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●文:モーサイ編集部(高垣)
原チャリ/スーパーケッターマシーンと(一部地域では)呼ばれる原動機付自転車は、主に50ccの原付一種を指すことが多い…気がする。そして現在流通している50cc車のエンジンは、すべて単気筒。コストだったり耐久性だったり、多気筒化する理由がないんだもの。
そもそもエンジンの多気筒化の狙いは、高回転/高出力化による最高速のアップ。1/1000秒単位でしのぎを削り合うワークスマシンならばいざ知らず、生活の足としての使用が多い原付で、多気筒化する必要性はほぼ皆無だろう。
4サイクル50ccDOHCツインエンジンを搭載した、ホンダのワークスレーサーRC116(1966年の世界グランプリに参戦)。50cc2気筒マシンの代表格だろう。
国産唯一! 50ccツインエンジン搭載の市販車「ベビーツインAA型」
だがしかし、日本のバイク史を紐解いて見ると、実は50ccツインエンジンを搭載した公道市販モデルが存在した。しかも、いわゆる実用車スタイルで。
それが、1960年の夏に発表された三笠技研工業(旧ヘルス自動車)の「ベビーツインAA型」。C100に端を発する1960年代のモペットブームの最中に登場しただけあって、スタイルは実にカブに似ている。
4ps/6200rpm/0.35kg-m/6000rpmというエンジンスペックは排気量相応だが、セル付き(…というかむしろ始動はセルのみという点にも驚くのだが)2サイクル2気筒ロータリーバルブエンジンは、一説によると最高速度85km/hを誇り、他のモペット車と比べると幾分速かった。
が、多気筒化に伴うコスト増のためか、ほかの同クラス車両は4万5000円〜5万円台の値段のものが多かった時代に、ベビーツインAA型の当時価格は6万4500円とちょっとお高め。しかも、なぜかバッテリーは当時にしては珍しく12V。
販売価格のせいなのか、あるいはもっと別の問題か。同時期に販売されたヘルスERS型(同じく2サイクルの2気筒で125cc)ともども、売れ行きは芳しいものではなかった……
※本記事は2020年12月28日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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