第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

Zシリーズの新たなフラッグシップモデル

Z H2の全貌を暴け! カワサキ開発者に聞く「小排気量スーチャーも検討?!」

  • 2019/10/29

東京モーターショー2019で、ついに姿が明らかになったカワサキのスーパーチャージドネイキッド「Z H2」。H2の流れを汲む200馬力のエンジンを搭載したモンスターマシンだ。現地取材情報と激撮ショットから、その実態に迫る!

「Z1000よりも扱いやすい」というZの親玉

エッジの利いたストリートファイターとして人気を博しているカワサキのZシリーズ。これまではZ1000が頂点だったが、スーパーチャージャーを搭載するZ H2が「新たなフラッグシップモデル」(リリースより)として君臨する。

ズバリわかりやすく言えば、「Zの親玉」(カワサキ関係者)。Z1000の代わりではなく、その上に立つモデルとなる。従来のZ1000もストリートで随一の速さを示したが、新作はさらに上。しかも、「Z1000より扱いやすい出力特性を持つ」というから驚く。

スーチャーを搭載するのに、もっと乗りやすい特性とは……恐らく、スーチャーによる分厚い低中速トルクや、従順なスロットルレスポンスなどが想像できるが……、実に興味津々である。

スーパーチャージャー搭載マシンとしては、’15年に登場したスーパースポーツのNinja H2、’18年デビューのツアラー、Ninja H2SXに続く第3弾。カワサキ開発関係者によると、ネイキッドとしたのは、「スーパーチャージャーの裾野を広げることが目的」と話す。

H2は、レースのレギュレーションに縛られず、究極のパフォーマンスを追求。H2SXは、さらにタンデム可能とし、ロングランでの快適性も備えた。その広がった裾野をZ H2ではより拡大していく。

「最高速はそこまで狙わずに、加速性能を向上しました。街乗りやワインディングで、乗りやすく楽しめるバイク。もちろんスロットルをガバッと上げると途轍もない速さが出ますが、普通に乗るにはエンジンと車体とのバランスが非常に良好です。価格でも性能の面でも敷居が高かったスーパーチャージャーがより身近になります」という。

【KAWASAKI Z H2】主要諸元■全長2085 全幅770 全高1130 軸距未発表 シート高830(各mm) 車重239kg■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 998cc 内径×行程76.0×55.0mm 200ps/11000rpm 14.0kg-m/8500rpm 変速機未発表 燃料タンク容量19L■ハイテンスチール製トレリスフレーム ●価格:未発表 ●色:メタリックスパークブラック×メタリックグラファイトグレー×ミラーコートスパークブラック ●発売時期:2020年初夏

フレームマウントのヘッドライトを軸に唯一無二のデザインを創り上げた

Z H2も、Zシリーズのアイデンティティである「SUGOMI」(凄み)デザインを踏襲。低く構えた顔に、盛り上がった燃料タンク、跳ね上がったテールによって、獲物を狙う獣をイメージしている。

ただし、弟分がヘッドライトをハンドルマウントとするのに対し、フレームマウントとするのが独特。この辺は実物でもかなりボリュームがあり、従来のZとはやや異なる方向のデザインを与えてきた印象だ(モチーフは不明だが、個人的には顔の造形が古代魚を思わせる)。

もちろん、Zシリーズのアイコンであるファットタイプのハンドルバーを装備。そして何より、スーチャーの吸気ダクトが作り出す左右非対称デザインは唯一無二の個性。ダクト奥から覗くライムグリーンのメッシュがエロッ!

