『ヤングマシン』のテスターとして、30年以上にわたりさまざまなバイクに試乗しまくってきた丸山 浩氏は、「30年間公道無転倒」という実績を持つ。その奇跡のヒミツを明かす本講座の第2回をお届け。転倒か無転倒か…、その境界線は実はエンジンをかける前にある。乗り降りの時点から、いかに高い緊張感をキープするか。バイクに近づく時点で、勝負は決まっている!
●文/まとめ:高橋剛 ●撮影:長谷川徹 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
講師:丸山 浩(まるやま・ひろし)年齢を重ねるごとにどんどん元気になっていく本誌メインテスター。普段はレースやスポーツライテクで"カッコよさ"を魅せているが、今回はあえて封印。極低速で転ばないために必[…]
講師:丸山 浩(まるやま・ひろし)年齢を重ねるごとにどんどん元気になっていく本誌メインテスター。普段はレースやスポーツライテクで”カッコよさ”を魅せているが、今回はあえて封印。極低速で転ばないために必要とされる泥臭くて実直なテクニックを徹底披露する。
油断・疲労・老化・厚着…。アナタの足は意外と上がっていない?!
エンジンをかける前にちょっと待った! まず気を付けるべきこと、やるべきことがある! 無転倒を実現するためには、一挙手一投足のスミズミまで意識しなければならないのだ!
バイクにまたがり、バイクから降りるという乗降動作は、皆さんすっかり慣れっこになっていてあまり注意を払っていないように思う。しかし、そこには確実に落とし穴がある。そういう小さな落とし穴のひとつひとつを丹念に埋めていくのが丸山流だ。
バイクの車重に対してライダーの体重は思いのほか重く、それだけにライダーの体さばき次第でバイクはいとも簡単にバランスを失ってしまう。転がるのは一瞬だ。
「早く乗りたい、早く降りたい」とはやる気持ちは分かる。しかし焦りをグッと抑え、丁寧に落ち着いてバイクに向き合ってほしいのだ。
無転倒は、乗降時に緊張感を保つことから始まる。心して乗り降りせよ!
【乗車あるある:シート蹴りからの共倒れ】誰もが無意識にバイクにまたがるワケだが、その無意識っぷりにこそすでに落とし穴が待ち構えている。油断・疲労・老化・厚着とさまざまな要因で足が十分に上がっておらず、バイクを蹴ってそのまま右側にゴロンなんて事態は、すぐそこに待ち構えているのだ…。
丸山流はサイドスタンドをフル活用
(1)上体前傾で足上げ
ヒジを曲げ上体がタンクに着くぐらい前傾させると、人体の構造上、自然と足が高く上がりやすくなる。この特性を利用せよ!
(2)前ブレーキを握る
不用意なバイクの動きが不安定さを招く。だったら動かないようにすればいい。前ブレーキを握ってバイクの動きを抑制する。
(3)まさに“転ばぬ先の杖”
教習所ではサイドスタンドを払ってからバイクにまたがるよう教わる。かつてはサイドスタンドセンサーがなく、出しっ放しで走り出して転倒なんてこともあったから、その教えも間違えているワケじゃない。でも、使えるものは使うのが丸山流。サイドスタンドを支柱として、バイクにまたがってから払う方が安定している。
『乗る』乗り込む反動を利用し、最小限の動作で
いかにラクをするかが転ばないための大きなポイントだ。疲労は間違いなく転倒を呼び寄せるのだから、疲れないに越したことはない。バイクに乗るにあたっても、体さばきによって発生したエネルギーを反動としてうまくバイクに伝えることで、動作を最小限に済ませる。「ひとつの動作でできるだけ多くの操作を終わらせてしまおう」というイメージだ。
『降りる』サイドスタンドを二重三重で確認
頼れるモノはとことん頼りつつ、絶対に信用しないことが重要だ。サイドスタンドに頼る際は、しっかりと掛かっているか二重三重にチェックして、徹底的に安全確認すること。モノに頼るということは、そのモノが機能しない時にはアッサリ転倒してしまうことを意味するからだ。
掛けが甘いと結果ツラい
サイドスタンドはこれでもかというぐらいググッと前方に押し出して掛ける。慣れに負けず、毎回しつこく完璧に押し出すこと。頼りながら信用しない!
中途半端な位置だとバイクの自重で前進してしまうことも。まったく予期せずに突然支えを失うので非常に危険だ。サイドスタンドは車種によって長さが違いクセもあるので要注意。
左足でサイドスタンドをキッチリ掛けたからといって、油断してはいけない。仕上げとして車体を前後左右に少し揺らし、外れないかどうか確認。念には念を..。
…というわけで、次回はエンジンをかけてから”静”から”動”へと移り変わる「発進」操作についてレクチャーしよう。
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