
●文:モーサイ編集部(山本晋也)
一回の違反で免許取消になる違反
交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる制度だ。
1969年から続くこの点数制度は、多くのドライバー・ライダーにおなじみだろうが、その点数自体は見直しがされている。
現在は、過去3年間に行政処分を受けていない場合、6点から14点までは免許停止処分に、15点以上は免許取消処分に該当するとなっている。ただし最後の違反から1年以上が経っている場合は、以前の違反について累積計算されなくなる。また免停処分があった場合は免停期間終了の翌日から起算して1年以上で違反の累積計算がなくなる。上記の条件を満たすと前歴が参照されなくなるが、履歴自体は3年間残るので留意しておきたい。また、免許更新時の講習については過去5年の違反が参照される。
ここでいう行政処分とは、この“免許停止(いわゆる免停)”や“免許取消(免取)”のこと。そして過去3年以内に行政処分歴が1回あった場合、4点から9点で停止処分、10点以上は取消処分となり、同じく3年以内に行政処分が3回以上あった場合は、2点または3点で停止処分、4点以上は取消処分になる。
では、過去3年に行政処分がなかったとして、どのような違反をすると一発で免取となってしまうのだろうか。
酒気帯び関連を除くと、15点以上の違反というのは、無免許運転(25点)/妨害運転(25~35点)/過労運転等(25点)ぐらいしかない。
妨害運転というのは、2020年6月の道路交通法改正で創設された新しい罰則で、他の車両の通行を急ブレーキや車間距離不保持によって妨害する行為──いわゆる“あおり運転”に課せられる罪である。
さて、この中で無免許運転をクローズアップしてみよう。
無免許運転は4種類に分けられる
一度も免許を取得していない人が運転をするのが“純無免”、免許取消中に運転することが“取消無免”、そして免停中に運転すると“停止中無免”と呼ばれる。
さらに、運転免許を所持しているが、その資格では許可されない車両を運転すると“免許外運転”といって、これも無免許運転となる。
それぞれ悪意の度合いは異なるようにも思えるが、いずれも25点の違反というのは変わりない。もっとも、純無免の人において点数制度は関係ないが…。
いずれにしても無免許運転というのは、1年以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則/罰金が科せられる、とても重い罪だ。
純無免/取消無免/停止中無免については知らず知らずのうちに犯してしまうものではなく、意図的な違反といえるが、免許外運転というのはどういった内容なのだろうか?
たとえば、免許の条件として“眼鏡等”となっている人が、眼鏡やコンタクトレンズを使わずに運転した場合、正しく運転できない条件であるから、無免許運転となってしまうのだろうか。
否、この場合は“免許条件違反”といって別の違反となり、点数も2点でしかない。もちろん違反することを推奨するわけではないが、無免許運転に比べるとずっと軽いのだ。
免許条件違反の具体例とは?
じつは、AT限定でMTを運転した場合も、無免許運転ではなく免許条件違反の扱いだ。
また、ある程度の年齢以上になると、普通免許から自動的に中型免許に書き換えられていて「中型車は中型車(8t)に限る」という条件がついているドライバーも多いだろうが、この場合も定員11名以上の中型車を運転した場合は免許条件違反だ。
ただし、中型免許を持つドライバーが大型トラックを運転した場合、条件違反ではなく無免許運転となる。免許の種類と条件は、法律上はまったく異なる違反となっているのだ。
普通二輪免許で大型二輪に乗ってしまった場合は…
これは2輪車でも同様だ。普通二輪免許で大型二輪を運転すると、無免許運転になってしまうのである……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 10年後を見据えた近未来モデル モーターショーは、各メーカーが登場間近の注目モデルや、自社の現状の技[…]
1983年の登場当時、各雑誌媒体向けに紹介されたスズキRG250Γの全部品の分解写真。こうした写真をわざわざ撮影したことからも、同車に賭けたスズキの意気込みが感じられる。 フューエルインジェクション([…]
国産アメリカン〜通称ジャメリカン〜:ヤマハ XS650スペシャル(1978) アメリカの映画「イージーライダー」以降、全世界的なチョッパーブームになった1974年に北米に設立されたリンカーン工場(ネブ[…]
都市部では今や日常的に見かける「特定小型原動機付自転車」 運転免許不要で公道上を走ることのできる新カテゴリー「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」が注目されて久しい。 2023年の法改正で特[…]