「SUGOMI」デザインを踏襲しながら、従来のZ1000などとは格が異なることをリバーマークが象徴している。

バランス型スーパーチャージドエンジンはH2SXゆずり

998cc直4ユニットは、既報のとおりバランス型と呼ばれるスーチャーを搭載するH2SXがベースだが、専用セッティングが施される。詳細は現時点で不明ながら、欧州の公式サイトを見ると、インジェクターの口径がSXのφ40mm×4から、φ38mm×4に変更。マフラーも新作だ。

ボア×ストローク=76×55mmはSXと同じで、最高出力200ps/11000rpmも不変。一方、最大トルクはSXの14.0kg-m/9500rpmに対し、Z H2は14.0kg-m/8500rpmと発生回転数が1000rpm低い点に注目したい。200psをキープしたまま、強化された怒濤の中低速トルクで駆け回る――まさにストリートで無敵の1台となりそうだ。

なお、電子制御系はSXと同様、充実の一言。IMU(姿勢センサー)付きのトラコンやライディングモード、ローンチコントロールなど豊富なサポート機能を搭載する。

余談ながら……「より小排気量車にスーパーチャージャーを搭載することも検討した」とのことだが、市販化は技術的に困難な印象。スーチャーは馬力損失が大きいため、排気量が小さいと思うようにパワーアップが図れないようだ。ただし、ニーズがあれば、可能性が全くないわけではなさそう。

排気量はH2SXと変わらない998ccだが、小排気量も検討したことはあるという。技術的に可能なのであれば、そんな新世代マシンも見てみたい!

似ているようでまったく違う! 新設計フレーム

H2やSXと同様、鋼管トレリスフレームを踏襲するが、形状は全くの新設計。H2SXでは、ステアリングヘッドから過給器の周辺まで緊密なトレリス構造を採用するが、Z H2では非常にシンプル。シートレールも簡素化されている。適度に剛性を抜くことで、しなやかな走りを実現するはずだ。

さらに、フレームは軽量化にも貢献している。車重は、H2 SX比で17kg減とした239kg。Z1000の220kgよりヘビーで、1000cc級の最新ネイキッドとしてはやや重いものの、「パッとまたがっても気負わず乗れる印象。数値以上に軽く感じる」と関係者は話す。

足まわりは、フロントにZ1000と同様のショーワ製Fフォーク=SFF-BPを採用。これにブレンボM4.3キャリパー+専用チューンのニッシン製マスターシリンダーを組み合わせる。H2 SX/SEより前脚のグレードは1ランク上だ。スイングアームは、H2/SXのアルミ製片持ちに対し、新作の両持ちを採用。リヤショックはユニトラック(リンク)式のショーワ製で、こちらも新作となる模様だ。

なお、フロントトラベルはSXの103mmから120mm、リヤトラベルは120→134mmと増大しており、乗り心地や扱いやすさのアップに貢献していると思われる。

数値以上に軽く感じられるという車体には、鋼管トレリスフレームが貢献している。前後のホイールトラベルが長くなっているのも見逃せない。

ヘッドライトを含むフルLEDは最新車のたしなみ

灯火類に関しては、フルLEDを採用。メーターは、H2シリーズ、Zシリーズを通して初となるフル液晶を投入した。ユニット自体は新型Ninja650と同様と思われるフルカラーのTFTで、ブルートゥース接続が可能。車体情報やログの閲覧、ライディングモードなどの設定をリモートで変更できる。

上下双方向対応のクイックシフター、クルーズコントロール、アシストスリッパークラッチも標準装備。いかにも空力特性が良さそうなヘッドライトまわりを含め、ツーリングも快適だろう。

価格は170~180万円程度か?!

東京モーターショーのプレスデーで発売時期は未発表だったが、後に公式から国内へ「2020年初夏発売予定」とのアナウンスが。気になる価格は、「調整中だが、H2 SX(STD)とZ1000の間より若干上」という。203万5000円(’19年型H2 SX)と117万1500円(’19年型Z1000)の間より若干上となると、170万~180万円ぐらいになる……? ちなみにカワサキUSAでは価格が既出! 「17000ドル」(約184万円)と表記されていた。

――続報を待ちたい!

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ヌマ王

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ヤングマシン編集部出身の敏腕フリーライター。特にバイクの社会&時事ネタに詳しく、20年以上にわたって特ダネを追い続けている。趣味はユーラシア大陸横断。