿のスタイリング解説に続き、本稿では主要なスペックおよび装備について紹介する。
2002年にまで遡るスズキのスポーツアドベンチャーツアラー・V-ストローム1000の系譜。現行モデルは2013年に新設計された1037㏄のエンジンにスズキ初のトラクションコントロールを積んで話題となっ[…]
電子制御スロットル採用でよりエンジン制御が緻密に
排気量は変わらないものの、最高出力が100psから107psへとパワーアップしたことにより、”1050″の名前が与えられることになった新型V-ストローム。開発陣いわく、このパワーアップにおける最大の功労者は電子制御スロットルだとか。パワーアップには、スロットルボディ径の拡大による混合気の流量増が必須になるが、どうしても既存のシステムではアイドリング付近の流量が不安定になり難しかったという。つまり、この電子制御スロットルを採用したことで、より緻密な制御が行えるようになり、スロットルボアをφ45mmからφ49mmへと拡大。
加えてカムプロフィールも変更。バルブのオーバーラップを減らすことで燃費を向上させ、リフト量を増やすことでパワーアップを図った。増えた熱量を処理するために冷却能力を22.7kWから26.1kWに増やされ、水冷式オイルクーラーも追加された。
また電子制御スロットルの採用で、アクセルワークに対するバタフライバルブの開度を変えるSDMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)も新採用。A/B/Cの3種類の出力特性モードが選べ、それぞれのモードはトラクションコントロールシステムとも連動。より緻密な制御プログラムが施されたことで、より上質な走りを手に入れることができた。
サスはKYBを継続採用。タイヤは専用設計
上級モデル・XTには充実の機能装備が標準化
上級モデルのXTには、STDにはないボッシュ製6軸IMUが搭載されている。この慣性計測装置が、コーナリング中のバンク角、登坂などといった、様々な走行状況を判断。またCANバスによる大容量データの相互管理が可能になったことで、ABSやトラクションコントロールといった電子制御がより緻密に行えるようになった。その制御の具合は、既存のVストローム1000とは比べものにならないほど進化している。
(A)ヒルホールドコントロール
登り坂を感知し、停止してブレーキをかけると約30秒間リヤブレーキを作動させ、坂道発進をアシスト。システムオフも可能だ(XTのみ)。
(B)スロープディペンデントコントロール
下り坂でハードブレーキングしたときに、ジャックナイフ現象が起きないようにフロントブレーキ圧をコントロールする機構(XTのみ)。
(C)ロードディペンデントコントロール
ブレーキ減速度を変化を学習することで、ソロ/タンデム、積載の有無と、負荷条件が変わっても最適なブレーキングをアシスト(XTのみ)。
ドライブモードセレクター、トラクションコントロール、クルーズコントロールはSTDも同様に装備されている。
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