6段変速ミッション:スズキ T20(1965) 戦前はGPレーサーも4段変速までだったが、戦後の1952年にモトグッツィが5段変速を、1953年にドイツのNSUのレーサーが6段変速を採用した。そして国[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
原付バイク安全運転スキルアップ講習会について 本講習会は原付バイクに特化した安全運転講習会で、原付利用者の交通安全意識と安全運転技能の向上を図り、交通事故を防止しようという狙いで2024年から開始され[…]
熊本市繁華街、バイク駐車場の実態 熊本一の繁華街である下通(しもとおり)商店街の周辺を歩いたが、目につくのは自転車駐輪場への125cc以下の受け入れが進んでいること。とくにアーケードから1本入った路地[…]
大型連休の休日割引除外から、年間すべての3連休へ除外対象を拡大 4月から始まる’25年度は、GW、お盆休み、年末年始およびシルバーウイーク(昨年度から追加され、’25年度は9月13日(土)~15日[月[…]
都市部では今や日常的に見かける「特定小型原動機付自転車」 運転免許不要で公道上を走ることのできる新カテゴリー「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」が注目されて久しい。 2023年の法改正で特[…]
ある日のこと。街をぶらぶら歩いていると路肩に駐車されている、YAMAHAドラッグスターを見つけました。「やっぱりアメリカンはかっこいいな」と足を止めて見ていたところ、そこに警察官が来て駐禁ステッカーを[…]
最新の関連記事(モーサイ)
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 10年後を見据えた近未来モデル モーターショーは、各メーカーが登場間近の注目モデルや、自社の現状の技[…]
1983年の登場当時、各雑誌媒体向けに紹介されたスズキRG250Γの全部品の分解写真。こうした写真をわざわざ撮影したことからも、同車に賭けたスズキの意気込みが感じられる。 フューエルインジェクション([…]
国産アメリカン〜通称ジャメリカン〜:ヤマハ XS650スペシャル(1978) アメリカの映画「イージーライダー」以降、全世界的なチョッパーブームになった1974年に北米に設立されたリンカーン工場(ネブ[…]
都市部では今や日常的に見かける「特定小型原動機付自転車」 運転免許不要で公道上を走ることのできる新カテゴリー「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」が注目されて久しい。 2023年の法改正で特[…]
6段変速ミッション:スズキ T20(1965) 戦前はGPレーサーも4段変速までだったが、戦後の1952年にモトグッツィが5段変速を、1953年にドイツのNSUのレーサーが6段変速を採用した。そして国[…]
人気記事ランキング(全体)
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
ヤンマシ勝手に断言。これでレースに出るハズだ!! 「CB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング(以下モリワキCB)」は、見ての通り、ホンダCB1000Fコンセプトをレーサーに仕立てたカスタムモ[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
モバイルタイプでも水の勢いは十分。洗車での活躍は間違いなし 今回発売されるケルヒャー「OC 5 Handy CB」は、もっと手軽に、どこでも洗浄したいというユーザーの持ち運びニーズに対応した、ガンタイ[…]
タイホンダ創立60周年を記念したスペシャルエディション 特別仕様車の製作に旺盛なカブハウスは、タイホンダの創立60周年を記念した「New Monkey Chrome Legacy Limited Ed[…]
最新の投稿記事(全体)
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
筑波サーキット向けにカスタム中 「X350ウィズハーレー編集部号」は、2024年12月現在、サーキット、とくに筑波サーキットでタイムを削るためのカスタムを進めている。過去、全日本選手権に出場し、筑波サ[…]
2.5次元アイドルがアンバサダー!? モーターサイクルショー開催概要 東京モーターサイクルショーの共通するメインテーマは、「いいね、バイク」。大阪のサブテーマには「バイク&ピース」、東京には「バイクっ[…]
グローバル販売を見据えたフラッグシップモデル 新発売となるSRD 5 Proは、Amazonで販売ランキング1位(バイク用Gps 2024年12月4日調べ Amazonランキング)を記録したベストセラ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]