
●文:ライドハイ編集部(根本健)
クラシックバイクの顔=フロントタイヤ
電子制御で、ますます高次元なパフォーマンスへ進化している最新バイク。しかし、そうした勢いにのまれることなく、緩やかに時が流れる、もしくは、時間を止めたかのようなトラディショナルなバイクたちの人気も衰えない。いかにも“オートバイ”らしい佇まいに、心がなごむライダーがどれだけ多いことか。エンジン/燃料タンク/シートとコンポーネンツが独立して凛とした風情に、変わらないモノへの安心感や信頼感が漂う。そんなクラシカルなバイクたちに共通している”顔”がある。フロントタイヤだ。
日本ではダンロップの「TT100」が定番
日本だとダンロップの「TT100」。日本だとダンロップの「TT100」。あの伝統の英国マン島ツーリストトロフィーレース、略してマン島TTレースのイメージを受け継いだネーミングで有名だ。
「ナニ履いてんの? ティーティー? シブいねぇ」と、それだけで濃いファンであることが伝わる定番タイヤ。
TT100の特徴は、フロントタイヤなのに、リヤタイヤと同じトレッドデザインであること。フロントタイヤといえば、デリケートな線の細いパターンが圧倒的なのに、TT100はリヤタイヤの彫りの深い、どこかたくましいイメージのままだ。
ピレリの「ファントム」も根強い人気
同じように、世界では次いでピレリの「ファントム」も、ビンテージの領域では横綱クラス。ファントムも、リヤタイヤの溝が少ない、いかにも強そうな顔つきのまま、フロントに転用されている。
見た目リヤタイヤっぽいけど、機能はまったく異なる
「そうか、昔のバイクのつくり方だと、リヤタイヤがフロントに使えるんだ…」と思いがちだが、これはまったくの間違い。
たとえ履いているフロントタイヤと、同じサイズが見つかったとしても、いざ装着してみたら、ちょっと傾いただけでグイグイそちらへハンドルを取られる、とても扱えないハンドリングで、乗れたものじゃなくなってしまうだろう。
そもそもフロントタイヤは、後輪の旋回を妨げずに助ける“路面追従性”という大事な役割を担っていて、そのためにしなやかさを最優先したつくりになっているもので……
※本記事は2022年4月29日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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