多くのライダーが使っている『バイクカバー』は、雨やホコリから愛車を守り、防犯上でも必須アイテム。……とはいえ、カバーをかけるが故のトラブルもなくはない。どのタイミングでカバーをかけて、どのタイミングで外すのが良いのだろうか?
●文:伊藤康司 ●写真:デイトナ
バイクが冷えてから掛けるのが基本だけど……
バイク用のカバーは猛烈に種類が多く、プライスも安価なモノから高価なタイプまで10倍ほども差がある。ありていに言えばピンからキリまであるワケで、ピンの方は高い耐水性や紫外線カット、蒸れにくいベンチレーションやチェーンロック用のホールなど非常に機能的に作られている。
とはいえ、どんなバイクカバーにも共通する注意点は「エンジンやマフラーが十分に冷えてから掛けること」。耐熱素材を使用するタイプもあるが、それでも走って帰ってすぐにカバーをかけるのはNG。エキゾーストパイプに触れた部分が溶けてペチャーっと張り付いてしまった……、なんて悲しい経験をした方もいるだろう。
だから気温の高い夏場なら、エンジンを止めて1時間くらい経ってから掛けるのが安全かも。しかし防犯上では、あまり長い時間「剥き出し」のまま停めておきたくないので、冷えるまでの待ち時間は悩ましいところでもある……。
雨が降っていたらどうする?
天気が良ければ帰宅して充分に冷えてからカバーを掛ければ良いが、雨の日だったらどうする? 雨ざらしにはしたくないが、やはりエンジンやマフラーが冷えるまではカバーを掛けられない。雨で濡れるぶん、晴れた日より冷えるまで時間はかからないとはいえ……これも悩みどころ。
しかも「その後」に問題になるのが『湿気』。車体がビショビショに濡れた状態でカバーをかけるので、カバー内には当然湿気がこもる。ベンチレーションが付いていても、濡れた車体やカバーの内側が完全に乾くには相応に時間がかかるし、駐車している場所が水はけのよいコンクリートならまだ良いが、土や砂利だと地面からも湿気が上がってくる。そしてこの湿気が、サビやカビが発生する大きな原因になる。
気付いたらエンジンやホイールが粉を吹いたようにサビていたり、シート表皮に白や緑の染みのようなカビが生えてショックを受けた方もいるだろう。また近年のバイクは防水性が高いとはいえ、湿気がこもることで電気系の不具合が出ないとも限らない。
なので理想を言えば、雨が止んだらカバーを外してバイクをしっかりと乾かすことが大切だ(さらに理想を言えば、洗車して泥汚れなどを落としてから乾かす)。そしてカバーも開いて干して、裏側まで乾かしてから掛ける。……そんな時間はない! と怒られそうだが、あくまで理想の話だ。
実際はカバーをかけていないと防犯上よろしくないし、カバーを外したまま仕事に出るわけにもいかない。だから雨が止んだ後にバイクに関われるタイミングができた時に、速やかにカバーを外して車体の水気を拭き取り、短時間でもカバーを干し、そしてまたカバーを掛ける……のが現実的にできる最大限のケアだろう。それでもけっこう大変だ。
設置が可能なら「簡易ガレージ」がオススメ!
そんな「バイクカバー問題」は、ガレージがあれば解決する。……が、そんなのは当然だし、それが出来れば苦労は無い。それでは「簡易ガレージ」はどうだろうか?
簡易ガレージにもいわゆるビニールハウス的なタイプや、蛇腹に開閉するアコーデオン型など様々な種類があるが、いずれも最大のメリットは「バイクと非接触」なところだ。たとえば帰宅して完全に冷えていなくても(ある程度は冷えてから)マフラーに張り付いて溶ける心配は無いし、雨天時も比較的短時間で閉じて大丈夫だ。
湿気に関してはバイクカバー同様に開けて乾かすのが理想だが、閉めたままでも車体と非接触で空間があるぶん蒸れにくいし乾くのも速いだろう。
またバイクカバーは風でバタつくと、車体表面に付着した砂ボコリが「ヤスリがけ」するように細かな傷をつけてしまうが、簡易ガレージだとその心配がない。これも非接触ならではの大きなメリットのひとつだ。
比較的コンパクトなので、自宅の庭や駐車スペースの脇などに設置できる可能性もある。プライス的には数万円台の製品が多く、バイクカバーよりは高額だがメリットを考えたらコストパフォーマンスは高い。
設置するにはアンカーやボルト等で地面に固定が必要な場合もあるので、マンションの駐輪場や賃貸住宅の駐車場に設置したい場合は、必ず事前に確認・許可を取ろう。
スペース確保と設置許可が取れるなら、バイクライフにおいて簡易ガレージはかなりオススメなアイテムだ。
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