
●記事提供:モーサイ
ホンダの未来における電動スクーターの必要性
四輪モータースポーツの最高峰といえるF1に、ホンダがパワーユニット・サプライヤーとして2026年からの参戦を発表したことが話題となっている。2026年からのレギュレーションではエンジンと電動モーターの出力比が50:50となり、燃料もカーボンニュートラルのe-fuelを使うことが5度目の参戦につながる理由ということだ。
とはいえ、F1に復帰するからといってホンダの量産車におけるカーボンニュートラル計画が変わることはないようだ。参戦発表会見においても同社の三部敏宏社長は「電動化に舵を切っているので、内燃機関を残す計画はない」という旨の発言をしている。
F1参戦発表会見なのであくまで上記の言葉は四輪を念頭としたものかもしれないが、そんなホンダの脱・内燃機関は当然ながら二輪にも影響している。
ホンダ全体として「2050年カーボンニュートラルの実現」という目標を掲げているからには、二輪部門も全般的にエンジンが残るというわけにはいかない。二輪の電動化を推進する必要がある。当然ながら製品を出すだけでなく、市場で評価され、売れなければ企業としてのカーボンニュートラルは実現できない。
というわけで「ホンダとして初めて一般向け発売する電動スクーター・EM1 e:はユーザーに受け入れられるのか」をテーマにいくつか考察をしてみたい。
ユーザーの日常的な原付の使い方を満たす性能
EM1 e:の開発コンセプトは『日々の生活スタイルにマッチする ちょうどe:Scooter』というもの。ハードウェアの特徴をまず記せば、定格出力0.58kWのインホイールモーターでリヤを駆動する原付一種(いわゆる50ccクラス)に分類される電動スクーターだ。
バッテリーはホンダが推進している交換型リチウムイオン電池「モバイルパワーパックe:」を使う。重量は10.3kgとなっており、車体から取り外して専用の機械で充電する方式となっている。EVなどの電動車両では重要なスペックとなるバッテリー総電力量を計算すると約1.3kWhとなり、30km/h定地走行での航続距離は53kmと発表されている。
航続距離の数字から「こんな航続距離じゃ使い物にならない。だってスーパーカブ50のカタログスペックから計算すると満タンの航続距離は450kmなんだぜ」という声もある。
たしかに数値だけを見ると、電動スクーター・EM1 e:はガス欠寸前となったスーパーカブくらいの航続性能しか持っていないように思える。しかし、エンジン車と電動車の航続性能を横並びで比較するのはナンセンスであるし、最低限の航続性能を満たしていれば、ユーザー的には意外に問題にならないという見方もできる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
モーサイの最新記事
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972) バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT38[…]
「令和4年改正道路交通法(マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習)ポスター」から抜粋 免許情報が記載された「マイナ免許証」は便利に使える? 運転免許証とマイナンバーカードが一体化[…]
ベースはCB750Four!新時代のスポーツ車を目指した「ホンダマチック」搭載モデル 1970年代の半ば、今回の主役「ホンダ・エアラ」のベースとなったCB750Aの紹介記事で「アメリカ人はオートマ車し[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
ひと目でEVとわかる先進的なスタイリング こちらが今回発表された「CUV e:」! Hondaはこれまで、EVバイクとしてパーソナル向けに原付一種の「EM1 e:」を市販化していますが、CUV e:は[…]
【本田技研工業 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業開発統括部 CUV e: LPL(開発責任者) 後藤香織さん】2006年入社。以来一貫して2輪車開発に従事し、おもに車体設計としてEV-[…]
パワフルで坂道も得意、実用的な原付二種EV 2023年のジャパンモビリティショーでコンセプトモデル「SC e: Concept」として参考出品されていたものが車名を「CUV e:」と改め、2025年6[…]
高まるペット移動ニーズに応える革新的モビリティ ガソリン価格の高騰と50ccクラス原付の製造終了という時代の転換期において、経済的かつ環境に優しい移動手段への需要が急速に高まっている。その一方で、近年[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の投稿記事(全体)
“グリーン”と“無事かえる”で繋がる両者の魅力 「かえるのピクルス」は、ナカジマコーポレーションが生み出したオリジナルキャラクターで、1994年の誕生以来、その愛らしい姿と「always smile」[…]
ライディングポジション関連を変更。実用性もアリ!! 基本構成はCB1000ホーネット譲りだが、各部のパーツは専用品が多い。とくに注目すべきはスマートキーだ。ホーネットでは物理キーを鍵穴に挿し込む一般的[…]
スポーティ&ファッショナブルなブルー系が登場 ヤマハのスポーツ・ヘリテイジ(伝統・遺産)を標榜するXSRシリーズ。スーパースポーツやネイキッド」といった従来のカテゴリーを越え、レトロな外観やその背景の[…]
250A1、350A7に続く最速チャレンジャー真打ち登場!! 1966年に250ccA1サムライで、先行していたホンダCB72、ヤマハYDS3、スズキT20の性能を上回り、次いでボアアップした338c[…]
廉価&シンプルなハイブリッドシステムで燃費性能を向上! ヤマハモーターインディアは、15年以上にわたってシリーズ累計150万台以上を販売してきた人気モデル「FZ-S」の最新モデルとして「FZ-S Fi[…]