●文:モーサイ編集部(鷹橋公宣監修)
あの橋を越えさえすれば、パトカーは追ってこれない…??
海外の映画やドラマなどで、逃走中の犯人が「あの橋を越えさえすればパトカーは追ってこれない!」といい、必死にクルマやバイクなどで逃走するシーンがありますよね。
そんなシーンを見た人の中には、日本の警察も都道府県別に組織構成されているため、「県境を超えてしまったら犯人を追うことはできないのでは?」なんて思う人もいるかもしれません。
たしかにニュースなどを見てみると、犯人を追跡している最中に警察が一時的に捜査をやめるケースがあります。
捜査をやめる理由として、“管轄問題”があるのか、犯人が管轄外まで逃げたら警察が追わないということが日本でもあり得るのか、元警察官・刑事の鷹橋公宣さんに解説してもらいました。
逃走中の犯人が「管轄外まで行ったら逮捕できない」は間違い
まず、日本の警察組織は、国の行政機関である警察庁をトップに、各都道府県の警察が治安維持や犯罪捜査を受け持つ形となっています。
同じ制服を着ていても、東京都なら警視庁、埼玉県なら埼玉県警察というふうに、地域が違えば別組織の警察官です。
このような警察組織の仕組みだと、もし都内で事件を起こして警視庁のパトカーに追跡されていたとしても、東京都から埼玉県に入ったところで「警視庁の権限が及ばなくなり、逮捕できないのでは?」と考える人がいるかもしれません。
しかし、警察の活動にかかわる法令を見ても、“管轄外では追跡/捜査/逮捕できない”という決まりはないのです。
それどころか、警察法第61条には、管轄区域内の居住者や滞在者、関係者の生命/身体/財産の保護、ならびに管轄区域における犯罪の鎮圧/捜査/逮捕などに関連して、必要な限度において「管轄区域外にも権限を及ぼすことができる」と定められています。
2012年1月には、千葉県内の東京湾アクアラインでスピード違反(速度超過)をしたワゴン車が逃走したため、千葉県警察の覆面パトカーが追跡し、東京都大田区内で現行犯逮捕した事例があります。
このように、犯人を追跡している警察官が、「管轄外だから追跡できない!」とあきらめることはありません。
「管轄外まで行けば警察に追われない」シーンはアメリカではある
冒頭で挙げた「管轄外まで行けば警察に追われない」というシーンは、海外…とくにアメリカの映画/ドラマで目立つ描写です……
※本記事は2021年12月27日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
キャストでもスポークでもない独自構造のホイール 国産の2輪車にキャストホイール車が登場し始めたのは、1970年代後半のこと。当初は一部の高級モデルにのみ採用されたこともあり、ワイヤースポークとは違う新[…]
イラスト入りのカントリーサイン カントリーサインとは、正式には「市町村案内標識」といい、町と町との境界に設置されています。 市町村案内標識自体は日本各地にありますが、そのほとんどが都道府県章や市町村章[…]
切符処理されないケースもある?! いきなりパトカーからスピーカーで呼び止められたり、旗を持った警察官に停止を求められたりして「違反ですよ」と言われると、誰でも「やってしまった…」と焦るはず。 ところが[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
マルチフューエルストーブならば、白ガスと赤ガスどちらも使える 本記事のお題は“赤ガス使用可能なアウトドアギア”だが、具体的には「マルチフューエルストーブ」と呼ばれるモノのことである。“ストーブ”と言っ[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
夏場はサイドスタンドがアスファルトにめり込む危険性あり!いったいどういうこと? 駐車場などに使われている一般的なアスファルトについて、その軟化点は47.0〜55.0℃と言われていますが、夏場の強烈な直[…]
「コスプレとバイク」本編 今回のバイク:Vストローム250とNIKEN Vストローム250はスズキの250㏄クラスのアドベンチャースタイルのバイクです。ガソリンが17L入るタンクやフロントのスクリーン[…]
バイクのハンドルに荷物をかける行為は交通違反? じつは、ハンドルにレジ袋/カバンなどを引っかけて運転する行為は、明らかな交通違反です。 道路交通法第55条第2項には、「運転視野やハンドル操作などを妨げ[…]
キャストでもスポークでもない独自構造のホイール 国産の2輪車にキャストホイール車が登場し始めたのは、1970年代後半のこと。当初は一部の高級モデルにのみ採用されたこともあり、ワイヤースポークとは違う新[…]
人気記事ランキング(全体)
日本で登場したときの想定価格は60万円台か カワサキはタイに続き北米でも「W230}を発表。空冷233cc単気筒エンジンはKLX230のものをベースとしているが、レトロモデルにふさわしいパワー特性と外[…]
ヤマハの3気筒スーパースポーツがついに登場! ヤマハは欧州でR9、北米でYZF-R9を発表した。車名は仕向け地によって『YZF』を省略しているようだが、基本的には(細かな違いはあるとしても)同じマシン[…]
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
燃料タンクも新作! サスペンションカバーやディープフェンダーも特徴 ホンダは、昨年11月に車両の姿を公開し、後日国内で発売予定としていた新型モデル「GB350C」をついに正式発表、2024年10月10[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
最新の投稿記事(全体)
各国の手本となるマザー工場・磐田ファクトリー 2024年10月現在、ヤマハ発動機は世界各国に2輪の生産拠点を有しており、その多くが需要伸長の著しい東南アジアに集中している。2023年、ヤマハが全世界で[…]
全国から70名を超えるベネリスタがバイカーズパラダイスに集結 1911年に生まれた、イタリア伝統のメーカーであるベネリ。現在はボルボ、ロータスなどを傘下に収めるGEELYの資本参加を受け、「新生ベネリ[…]
唱えてますか?「ネンオシャチエブクトウバシメ」 突然ですが、愛車の点検していますか? 「車検パスしてるから問題なし」「普通にエンジンかかって走っているから大丈夫」・・・と思っている、そんな貴方にこそぜ[…]
元世界チャンピオンが全日本トライアルに参戦、先行して参戦しているヤマハに挑む ホンダが開発中の電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で、藤波貴久さんが全日本トライアル選手権に参戦する。そんなニュ[…]
水冷GVシリーズのGV125S/GV300Sに加え、250モデル×3機種を追加 ヒョースンモータージャパンは、新型水冷250cc・V型2気筒エンジンを搭載したクルーザーモデル「GV250」シリーズ3機[…]