大技ナシ&疲れナシ! 30年間公道無転倒・丸山浩がレクチャー

絶対に転ばない!?ライテク講座・極低速編#5〈停止〉

丸山浩の絶対に転ばないライテク

『ヤングマシン』のテスターとして、30年以上にわたりさまざまなバイクに試乗しまくってきた丸山 浩氏は、「30年間公道無転倒」という実績を持つ。その奇跡のヒミツを明かす本講座の第5回。動から静へと移り変わる「停止」操作は、ブレーキの難しさと相まってバランスを崩しやすい魔の領域だ。だが、打開策はヒジョーに簡単。いつでも両足が着けるようにするだけだ!


●文/まとめ:高橋剛 ●撮影:長谷川 徹 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

↓〈先に#4 転回〉を読む↓
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2019/04/24

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丸山浩の絶対に転ばないライテク
絶対に転ばないライテク

講師:丸山 浩(まるやま・ひろし)年齢を重ねるごとにどんどん元気になっていく本誌メインテスター。普段はレースやスポーツライテクで”カッコよさ”を魅せているが、今回はあえて封印。極低速で転ばないために必要とされる泥臭くて実直なテクニックを徹底披露する。

粗い操作、歪んだ姿勢、路面変化など原因は様々

クリティカル・スリー・セカンズ。発進停止の「魔の3秒間」もいよいよ大詰めを迎えた。ここでは転ばずに止まる方法を伝受しよう。

その前に、ここまでの項目を熟読していただいただろうか? もししっかり読み込んでいれば、停車時にもっとも大切なことは何か、もうお分かりのはずだ。そう、それは「いつでも両足を着ける状態にしておく」ことだ。

“グラリ”は、いつやってくるか分からない。路面状況や操作次第によっては、右に傾くか、左に傾くかも分からない。プロのオレだってグラリに見舞われることは少なくない。だから、右にも左にも足を着けるよう構えておく。

あまりに簡単な話だが、これがなかなかできない。バイク乗りはストイックな面があって、どうも潜在的に「足を着いたらいけない」と思っているフシがあるのだ。もしくは「足を着くのはヘタ、足を着かないのはうまい」と。

オレに言わせれば、どちらも間違いだ。足を着くライダーがヘタなわけじゃない。厳しい言い方だが「転ぶライダーがヘタ」なのだ。

動から静へと状態が切り替わる停止は、どうしてもバランスを崩しやすい。崩さないように努力しながら、崩れた時のセーフティーネットを張り巡らせておく。ありとあらゆる手を使って転ばないライダーこそがうまいのだと、オレは信じている。

丸山浩の絶対に転ばないライテク

【信号待ちあるある:停止時に妙に乱れる】前輪に荷重がかかる停止動作時は、外からの影響を受けやすい。わずかな路面の凹凸や体さばきのアンバランスさがグラリの原因となる。これはプロでも避けがたい。だから常に両足が出せる体勢作りを!

丸山流は前ブレーキ重視&両足フリー”ノー・ニーグリップ”

まずはNG例から

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(1)前ブレーキで減速して0㎞/hに近付くにつれて、徐々にハンドル操作でバランスを取り始める →(2)バンと強く握り込んでしまうから、いきなりバランスが崩れ始める。なおかつ足出しも未準備 →(3)フラフラして怖いから、余計に強くブレーキをかけグラつき始める。ようやく足を出すが…。
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(4)ブレーキと、足の着地と。やるべきことが増えたうえに不安定さが増し、とっ散らかった状態 →(5)ブレーキングの反動でサスが跳ね返り、にっちもさっちも行かない状態。こうなると運任せだ。

丸山流は前ブレーキのみからの右足着地

「極低速域の車速コントロールは後ブレーキで」そう信じ込んでいるライダーは多いはず。でもオレは停止時は前ブレーキしか使わない。それは右足で着地したいから。左足はどうせシフト操作でステップに乗せるのだから、乗せっぱなしにしておけば動作が減って効率的なのだ

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(1)→(2)掌を軸にして、じんわりと引き寄せるように丁寧にレバー操作。右足は早くも着地体勢 →(3)停止線に向けて十分に減速しておくことを前提に、できるだけ一定の操作力をキープ。
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(4)ブレーキをかけたままではなく、リリースして止まろう。ゆっくりとブレーキを抜く →(5)リリースもパッと離すのではなく最後まで丁寧に。左足はシフト操作して発進に備える。

手:丸山流は前ブレーキ外3本掛け

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親指と人差し指でハンドルを握り、残り3本でブレーキを握るのがオレスタイル。しっかりとしたハンドル保持と強く・繊細なブレーキングを可能にする。
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【○引き寄せる】ブレーキ操作を丁寧に行うために、掌を固定して支点に見立て、そこから引き寄せるイメージを持つといい。
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【×握り込む】「握る」という意識では、掌側も一緒に動いてしまい操作が粗くなる。
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【スロットルは内2本握り】ハンドルを保持しながらスロットルワークをするために、親指と人差し指でハンドルを握る。ハードかつ繊細な操作が必要なレースで身に付いた。
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【レバー調整は必須】人の手のサイズはまちまちだし、ブレーキのタッチもまちまち。ブレーキレバー調整は必ず行い、自分がサッと操作できる位置にしておくこと!

足:極低速はニーグリップしない

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【○両足がいつでも出せる】極低速でのバランス取りはハンドル操作がキモ。逆にニーグリップは忘れていい。その分両足をフリーにして、すぐ接地できるように。

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【×スソの引掛りに注意】両足をあまりにルーズにするのも考えもの。特にパンツのスソがステップに引っかかるケースは割と多いので、それなりの緊張感を!

 

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【足着きギリの場合は片足重視に】体格や車種によっては両足を着くことが不安な場合もあるだろう。その時は迷わず片足着地で。「コレ」と決めつけず、自分が安心できるやり方が一番だ!

…というわけで、次回は「取り回し」操作についてレクチャーしよう。